骰子の眼

cinema

東京都 港区

2008-06-09 18:57


世界の映画史に残る衝撃作『シークレット・サンシャイン』クロスレビュー

人は罪だけでなく、罪を犯した人を許すことが出来るのか?!
世界の映画史に残る衝撃作『シークレット・サンシャイン』クロスレビュー
  • イ・チャンドン監督

  • チョン・ドヨン(イ・シネ)

  • ソン・ガンホ(キム・ジョンチャン)

【作品解説】
『ペパーミント・キャンディ』で世界の注目を集め、『オアシス』ではヴェネチア国際映画祭で監督賞を受賞したイ・チャンドン監督、5年ぶりの最新作。

ーイ・チャンドン監督インタビュー(通訳:根本理恵)

Q、日本人は宗教とは無縁の生活を送っている方が多いですが日本ではどのように映画をとらえたらよいでしょう?
A、実は私は日本の方を見ていると、とても宗教的だと思うことがあります。宗教が日常的に入り込んでいるような気がします。日本では、歩いていると小さな神社や祭壇のようなものがあり、そこに足を止めてお祈りをしている人の姿を見たことがあるのですが、そういう経験からそのように感じたのです。 私は、宗教というのはたいそうなものでもなければ、特別なものでもないように思っています。 宗教をたいそうなものとして受け止めてしまうと色々な問題が生じてしまうと思うので、私は宗教を文化の一部、あるいは精神の一部だと思って自然に受け入れるのがもともとあるべき姿ではないかな、と思っています。
映画を観ますと、シネというヒロインは、とにかく宗教の中に明確な答えを求めようとしていますよね。その反面ジョンチャンという男性は、なんで教会に通うの?と聞かれたときに、通わないと寂しい気もするし、行けばなんとなく気が楽になるからと、無意味な答えをしていました。その両者というのはすごく対照的で、宗教に求めるものというのもそんな風に2つあるのではないかなと思います。どちらが良いというのは言えないと思うのですが、2つともそれぞれ宗教というものを見た場合に、非常に大切な価値が含まれていると思います。

Q、チョン・ドヨンについて。シネという役について
A、チョン・ドヨンさんは女優としてではなく人間として見た場合、すごく強い人に見えると思うのです。何にでも自信満々で、とにかく情熱的にいろんなことに取り組むような、そういう人に見えると思うのですが、私からすると、実は内面はすごく弱くて誰よりも脆くて傷つきやすい、そういう面を内面に隠し持っている気がするのですね。その点が、今回のヒロインのシネに似ていると思ったのです。チョン・ドヨンさんに同じことを言ったことがあります。そうしたら彼女が本当に驚いて、そんなはずはないという顔をしました。撮影中、きっと彼女はシネとして生きてきたわけで、シネとしていろんなことを感情的に受け入れるということは、本当につらいことだと思います。隣で見ていても、本当にそれは痛切に感じましたけれど、だからと言って私が助けを出すことも出来ないのです。映画の中のシネもそうでしたね。周りの誰からも助けを得られなくて、神さえも助けにならなかったわけです。なので、本当につらかったと思うのですが、彼女(チョン・ドヨン)はどうやら私のことを恨んでいた部分もあったようです(笑)。でも、こちらは恨まれても仕方がないと思いました。シネも神を恨むところがありました。そんなふうにして人って、周りの人を恨むしかないという状況になることがありますので、それを考えたらいちばん近い立場にいる監督の私だったので、私を恨んでも仕方がないかなって思いました。
本当にチョン・ドヨンさんは撮影の期間中はまったくシネになりきって、シネとして生きてくれたと思います。

『シークレット・サンシャイン』
http://www.cinemart.co.jp/sunshine/
6月7日(土)よりシネマート六本木ほか順次全国ロードショー


監督:イ・チャンドン『オアシス』 出演:チョン・ドヨン『ユア・マイ・サンシャイン』、ソン・ガンホ『殺人の追憶』
2007年/韓国映画/142分/シネマスコープ/ドルビーSRD 原題:密陽
2007年カンヌ国際映画祭主演女優賞受賞(チョン・ドヨン)
第2回アジア・フィルム・アワード3冠達成(作品賞・監督賞・主演女優賞)
配給:SPO

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