骰子の眼

cinema

2015-03-19 20:32


ホドロフスキー監督新作『エンドレス・ポエトリー』に製作参加するチャンス!

「人はお金をものを買うためだと思っているが、お金は与えるためのものでもある、今それを学ぶのだ」3/22 8:59まで募集中
ホドロフスキー監督新作『エンドレス・ポエトリー』に製作参加するチャンス!

『エル・トポ』『ホーリーマウンテン』のアレハンドロ・ホドロフスキー監督の新作『エンドレス・ポエトリー』のキックスターターで行わているクラウドファンドが、2015年3月22日8:59(日本時間)までおこなわれている。

現時点で、目標金額となる350万ドルを越える391万ドルの協力が寄せられているが、新作の完成へ向けて更なる支援を締切まで受け付けている。今回、ホドロフスキー監督からの新たなメッセージが届いたので掲載する。

このプロジェクトは「世のすべてのお金は詩に換えられるべきだ」というホドロフスキーの考えに基づき、協力者の寄付する金額を、同額の「ポエティックマネー」と両替する。この世界に存在する詩と交換することができる通貨「ポエティックマネー」の他にも、ポスター、Tシャツ、試写会ご招待など寄付の金額に応じて様々な特典も用意されている。

『エンドレス・ポエトリー』は2015年7月から8月末にかけての8週間、チリのサンティアゴで撮影。編集、音楽製作、VFXなどのポストプロダクションはパリと東京で行ない、2016年2月末に完成予定となっている。

金になる作品がいいアートだと思われるのは恥ずべきことだ

アンチ映画業界の映画を作ろうと22年年間の苦労の末、やっとここまで来た。というのも、この業界は利益重視の産業だからね。映画は何よりもまず金を生むために作られる。芸術ではなく経済のための産業なのだ。また彼らはタバコやワイン、政治的見解などを宣伝するために映画を作っている。ショーがエネルギーを解放するのに必要なのと同じことだ。人は悩みがあるとき、映画を見に行く。バカの中に入り込み、二時間、自分のバカさを休ませ、そしてバカから去る。それが映画館だ。

しかし、私は映画を違うように見ている。詩のような、アート作品のような実験映画を作るために、何よりもまずこの業界を排除する。つまり消滅させる。私は金を失うためのアートを作る。金になる作品がいいアートだと思われるのは恥ずべきことだ。絵画も同じ。金を稼いでいるなら、それはいい作品で、金にならないなら、悪い作品だ。そういうバカな闘いにはうんざりしている。

アート業界は人々の精神を蝕んでいる。私たちがやろうとしているのはそうじゃない。だから22年に渡って、自分にできるだけのものを集めていたわけだ。経済危機のおかげで、ほんのわずかなのだが、何とかして調達したのが100万ドルで、それを無駄にせず半分を『リアリティのダンス』につぎ込んだ。作品は世界中で成功し、高い評判も得たが、私はまったく稼いでいない。配給会社がいくらか潤い、映画館のオーナーも潤ったがそれだけ。作者は何も得ていない。その経験をふまえ、残った50万ドルを使って続編となる2番目の映画を作ろうと決心し、パートナーを探して、こう言った。「新しい映画を作るつもりだ。そうすればもう一度お金を失える」と。そのときクラウドファンディングを使うこと思いついた。

『エンドレス・ポエトリー』イメージ・スケッチ ©Pascale Montandon-Jodorowsky
『エンドレス・ポエトリー』イメージ・スケッチ ©Pascale Montandon-Jodorowsky

一致団結して自分たちが望むアートや文化を創る

キックスターターでは製作にかかる費用の10パーセント求めているが、加えて人々、特に若者が現在のアートやコマーシャルの世界が提供するものに飽き飽きしていることを示すためでもある。彼らも別の映画や他の何かを求めていることを示したいだろうし、「自分もお金を出したのなら見に行こう」と言うのではないかと思った。だって私のツイッターには106万人のフォロワーがいるんだからね。もし100万人のフォロワーのそれぞれが2ドルずつくれたら、200万ドルを得ることになる。だけど、とりあえず何が起こるか試しに35万ドルを求めている。たった数日なのにすでに33万ドルほど集まっているよ(注:3月13日で35万ドルを達成した)。

これは業界が文化も人も愛しておらず、人々が団結すれば共同プロデューサーになることができて、素晴らしい映画が作れることの証明だ。私は集団で何ができるかを立証しようとしているんだ。きっと達成できるだろう。達成するのはほとんど間違いない。一致団結して自分たちが望むアートや文化を創るのはいいことだ。そうすれば業界が望んでもいないものを押し付けてくることはない。

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10ポエティックマネー(Aタイプ)

興味があるのは正直なアートを作ること

私は高齢で、すでに86歳。そんな私が興味あることとは?名声にはもはや興味はない。興味があるのは正直なアートを作ること、そして産業というゴリアテに闘いを挑むダビデのように、それが可能なのだと証明することだ。

お金は私にとって重要だし、誰にとってもそうだ。お金そのものが幸福ではないが、200年、さらに100年以上お金がなければ幸福はないだろう。というのも、お金は命にとっての血液と同じだ。一方では疫病であり、恐怖でもある。なぜなら石油、銀行、政治、似非宗教がらみの戦争を引き起こすからだ。私たちは混乱の中にいる。金儲けのために地球を破壊する産業があり、それが私たちを子ども扱いする。その一方でお金は精神を発達させ、経験を積ませ、生きるべき生き方をするのに役立ちもする。原子力エネルギーは死をもたらすが、そのエネルギーが町を照らしもする。物事をどんなふうに使うかによるのだ。

お金も使い方を知るべきエネルギーにすぎない。そして今の使い方はひどい。人類の2パーセントの人がほとんどすべてを保持していて、残りの98パーセントはほとんど何も持っていない。こうではいけない。さらに倫理的な偏見も多くある。それらのすべてを少しずつ取り除いていかなければならない。それがアーティストの仕事だ。

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100ポエティックマネー(Aタイプ)

ピカソは「私はお金を作れる」と言い紙幣にサインした

私が今回のキックスターターで、ポエティックマネーを使おうと思ったのは、まず第一に、ポエティックマネーは何かを与えてくれると考えたからだ。何年にも渡って私はあなた方に与えてきた。ツイートしてきたし、アートを作ってきたし、闘ってきた。それがとても役に立ったと言う人もいた。サイコマジックが人を癒してきた。そして今、あなたが与える番だ。応える番だ。すべてを差し出せと言ってるわけじゃない。求めているのはたったの10パーセントだ。応えるのだ。そして与えることを学ぶのだ。なぜなら、与えることは明け渡すことであり、与えないことはやめること だからだ。共同で何かをやるのだ。人はタバコ1箱に5ドル出すのに、映画作りのために2ドル求めると不平を言う。与えることができないのだ。買うことはできる。人はお金を買うためのものだと思っている。お金は与えるためでもある。それを学ぶべきだ。

だからポエティックマネーを作った。もし20ドルくれたら、私も自分が創ったポエティックマネーを20ドル分渡す。だが、もし私の映画がすばらしかったら、私が渡したその贋20ドルは2,000ドルもの価値にもなる。なぜなら文化へと変わるアート作品になるからだ。ピカソは言った「私はお金を作れる」。どうやって?彼は「1ドル札をくれ」と言って、紙幣にサインして言った。「これで10ドルになった」と。ポエティックマネーを使って、私はこれが無価値なお金ではなく、クリエイティブな試みであることを見せている。そして私が限界を壊す映画を作れば、そのリスクを冒した人たちは多くのことができるだろう。なぜならそのことが価値を持つからである。

ポエティックマネーは、後々有名な絵画のように売れるだろう。それにはまず、私の頭が変ではないこと、私が作ろうとしている映画が前作よりも、今までの全作品よりもいいものになるということを信じなければならない。それができれば、そうなるように祈れば、ポエティックマネーは100パーセントの価値に上昇する。

『エンドレス・ポエトリー』あらすじ
物語は、ホドロフスキー一家が故郷トコピージャから首都サンティアゴへ移住するところから始まる。青年アレハンドロは、自分への自信のなさと抑圧的な両親との葛藤に悩み、この環境から脱し何とか自分の道を表現したいともがいていた。ある日、アレハンドロは従兄リカルドに連れられて、芸術家姉妹の家を訪れる。そこでは、古い規則や制約に縛られない、ダンサーや彫刻家、画家、詩人など若きアーティストたちが共に暮らしていた。彼らと接していく中でアレハンドロは、それまで自分が囚われていた檻から、ついに解放される。エンリケ・リンやニカノール・パラといった、後に世界的な詩人となる人物たちとの出会いや、初めて恋に落ちたステジャ・ディアスとの会遇によって、アレハンドロの詩的運命は、新たな未知の世界へと紐解かれていく。




キックスターター:
アレハンドロ・ホドロフスキーの新作『エンドレス・ポエトリー』

https://www.kickstarter.com/projects/276667448/jodorowskys-new-film-endless-poetrypoesia-sin-fin

公式サイト:http://www.poesiasinfin.com/
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