骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2015-09-14 18:52


DJジャイルス・ピーターソンのブラジル音楽探求の旅描く映画、劇場公開へ向けクラウドファンド実施中

ドキュメンタリー『ブラジル・バン・バン・バン』10/9より渋谷アップリンクにて8日間限定公開
DJジャイルス・ピーターソンのブラジル音楽探求の旅描く映画、劇場公開へ向けクラウドファンド実施中
映画『ブラジル・バン・バン・バン』より、ジャイルス・ピーターソン

クラウドファンディングサイトMotionGalleryとwebDICEとの連動企画、今回は、世界的DJジャイルス・ピーターソン初のドキュメンタリー映画『ブラジル・バン・バン・バン:ザ・ストーリー・オブ・ソンゼイラ』の10月9日(土)から渋谷アップリンクでの日本公開を応援するプロジェクトを紹介する。

今作は、世界で最も影響力があるラジオ/クラブDJとリスペクトされるジャイルス・ピーターソンが、10代の頃から愛して止まない「音楽の楽園」リオデジャネイロで作品制作に挑むなか、街へ繰り出し、歴史と文化への理解を深めていく、旅するようにリオの魅力を知ることができるドキュメンタリー映画だ。

今回のプロジェクトは、120万円を目標に、10月1日(木)まで実施。集まった資金は宣伝費、イベント制作費などに使用される。3,000円以上のリターンには全て映画の特別鑑賞券がつくほか、3,500円以上の支援については、そのうち3パーセントが青年犯罪の問題に対応するための国際的NGO団体「Fight For Peace」に寄付される。また劇場公開時も、興行純利益の50パーセントを「Fight For Peace」に寄付することになっている。

渋谷アップリンクでの公開の際には、ジャイルス・ピーターソンによる舞台挨拶のほか、日本におけるブラジル音楽シーンのキーパーソンや音楽家/DJが参加するイベントも行われる。

webDICEでは、プレゼンターであり、今作を配給するラジオ番組制作会社シャ・ラ・ラ・カンパニーの木村真理さんに、プロジェクトを立ち上げた経緯や今作への思いをメッセージとして寄せてもらった。また、ブラジル音楽ライターのケペル木村さん、そしてCIBO MATTOのハトリミホさんからの『ブラジル・バン・バン・バン』への推薦コメントも掲載する。

詳細はMotionGalleryのプロジェクトページまで。

「『ブラジル・バン・バン・バン』には、
沢山の奇跡の瞬間が詰まっている」
文:木村真理さん(シャ・ラ・ラ・カンパニー)

木村さん2

2014年春、ロサンゼルスで感じた奇跡

ジャイルス・ピーターソンの日本でのラジオ番組「ワールドワイド」と、番組イベント「ワールドワイド・ショーケース」をプロデュースしてきた繋がりから、この度、映画の配給と宣伝をすることになりました。

昨年3月、ジャイルス・ピーターソンとロサンゼルスで会う機会がありました。彼は丁度、ブラジルを代表する音楽家、セウ・ジョルジとのレコーディングを行うためにロスを訪れていました。セウといえば、映画『シティ・オブ・ゴッド』や『ライフ・アクアティック』に出演し、ロンドン五輪の閉会式にも登場したスーパースターです。ですから、何をするにも、つかまえにくい存在、ということで有名で、来日公演が待ちこがれられているアーティストです。

レコーディング・スタジオから戻って来たジャイルスは、「最高のセッションだったよ。セウは、私が何を求めているのかを、すぐに分かってくれたんだ!」と、大きなスマイルで語ってくれたのが、忘れられません。ジャイルス・ピーターソンは、音楽の話をはじめると、目がキラキラするのですが、あの日、彼の目の輝きを見た時、『ブラジル・バン・バン・バン』には、沢山の奇跡の瞬間が詰まっているのだろうと思いました。
そして、その模様は、映画『ブラジル・バン・バン・バン』の中にたっぷりと収められていました!

映画『ブラジル・バン・バン・バン』より
映画『ブラジル・バン・バン・バン』より

旅と文化交流の要素溢れる、新感覚ドキュメンタリー

アルバム『ブラジル・バン・バン・バン』は、予想通り素晴らしい作品でした。2014年初夏、J-WAVE平日お昼のプログラム「グラティチュード」を中心に、ラジオで鳴り響き、松浦俊夫さんをはじめ、須永辰緒さん、沖野修也さんなど、トップDJの方々も、ラジオ、クラブのフロアーでプレイした、ブラジルワールドカップのもう一つのアンセムのようでした。

そのアルバム制作を映したドキュメンタリー映画が完成したという知らせをロンドンからうけた私は、特別にその作品を見せてもらいました。サンバの血が通った老若男女が刻むリズムとステップに、溢れる笑顔……私は、この映画からブラジルのマジックを感じました。そして、ジャイルス・ピーターソンが紹介するリオのガイドブックのページをめくるように、リオデジャネイロの街の雰囲気がどんどん伝わってくる、いわゆる[音楽ドキュメンタリー]とは違う、新しいスタイルの音楽ドキュメンタリーのスタイルにとても新鮮さを感じました。

映画『ブラジル・バン・バン・バン』より
映画『ブラジル・バン・バン・バン』より

今年、日本とブラジルは外交関係樹立120周年を迎えます。そんな記念すべき年に、沢山のブラジルを愛する方々がいるここ日本で、この作品を上映することは、きっと文化的に意味があると感じ、本プロジェクトを実行しました。ブラジルとアフリカの繋がりについても学べる、音楽が繋ぐ人々の歴史が感じられる内容となっています。

サポートから国際的NGO団体Fight for Peaceへ寄付:
クラウドファンディングで、制作の資金繰り以上の意味を求めた理由

私達は、クラウドファンディングで集まったサポートのうち、3,500円以上の支援のうち3パーセントと興行の純利益から50パーセントを、NGO団体「Fight for Peace」へ寄付いたします。

「Fight for Peace」は、ボクシングやカポエイラ、格闘技のオープンクラスを提供し、個々が持つ可能性を引き出しながら、若者の将来性と社会性を育てる事を目的としています。『ブラジル・バン・バン・バン』の映画監督チャーリー・インマンとベンジャミン・ホルマンが、こちらのNGOの映像を制作していることから、その活動を知りました。

▼Fight for Peace 2015

格闘技で精神力を高める、という考え方は、日本にも通じると感じます。そのような理由から、クラウドファンディングを実施するのであれば、映画の日本版制作の資金繰りだけではなく、文化的意味を持つようなアクションにしたい! 私たちは、ジャイルス・ピーターソンと話し合い、利益の一部をリオデジャネイロのスラム街、ファヴェーラのマレ地区にある「Fight for Peace」に寄付をすることを決定。 映画でブラジル文化の継承を担う若者たちのサポートに繋がるようなアクションを実施しています。

「Fight for Peace」の統計によると、世界では毎日565人の若い命が失われています。1年間に約546,000名の若者が非業の死を遂げる中、その75パーセントは紛争地帯外で起きています。若者による暴力や犯罪は地球規模の問題だということも知るきっかけになりました。

映画『ブラジル・バン・バン・バン』より
映画『ブラジル・バン・バン・バン』より、ブラジル音楽界の女王=エルザ・ソアレス

リターンアイテム、こだわりました!

今回、様々な音楽家や音楽評論家のみなさまが、映画の推薦コメントを寄せてくださいました。ピーター・バラカンさんが「見終わったらアルバム『Sonzeira - Brasil Bam Bam Bam』が絶対に欲しくなります」とコメントを寄せてくださったように、映画を見終わったら必ずアルバム『ブラジル・バン・バン・バン』を聞いて、踊りたくなります! ですので今回、ジャイルス・ピーターソンのサインをいれたアルバムもリターン・アイテムの一つにしました。そして、ジャイルス・ピーターソンの永遠のテーマ「Searching for the Perfect Beat =パーフェクトな音を探しもとめて」!文字のプリントしたトートバッグも作りました。キャンバス地で、とてもしっかりしていますので、DJの皆様にも好評です! そのほか、映画のエンドロールに登場できたり、普段はなかなか出来ない経験をご用意しましたので、映画をもりあげることで、みなさんの2015年が、ブラジル音楽のようにご機嫌で、ちょっと特別な年になればと思います。みなさんのご参加と、ご協力をよろしくお願いいたします。

Searching for the Perfect Beat トートバッグ
Searching for the Perfect Beat トートバッグ

新しい事へのチャレンジ

映画を手がけるのは初めての経験ですが、作品と音楽の素晴らしさに胸を打たれ、ラジオプロデューサーの私と、アーティストマネージメントを専門にする吉田千恵美を筆頭に、社内でチームを組んで挑戦しています。

SNSを通して、地方での上映のお問い合わせやご要望をいただいています。今回、クラウドファンディングで無事資金が集まり、東京での上映が成功した際には、あらためて、リオデジャネイロがオリンピックイヤーを迎える来年にでも、たくさんのジャイルス・ピーターソンのファン、そして良質な音楽ファンの方々がいらっしゃる地方での上映実現も視野に入れたいと考えております。


『ブラジル音楽のひとつの「桃源郷」』
ケペル木村さん(中南米音楽/MPB)

ケペル木村さん

ダンス・ミュージックやクラブミュージックに興味のある人で、ジャイルス・ピーターソンの名前を全く知らないという人はいないだろう。DJとしてその名は世界中に馳せており、いまや音楽プロデューサーとしてもその活動の幅を大きく広げている。

ブラジル音楽に関してジャイルスは、我々日本のブラジル音楽ファンと同様にブラジル人ではないので、ブラジル音楽を「外から」の視線で眺め、その地が産み出す音楽の魅力に「取り憑かれ」、その結果として現地に「赴き」、様々なブラジル音楽を「過去という扉を開けて掘り起こし」、それらの中からジャイルス本人が素晴らしいと思ったものだけを「厳選して」世界中の音楽ファンに「知らしめて」くれた。

彼がそういう作業をしていなかったら、ブラジル音楽は、日本国内のことだけを考えても、ここまで普及することはなかったかもしれない。そしてジャイルスによって、あらためて過去の音楽が発掘されたエドゥ・ロボ、マルコス・ヴァーリ、アジムスなどのようなブラジルのアーティストたち(他にもたくさん!!!)も、ジャイルスにはいくら感謝しても感謝し切れないことだろう。

この映画はそんなジャイルスが自分自身のブラジル音楽体験を踏まえた上で、彼が好むプロデューサーやミュージシャンたちとの共同作業で「ジャイルス・ピーターソンが考える理想的なブラジル音楽」を編み出した時のドキュメンタリーである。地元の人間には意外に分からなくて、外部の人間でないと見えて来ない部分などを、ジャイルスなりに上手に盛り込んでおり、ブラジル音楽のひとつの「桃源郷」を達成している。

制作現場での様々な出会いは「奇跡」を生んでいくが、ましてや、そこがブラジルならば「偶然の出会い」はいつしか「必然」に変わって行く。その現象をきちんと記録した映像を見ていると、こちらにもその時のジャイルスの感動が実感として伝わってくる。ジャイルスが映画の中で自ら語っているように、彼がプロデュースした作品『Brasil Bam Bam Bam』はきっと「自分の想像を超えて良い作品」になったのだ。

通常、僕らがミュージシャンを見たり聴いたりするのは劇場やライヴハウスでの公式なパフォーマンスだが、スタジオ内で制作中の彼らの表情がいかに真剣なのかを知ることもとても大切なことで、そういう素顔の部分をこの映画の中で見られるのはとても嬉しい。

この映画の全編を通じて根底に流れているのは、リオデジャネイロという街特有の、ものすごくポジティヴなエネルギー感だ。ブラジル音楽に憧れた者たちは、リオに到着して初めて、自分が音楽を通してその前向きなエネルギーに「憧れている」ことを理解する。ジャイルスの眼と耳という、とても適切な「フィルター」を通した映像は、ブラジルをまだ知らない人間にブラジルの魅力を伝えるには充分過ぎるパワーがあると云えるだろう。出来ることならば、もっともっとこの続きを観てみたいものだ。

ケペル木村の音楽生活
http://kepelkimura.blog.so-net.ne.jp


『本当に貴重な映像、サウダージがいっぱい』
ハトリミホさん(CIBO MATTO)

ハトリミホさん

私は、ブラジルと、何かしら、縁があります。
この映画にも、友達が出ていて、とっても嬉しくなりました。
私は、ニューヨークに住んでいますが、ブラジル人の友達と音楽を作ることがあります。ラッキーなことに、色々、彼らからブラジルの音楽、事情、歴史を聞かせてもらってきました。私は、ブラジルの音楽から多大な影響を受けています。

実際のリオは、もちろん、色々な問題も抱えていますが、この映画は、ジャイルス・ピーターソンのポジティヴで明るいエネルギーが出ていて、テンポが良くて、好意が持てます!(現実的なことは、最後に出てくるエリザ・ソアレスの涙が、全て物語っていると、私は思いました)

アフリカから来たそれぞれの種族が、奴隷としてブラジルで集まって、それぞれ違ったリズムが混ざって生まれたサンバのリズム。とても重い歴史の中で生まれた、生命力のある叡智だと私は思っています。私は、そこに、洗練された力強さを感じます。
ブラジルに行き着いたアフリカ人達に、疎外のエネルギーがあったら、音楽って生まれてこなかったのではないかと思います。

個人的な話ですが、この映像の中でエリザ・ソアレスが最初に歌った曲「NANA」は、私も歌ったことがあるのですが、この映画に出てくるバージョンには、驚かされました。すごくアヴァンギャルドだからです。私はアヴァンギャルドの発祥地とも言えるようなニューヨークに住んでいますが、エリザ・ソアレスのほうが、何倍も、アヴァンギャルドですし、より自由でした。私は脱帽しました!

そして、彼女が最後に歌った曲「Aquarela Do Brasil(ブラジルの水彩画)」、これは、私も大好きな歌ですが、こんな風に歌うなんて、全く想像していなくて……。
彼女の瞳から涙が……。
なんて美しいのだろう……。

私も、感動して、涙が出てきてしまいました。

ブラジルの歴史、現状、空気を知って歌ったら、本当は涙が出るのが当たりまえなのかもしれません。彼女は、そういう純粋な心で歌っているのかと思うと、本当にありがたくて、貴重な映像だと私は思いました。サウダージがいっぱいです。

CIBO MATTO
https://www.facebook.com/OfficialCiboMatto

ハトリミホ
https://www.facebook.com/mihohatori




映画『ブラジル・バン・バン・バン』フライヤー

映画『ブラジル・バン・バン・バン:ザ・ストーリー・オブ・ソンゼイラ~ジャイルス・ピーターソンとパーフェクトビートを探しもとめて~』
2015年10月9日(金)~10月16日(金)
渋谷アップリンクにて公開

監督・製作:チャーリー・インマン、ベンジャミン・ホルマン
出演:エルザ・ソアレス、マルコス・ヴァーリ、ナナ・ヴァスコンセロス、ウィルソン・ダス・ネヴィス、セウ・ジョルジ、ガブリエル・モウラ、アルリンド・クルス、エヂ・モッタ、アレシャンドリ・カシン、エマヌエリ・アラウージョ、マルチナーリア、ロブ・ギャ ラガー、ジャイルス・ピーターソン、ほか
原題:Brasil Bam Bam Bam: The Story of Sonzeira
2014年/イギリス、ブラジル、アメリカ/英語 & ポルトガル語/カラー/70分

MotionGallery特設ページ:
https://motion-gallery.net/projects/BBBMovieJP
映画『ブラジル・バン・バン・バン』公式サイト:
http://www.brasilbambambam.jp/
渋谷アップリンク上映情報:
http://www.uplink.co.jp/movie/2015/39489

▼映画『ブラジル・バン・バン・バン:ザ・ストーリー・オブ・ソンゼイラ~ジャイルス・ピーターソンとパーフェクトビートを探しもとめて~』プロジェクト紹介動画

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