骰子の眼

cinema

2016-05-16 19:00


「この映画はサイコマジック・ボム」ホドロフスキー監督新作がカンヌでプレミア上映

『リアリティのダンス』続編『エンドレス・ポエトリー』舞台挨拶レポート
「この映画はサイコマジック・ボム」ホドロフスキー監督新作がカンヌでプレミア上映
カンヌ国際映画祭の舞台挨拶に登壇したアレハンドロ・ホドロフスキー監督(右)、監督週間代表のエドゥアード・ウェイントロープ氏(左)

2017年公開予定、アレハンドロ・ホドロフスキー監督の新作『エンドレス・ポエトリー』が現在開催中の第69回カンヌ国際映画祭監督週間にてワールドプレミア上映され、現地時間5月14日(土)にホドロフスキー監督の舞台挨拶が行われた。2014年に23年ぶりの新作『リアリティのダンス』が公開、来日イベントでは85歳とは思えないエネルギッシュな姿を見せ、往年のファンだけでなく若者をも巻き込みブームを呼んだホドロフスキー監督。本作『エンドレス・ポエトリー』は、『リアリティのダンス』の続編を望む世界中のファン約1万人からインディーゴーゴー、キックスターターといったクラウド・ファンディングで資金の多くを集めて製作された、まさに待望の新作となる。

映画『エンドレス・ポエトリー』より ©Pascale Montandon-Jodorowsky
映画『エンドレス・ポエトリー』より ©Pascale Montandon-Jodorowsky

映画は前作『リアリティのダンス』のエンディングから始まり、故郷トコピージャから首都サンティアゴへと移り、様々な悩みや葛藤を抱えた青年時代のホドロフスキーが当時チリで出会った詩人、アーティスト、パフォーマーなど、アヴァンギャルドなカルチャー・シーンの人々との交流を、虚実入り交じったマジック・リアリズムの手法で描いている。前作同様ホドロフスキーの長男であるブロンティス・ホドロフスキーがホドロフスキーの父親を、青年となったホドロフスキーを、末の息子であるアダン・ホドロフスキーが演じる。また、撮影監督は『恋する惑星』など、手持ちカメラの独特の映像で知られるクリストファー・ドイル。ウォン・カーウァイをはじめ、ジム・ジャームッシュやガス・ヴァン・サントなど様々な監督の作品に携わってきたドイルが、今回初めてホドロフスキー監督とタッグを組んだ。

映画『エンドレス・ポエトリー』より ©Pascale Montandon-Jodorowsky
映画『エンドレス・ポエトリー』より ©Pascale Montandon-Jodorowsky

カンヌ国際映画祭での上映の後、会場を埋め尽くす800人もの人々の拍手喝采が鳴り止まぬ中ホドロフスキーが舞台に登場し、舞台挨拶を行った。

映画『エンドレス・ポエトリー』

ホドロフスキー監督は客席からの「映画は癒しになり得るのか?」という質問に「もちろんイエスだ。この映画は“詩的な物語”ではなく“詩的な行為”そのものなんだ。映画を作る行為、それ自体がサイコマジック・ボム、つまり癒しになるんだ。世の中の全てがお金に置き換えることができる現代において、"詩"とは唯一お金にに置き換えることのできないものだ。だから"詩”こそが唯一の芸術であり、行為そのものであり、生き方なのだ」と発言。続けて、「この映画の製作はとても大変だった。当初製作資金が足りなかったけれど、奇跡が起こるかもしれない、と撮影をスタートさせた。結果、キックスターターとインディーゴーゴーのクラウドファンディングで世界中から1万人に及ぶ人々が出資をしてくれ、作品を完成することができた」と答えた。

映画『エンドレス・ポエトリー』

14日夜に行われた公式上映ではホドロフスキーをはじめ、ブロンティス・ホドロフスキー、アダン・ホドロフスキー、チリからは母親役のパメラ・フローレス、子どものころのアレハンドロ役のイェレミアス・ハースコヴィッツが揃って劇場に登場、観客からは大きな拍手と声援がおくられた。

映画『エンドレス・ポエトリー』
映画『エンドレス・ポエトリー』

各メディアからも「ホドロフスキーの最高傑作!」(米バラエティ紙)、「自由奔放なアイデアと本当の優しさに満ちた作品!撮影監督のクロストファー・ドイルによって降り注ぐ鮮やかな色たちがホドロフスキーのおとぎ話とマジックリアリズムを強調している」、「87歳にして、今がキャリアのピーク!」(米インディワイヤー誌)と絶賛の声が相次いだ。




映画『エンドレス・ポエトリー』
2017年春日本公開

物語は、ホドロフスキー一家が故郷トコピージャから首都サンティアゴへ移住するところから始まる。青年アレハンドロは、自分への自信のなさと抑圧的な両親との葛藤に悩み、この環境から脱し何とか自分の道を表現したいともがいていた。ある日、アレハンドロは従兄リカルドに連れられて、芸術家姉妹の家を訪れる。そこでは、古い規則や制約に縛られない、ダンサーや彫刻家、画家、詩人など若きアーティストたちが共に暮らしていた。彼らと接していく中でアレハンドロは、それまで自分が囚われていた檻から、ついに解放される。エンリケ・リンやニカノール・パラといった、後に世界的な詩人となる人物たちとの出会いや、初めて恋に落ちたステジャ・ディアスとの会遇によって、アレハンドロの詩的運命は、新たな未知の世界へと紐解かれていく。

監督・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー
撮影:クリストファー・ドイル
出演:アダン・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、ブロンティス・ホドロフスキー、レアンドロ・ターブ、イェレミアス・ハースコヴィッツ
配給:アップリンク
2016年/フランス、チリ、日本/128分/スペイン語

公式Twitter:
https://twitter.com/JodorowskyFilms
公式FACEBOOK:
https://www.facebook.com/jodorowskyfilms
公式instagram:
https://instagram.com/jodorowskyfilms/

▼映画『エンドレス・ポエトリー』抜粋映像

レビュー(0)


コメント(0)