骰子の眼

art

東京都 渋谷区

2016-09-15 19:00


ボルタンスキー、パイク、ボイスの伝説的作品から最新作まで「オールピスト東京2016」

自由な世界の映像に触れるアートフェスティバル、六本木・渋谷で開催
ボルタンスキー、パイク、ボイスの伝説的作品から最新作まで「オールピスト東京2016」

パリ発、枠にとらわれない自由な映像フェスティバル「オールピスト東京」が9月16日(金)より24日(日)まで六本木SuperDeluxeと渋谷アップリンク・ファクトリーを中心に、都内各地で行われる。2016年は「COMMOTION:コモーション~ざわめきの彼方に」をテーマに、エッジの効いた多彩なプログラム。芸術の歴史を動かした伝説的作品、最先端の映像アートやパフォーマンス、おなじみパリとアジアの最新映像セレクションなどが紹介される。webDICEでは、運営スタッフによるおすすめの7プログラムを紹介する。

オールピスト東京2016ディレクター河合政之は、「COMMOTIONとは、〈ざわめき〉や〈動揺〉をあらわす英語・フランス語ですが、その本来の意味は〈ともに動くこと〉です。今まで見たことがないものや体験したことがないことと出会ったとき、私たちはそれに共振し、精神や身体の何かがともに動くのを感じます。コモーションは、私たちの内部からの、新しい発見や共感のあらわれといえるでしょう。HPT2016のテーマである『COMMOTION:コモーション』は、思いがけない出会いから、日常の感覚を揺さぶり、私たちをかつてない世界へと突き動かしていくアートの魅力をあらわしています」と語る。

オールピストとは、世界有数の美術館ポンピドゥー・センター(フランス・パリ)が主催する国際映像祭“HORS PISTES(フランス語で「道を外れる」の意)。その理念を継承するオールピスト東京は2011年より、日本から自由な映像、アイディア、才能を発信し、映像を共有する新たな形を議論し、経験する場を提供している。




SuperDeluxe Day 1 (クリスチャン・ボルタンスキー、映像ライヴパフォーマンスNo.1)

9月16日(金)開場 19:00 開演 19:30
会場:SuperDeluxe

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Christian Bolthanski, 『咳をする男』L'Homme qui tousse, 1969. Coutesy of the artist.

SuperDeluxeでは、9月16日(金)と9月23日(金)の2日間、アート界の巨匠の知られざる映像作品と、若手アーティストによる映像を使ったライヴパフォーマンスを組み合わせたイベントがおこなわれる。

9月16日(金)には、フランス現代アートの巨匠、クリスチャン・ボルタンスキー(1944-)がその初期に制作した、実験映画作品を上映。昨年のヴェネチア・ビエンナーレで上映され、非常な評判を呼んだ。日本でも人気の高いボルタンスキーの知られざる側面を、一気に知ることのできる貴重な機会だ。本邦初上映(いくつかの作品は45年ぶり)。今回は、作家自身の希望により以下の作品を約30分間のループ上映。

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Shuhei Nishiyama, Courtesy of the artist.

その後は、日本で注目を集める若手アーティストたちによる、映像パフォーマンス第1夜。3DCGと蛍光ライヴペインティングのコラボレーション、音響作品とインスタレーションのミックスなど、現代的な映像の多彩な可能性を見せるプログラム。出演は、山形一生/HouxoQue/大和田俊 + 永田康祐/西山修平/西原尚。




SuperDeluxe Day 2(黒田アキ、ヴィルムート、映像ライヴパフォーマンスNo.2)

9月23日(金)開場 19:00 開演 19:30
会場:SuperDepuxe

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Aki Kuroda & Justine Emard, DARKNESS IN PARADISE, 2016, Courtesy of Justine Emard and MORI YU GALLERY.
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Jean-Luc Vilmouth, Bon-chan, 2015-2016, Courtesy of Justine Emard and MORI YU GALLERY.

9月23日(金)には、黒田アキ&ジュスティーヌ・エマール(Music by 渋谷慶一郎)による映像作品を上映。パリ在住の画家、黒田アキのペインティングを、フランス人映像アーティスト、ジュスティーヌ・エマールが撮影、編集。音楽家、渋谷慶一郎が音楽を担当。新作初公開。
また、昨年急逝したフランスのアーティスト、ジャン=リュック・ヴィルムートが遺した福島を撮影した未完の作品を、フランスの映像アーティスト、ジュスティーヌ・エマールが編集し、完成させたものを上映する。新作初公開。前作とともに約30分間のループ上映。

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Shunsuke Minami, Courtesy of the artist.

その後は、日本で注目を集める若手アーティストたちによる、映像パフォーマンス第2夜。観客を巻き込み、予測不能な状況を生み出すハプニング・アートや、フィルムや映写機、ヴィデオ装置のマテリアル性を限界まで追及するライヴなど。出演は、梅田哲也/山内祥太/南俊輔/河合政之 with 浜崎亮太。




オールピスト・パリ2016 セレクション

9月18日(日)プログラム A 16:00/プログラム B 18:00
会場:アップリンク・ファクトリー

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Eduardo Williams, Allons-y!, 2016, Courtesy of the artist.

アップリンク・ファクトリーでは、9月18日(日)と9月19日(月)の2日間、伝説的作品から最新のものまで、世界にざわめきを与える多彩な上映イベントが開催される。

9月18日(日)には、ポンピドゥセンターで2016年4月におこなわれた、「オールピスト・パリ2016」の上映作品の中から、ベスト作品のセレクション上映。難民、戦争、デモなどをテーマにした、パリの映像アートシーンの今に触れるプログラムだ。
セレクションAでは、南米、アフリカ、アジアやクルドのロジャヴァなど世界各地の民衆デモに映し出される、国や目的を超えた現代における共通現象を捉えた『アロンジ!』。そして、現代の難民とギリシャの詩人たちの言葉を交錯させ、かつてより文明の栄枯盛衰とともにあり続け、今なお私たちが直面している人間の移動というテーマに取り組む『トランジット:私たちの痕跡、私たちの没落』を上映。
セレクションBでは、イラク戦争に従事しPTSDに苦しむ兵士の言葉、2011年ウォール街の占拠、ISに破壊された古代アッシリアの遺跡や碑文から、現代の物質社会における赦しの可能性を問う『考古学と帝国の記憶』。そして、中東の戦争における映像装置を用いた遠隔的爆撃の記録を用いて、私たちの視線が武器と化す状況を批判する『我々の罪はフィルムである』を上映。




イジドール・イズー『涎と永遠についての概論』(1951/120min.)

9月18日(日)20:00
会場:アップリンク・ファクトリー

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Isidore Isou,『涎と永遠についての概論』Traite de bave et d‘eternite, 1951. Courtesy of RE:VOIR.

また9月18日(日)夜には、イジドール・イズー『涎と永遠についての概論』(1951/120min.)を上映。ルーマニア出身の詩人イジドール・イズー(1925-2007)によって創始された、戦後フランスでもっとも過激な前衛芸術運動レトリスム(文字主義)最初の伝説的映画作品。映画史上初めてノイズやスクラッチを多用した本作は、当時スキャンダルを引き起こし、カンヌでジャン・コクトーに絶賛され、後の映像アートに大きな影響を与えた。データ量150GBの超高画質版、イズーの晦渋にして他に類を見ない挑発的なダイアローグを完全に日本語字幕化。14年ぶりの上映。




Zing Zing Asia ― アジア公募作品 プログラム

9月19日(月・祝)プログラム A 16:00/プログラム B 17:50
会場:アップリンク・ファクトリー

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Timmy Harn, Cyber Devil X Ahas, 2015, Courtesy of the artist.

9月19日(月・祝)には、Zing Zing Asia と題して、アジア各国からの最新映像作品の公募作品セレクションの上映。海外映画祭で評判になった作品から若い作家のものまで、現代アジアの多様な映像表現の最前線を観られるプログラムだ。
プログラムAでは、昨年10月に来日したフィリピンの若手の奇才ティミー・ハーンの『Cyber Devil X Ahas』やタレンツトーキョー2015に参加したソラヨス・プラパパンのロッテルダム映画祭で上映された新作『Fat Boy Never Slim』など。
プログラムBではザグレブ国際アニメーション映画祭にノミネートした片山拓人監督の『愚図の底』や2013年に福岡アジア美術館で滞在制作をしていたインドの映像作家サミール・タウドの『Serpent of Life』など。




ナム・ジュン・パイク、ヨーゼフ・ボイス、ダグラス・デイヴィス「3人のアーティストによる世界最初のサテライト・ヴィデオアート・イベント」(1974-1977)

9月19日(月・祝)19:30
会場:アップリンク・ファクトリー

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Joseph Beuys, Douglas Davis, Nam June Paik, documenta 6 Satellite Telecast, 1977. Courtesy of Electronic Arts Intermix (EAI), New York.

9月19日(月・祝)夜には、ヴィデオアートの開祖、ナム・ジュン・パイク(1932-2006)、ドイツ現代アートの最重要アーティスト、ヨーゼフ・ボイス(1921-1986)、そしてNYのヴィデオアーティスト、ダグラス・デイヴィス(1933-2014)によって、1977年ドイツのアートフェスティバル、ドクメンタ6にておこなわれた、世界最初のサテライトを使ったアートイベントと、それに先立つNYでの彼らのトークの、貴重な記録映像を上映する。




LoVid スペシャルセレクション

9月19日(月・祝)21:00
会場:アップリンク・ファクトリー

LoVid Digital Dirt Spiderwebs
LoVid, Digital Dirt Spiderwebs, 2016. Courtesy of the artists.

また同じ9月19日(月・祝)夜には、LoVid スペシャルセレクションを上映。NYをベースとする、グリッチ(コンピュータのエラー)を使った映像アートを制作するグループLoVid。2003年の初期作品から最新の作品にいたるまで、世界的に評価を高めつつあるその多岐にわたる活動を、彼ら自身による解説つきで、日本ではじめて紹介する。アナログとデジタル、テクノロジーと身体の境界を超えていく、世界の映像アートのトレンド最先端を経験するチャンスだ。

その他にも、新宿ゴールデン街や明大前、築地など都内3カ所で、より自由で多彩な「サテライト」プログラムも多数開催される。お楽しみに!




オールピスト東京2016 ― COMMOTION:コモーション~ざわめきの彼方に
2016年9月16日(金)~24日(日)

[場所]
SuperDeluxe(六本木)
アップリンク ファクトリー(渋谷)
アクセスはこちら→http://www.horspistestokyo.com/venues/

サテライトイベント:
グリゼット(新宿ゴールデン街)
キッド・アイラック・アート・ホール(明大前)
NOI↓OWWO)(築地)

[詳細]
オールピスト東京2016公式ウェブサイトフェイスブックツイッター

[料金]
SuperDeluxe(9/16、23)前売 2,500円/当日 3,000円 (+ドリンクチケット700円)
アップリンク・ファクトリー(9/18、19)前売 1,500円/当日 1,800円 または 前売 1,200円/当日 1,500円(プログラムにより異なります)
オールピスト東京2016 フェスティバル共通パス 8,000円

公式サイト

主催:オールピスト東京実行委員会、 ポンピドゥー・センター
共催:SuperDeluxe、アップリンク・ファクトリー
協力:Happy Tent、MORI YU GALLERY、東京都庭園美術館、MOMENTUM
助成:公益財団法人ポーラ美術振興財団/POLA ART FOUNDATION
協賛:バカルディ ジャパン株式会社
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本


▼Hors Pistes Tokyo 2016 Official Trailer

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