骰子の眼

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東京都 渋谷区

2016-09-30 13:00


イーサン・ホークが「人生のメンター」を必要としていた中で出会ったピアノ教師とは?

トロント映画祭で『セッション』とは正反対の音楽指導法として注目された『シーモアさんと、大人のための人生入門』
イーサン・ホークが「人生のメンター」を必要としていた中で出会ったピアノ教師とは?
映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』より ©2015 Risk Love LLC

イーサン・ホークが監督を務め、89歳のピアノ教師シーモア・バーンスタインを追ったドキュメンタリー映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』が、2016年10月1日(土)より、シネスイッチ銀座、渋谷アップリンクほかで全国ロードショー。この記事では、多彩なキャリアを持つイーサン・ホークがなぜシーモア・バーンスタインを題材にすることにした理由、テルライド映画祭をはじめとする海外での映画祭での反響などを通し、本作を紐解く。

俳優・監督・小説家……イーサン・ホークについて

『シーモアさんと、大人のための人生入門』でドキュメンタリー映画監督としてデビューしたイーサン・ホーク(以下、ホーク)は、2016年9月にスペインで開催された第64回サン・セバスチャン映画祭で生涯功労賞を受賞。今年は既に5本の出演映画が米国で公開されている。13歳で演じることに出会い、虜になって以降、映画と舞台の俳優、監督、そして小説家として多彩な活動を行ってきたホークだが、キャリアについて人並みに悩んだ時期もあった。彼が40代に差し掛かり「何のために表現するのか」という疑問に直面し、「人生のメンター」を欲していたタイミングで出会ったのは、当時85歳のピアノ教師であり『シーモアさんと、大人のための人生入門』の主題であるシーモア・バーンスタインだった。

ホークは1970年米国テキサス州オースティン生まれ。13歳の時に初めて地元の劇団のワークショップに参加し、演じることに夢中になった。高校生の時に『エクスプロラーズ』(1985年)、大学生の時に『いまを生きる』(1989年)のオーディションに合格、出演。20代では『リアリティ・バイツ』(1994年)で好評を博し同世代のアイコンとなり、『恋人までの距離』(1995年)や『ガタカ』(1997年)に出演。並行してブロードウェイでも演じ、1996年には初めて小説『『痛いほどきみが好きなのに』を発表(2006年に自ら監督・主演を務め映画化)。

30代に入り『チェルシー・ホテル』(2002年)で監督としてデビュー。『トレーニング・デイ』(2001年)では初めてアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、『ビフォア・サンセット』(2004年。『恋人までの距離』続編)ではリチャード・リンクレイター監督と共に主演したジュリー・デルピーと共にアカデミー賞脚本賞にノミネートされた。華々しく多彩な活躍の一方で、初のホラー『フッテージ』(2012年)のヒットまで、出演作が10年以上にわたり赤字続きであったと言う。

映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』より ©2015 Risk Love LLC
映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』より ©2015 Risk Love LLC

40代「人生のメンター」を必要としていた中での出会い

ニューヨークを拠点に活動しているホークは、40代に差し掛かり自分の表現者としての活動の意義に疑問を持っていたある日、トニー・ジト(以下、ジト。医師。本作品のエグゼクティブ・プロデューサー)から夕食会の誘いを受ける。「シーモア・バーンスタインという方が来ますよ」と言われ、バーンスタインのことを知らなかったホークは、グーグルでバーンスタインのことを調べたそう。 一方のバーンスタインも、教え子であるジトから夕食会への誘いを受けた時、「イーサン・ホーク」の名前を知らず、グーグルで調べたら、見たことがある映画にたくさん出演している人だったので驚いたそうだ。

夕食会でバーンスタインの隣に座ったホークは、バーンスタインに対して絶対的な安心感を抱いたという。その場でホークはバーンスタインに「ぜひピアノ演奏を聴かせてほしい」とお願いしたところ、「自宅のピアノでなら」という許可を得た。

夕食会から1年後、ホークはジト、アンドリュー・ハーヴェイ(本作品にも登場するバーンスタインの友人)などごく限られたメンバーでバーンスタインの自宅を訪問し演奏を聴く機会を得た。ハーヴェイらは「誰かがバーンスタインのドキュメンタリー映画を撮るべきだ。映画関係者はホークしかいない」と話し、ホークは、初めは他の映画監督に紹介することを考えていたものの、徐々に自分が監督を務めるべきなのではないか、と考えるようになったそうだ。ホークは「バーンスタインのドキュメンタリー映画を撮ることは、彼と共に時間を過ごし、会話を重ねる格好の理由になると思った」と監督を務めることにした本音を披露している。

映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』 ©2015 Risk Love LLC
映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』より ©2015 Risk Love LLC

「シーモアさんの人生ではなく、彼の教えについての映画を」

ホークは、本作品の製作についてバーンスタインに持ちかけた時、バーンスタインの生まれから現在に至る経緯ではなく、あくまでも「『芸術への傾倒が、人生にどのような効果をもたらすか』という問いに関する作品にしたい」と伝えたそうだ。バーンスタインは快諾。ホークの妻であるライアン・ホークがプロデューサーを務め、ホークのスケジュールの他のプロジェクトの合間を縫って2年半にわたって撮影が行われた。

本作品にはホーク自身が登場し、バーンスタインとの出会いや惹かれた理由について語っている。自らが登場した理由について、ホークは「なぜ『自分が』バーンスタインの『ピアノ・レッスンに関する』映画を撮るのか明確にしたかったからだ」と話している。ホークが考え方のお手本として挙げているのが、長年ホークが愛読しているというローリング・ストーン紙のキャメロン・クロウ(音楽評論家・映画監督・脚本家・俳優)によるアーティスト評。ホークは「クロウの評には、ただアーティストが良い・悪いではなく、『なぜクロウにとって』そのアーティストが素晴らしいのか、という思いが、クロウ自身の姿が垣間見える文章であり、だからこそ説得力がある。その深さをお手本にした。」と話している。

バーンスタインが見たホーク

2人が意気投合した理由として、バーンスタインは「2人とも『(誰かが創作した作品の)再生者』であると同時に、自らも作品を生み出す『創作者』だから」と語っている。バーンスタインは50歳でピアニストとして引退した後、作曲家として多数の作品を生み出している。一方のホークは、先にも触れた通り小説を発表するなど創作活動も継続している。バーンスタインはホークに対して「次は半年間、どこかに籠って『セールスマンの死』(アーサー・ミラー作、1949年発表)を凌駕するような戯曲を書くといい」と勧めているという。

また、バーンスタインは教える時のコツとして「生徒の精神状態、体調、テクニックを理解し、生徒の身になって教えること」とインタビューで話しているが、それはホークの長所にも通じるという。「イーサンは、これまで様々な役に入り込み、素晴らしい演技をしてきた。それと同じように彼は私に入り込み、私という人間のエッセンスを見事に捉え、ドキュメンタリー映画として表現してくれた」と話している。

映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』 ©2015 Risk Love LLC
映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』より ©2015 Risk Love LLC

シーモアさん35年ぶりのリサイタル

本作品のラスト・シーンを飾るのは、バーンスタイン35年ぶりのリサイタル。ホークから依頼を受けたバーンスタインは、期待に応えなければと、まるでデビュー・リサイタルに臨むかのように1日6~8時間練習に励んだという。

この特別な機会は、ホークの発案。撮影を進める中で、何か象徴的なイベントがあったらいいのではないかと思い、ホークは自らが所属するラビリンス・シアター・カンパニーのメンバー向けのリサイタルをバーンスタインに依頼。ラビリンス・シアター・カンパニーは1992年に故フィリップ・シーモア・ホフマンを含む十数名の俳優によって結成された劇団であり、ホークは2012年にメンバーとなった。俳優のみならず脚本家、ダンサーなど様々な表現手段を用いるメンバーが在籍しており、ピアノという表現手段のマスターであるバーンスタインの演奏は、メンバーに良い気付きを与えるのではないか、とホークは考えたそうだ。俳優、マーク・ラファロの姿も観客としてスクリーンに一瞬だが登場する。

会場となったスタインウェイのショールーム「スタインウェイ・ホール」は「2代目」として1925年にオープンし、凡そ90年間に亘ってクラシック・ピアニストのみならずハリー・コニック・ジュニアやビリー・ジョエルなど分野を問わず様々なアーティストに愛された。本作品の撮影後、2014年に閉鎖された。3代目(住所:1133 Avenue of the Americas (Sixth Avenue))は現在建築中だそう。なお、1代目は1866年にオープン。2,000人収容の大規模なホールで、オープン当初からカーネギー・ホールがオープンする1891年までニューヨーク・フィルハーモニー・オーケストラの本拠地だった。2代目のオープンにあわせ1920年代に入り閉鎖された。

映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』 ©2015 Risk Love LLC
映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』より、「スタインウェイ・ホール」で演奏するシーモア・バーンスタイン ©2015 Risk Love LLC

2014年夏、配給会社決定、映画祭での上映

2年半かけて製作された本作品は、2014年8月下旬から9月にかけて一気に世の中の注目を集めた。その立役者はイーサン・ホークと『ビフォア・ミッドナイト』等で仕事をした映画製作・配給会社シネティック・メディアの創業者であり代表のジョン・スロス。配給会社との交渉を引き受け、且つテルライド映画祭、トロント映画祭、そしてニューヨーク映画祭と、1ヶ月の間に3つの著名な映画祭で発表されるよう手配した。その後、ベルリン映画祭のマーケットでアップリンクが買付け、日本での配給が決定した。

2014年7月にイーサン・ホーク出演『6才のボクが、大人になるまで。』が米国で劇場公開され、高評価を得る中、2014年8月28日、配給会社・IFCフィルムズのレーベル、サンダンス・セレクトが本作品の北米と南米での配給権を取得したとのニュースが流れた。IFCフィルムズはホークの初監督作品『チェルシー・ホテル』(2002年)や、『6才のボクが、大人になるまで。』の配給も手掛けており、ホーク自身もIFCフィルムズ代表のジョナサン・セーリングと密にコミュニケーションを取ったという。

粒揃いのテルライド映画祭

北米・南米での配給会社決定発表の翌日から米国コロラド州で始まったテルライド映画祭(2014年8月29日~9月1日)で本作品は世界初上映され、高評価を得た。現地を訪れたバーンスタインは「映画祭で道を歩いていると、全く別の3人から『音楽のことは詳しくないけれど、あなたの言葉はとても心に響きました』と言ってハグされ、3人とも涙を流していた」という経験をしたそうだ。

テルライド映画祭は、ロッキー山脈の麓、標高2,700mにある人口約2,300人の街テルライドで毎年レイバー・デー(9月の第一月曜日)の連休に合わせて開催される。1974年に映画プロデューサー、トム・ラディらによって始まった映画祭。「映画祭初日まで上映作品は秘密」というポリシーを貫き、最近8年間のアカデミー賞作品賞のうち7作品はこの映画祭で世界或いは北米初上映されたという確かな目を持ち、2014年のテルライド映画祭では本作品の他に『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』『わたしに会うまでの1600キロ』『フォックスキャッチャー』など錚々たる作品が世界あるいは北米初上映された。今年はライアン・ゴズリング、エマ・ストーン主演『LA LA LAND』、エイミー・アダムス主演『メッセージ』、ルーニー・マーラ『Una』等が上映され、ベネチア映画祭とトロント映画祭の合間に出演俳優や監督をはじめ映画関係者が大集合した。

映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』 ©2015 Risk Love LLC
映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』より ©2015 Risk Love LLC

アンチ『セッション』としての上映@トロント映画祭

2014年のトロント映画祭では、本作品とともに、ジャズ・ドラマーを目指す生徒と鬼のジャズ教師の関係を描いた『セッション』も上映され、本作品との対照的な音楽指導が話題となった。ホークは『セッション』についてインタビューで「『シーモアさんと、大人のための人生入門』とネガポジの関係にある映画だと思った。『セッション』は力と誇張でドラマを作ろうとしているけれど、この作品はそれに対する解毒剤だ。シーモアさんは、学生たちが最高の状態で演奏できるよう、自主性と穏やかさを与えようとする。それは、僕が俳優の仕事をするときに監督に望むことだ。僕はリチャード・リンクレイターと8回仕事をしているけれど、それは彼の撮影現場でカメラの前に立つと、とても穏やかな持ちになれるからだ。お互いに課題がまったくない」と語っている。尚、本作品はドキュメンタリー部門観客賞第3位に選ばれた。

一方で、音楽家の菊地成孔氏は「音楽レッスンがハラスメントになる可能性を描いたのが『セッション』だとしたら、これは音楽レッスンが宗教になる可能性を突いている」と述べている(『UOMO』2016年11月号)。

地元・ニューヨーク映画祭

映画祭3連続の最後はホークとバーンスタインの本拠地、ニューヨーク映画祭(2014年9月27日~10月13日)。上映後のQ&Aにはホークとバーンスタインが登場し、30分以上に亘って製作経緯などについて観客に答えた。ホークにとって、映画祭であり会場であるリンカーン・センターは約30年間、憧れ続けた場所だったという。

▼ニューヨーク映画祭上映後のQ&A

映画祭期間中に開催されたレセプションで、バーンスタインは約8分間の演奏を披露(引退後、本作品に収められた演奏会に続き2度目)。終了後、ホークはバーンスタインを力強く抱きしめた。

▼バーンスタインのコメントおよび演奏の様子(演奏は6分40秒~)

尚、本作品の原題『Seymour: An Introduction』はサリンジャーの小説『Raise High the Roof Beam, Carpenters and Seymour: An Introduction』(日本語タイトル『大工よ、屋根の梁を高く上げよ シーモア-序章-』)の一部を(恐らく偶然)もじっているが、内容が全く異なるので、映画祭の上映に参加した記者たちは本作品レビューを「サリンジャーの小説とは違いますよ」と少なからず書き出している。

教会での特別上映

アメリカでの劇場公開直前の2015年3月12日、本作品の配給を担当するサンダンス・セレクトが、屋外上映を主催するルーフトップ・フィルムズと、シャンパン・ブランド「パイパー・エドシック」と協力し、本作品の特別上映が開催された。会場はニューヨークのミッドタウンにある1918年に建てられたセント・バーソロミュー教会。敷地内にレストランを併設した教会で、ホークは挨拶で「教会でシャンパンを飲んでもいいのかな?」と冗談を飛ばしながら特別に本作品のためにデザインされたラベル付のシャンパンで乾杯をしたそうだ。

招待客の中には本作品に収められた演奏会にも出席したマーク・ラファロや、パーカー・ポージーが含まれていた。特にマーク・ラファロは自身の公式タンブラーで映画を推薦している。

イーサン・ホークとシーモアさん その後

ホークは、2015年11月には子供向けの本『Rules for a Knight』を出版。挿絵を手掛けたのは本作品のプロデューサーでもあり、ホークの妻でもあるライアン・ホーク。作品の舞台は中世、1483年。イギリス、コーンウォール地方の騎士、サー・トーマス・レミュエル・ホークが、戦争に出発する前夜、自分の4人の子供たちに生き方に関して伝えるために書いた手紙、という体裁をとった。

2016年には原作を手掛けたコミック『Indeh: A Story of the Apache Wars』が発売になった。物語の舞台は1872年、アパッチ族の対白人抵抗戦であるアパッチ戦争。膨大な史実調査に基づき、兵士ジェロニモの視点から文化の違い、戦争の恐ろしさ、平和と赦し、等を描いている。

映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』 ©2015 Risk Love LLC
映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』より ©2015 Risk Love LLC

本作品が上映されたトロント映画祭では、その後もホークの出演作が毎年上映されている。2015年には俳優として伝説的なジャズ・トランペッター、チェット・ベイカー演じた『ブルーに生まれついて』(2016年11月26日に日本公開)が上映され、ホークの史上最高の演技として絶賛された。2016年には黒澤明監督『七人の侍』のリメイク『マグニフィセント・セブン』が世界初公開され、劇場でも順次公開されている。『トレーニング・デイ』の監督、アントワーン・フークアと、共演のデンゼル・ワシントンが再集結した作品で、日本では2017年1月27日より公開される。

今年89歳になったバーンスタインは、6月に朝鮮戦争66周年記念式典へ出席するために退役軍人として韓国を訪問。記者会見では「金正恩氏にピアノ・レッスンをするためにぜひ北朝鮮を訪問したい(笑)」と話した。これまでバーンスタインはピアノ・レッスン等のために3度韓国を訪れている。なお、この訪問に先駆け、今年4月に本作品は韓国で公開された。

映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』 ©2015 Risk Love LLC
映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』より ©2015 Risk Love LLC

人と人が出会った敬愛の結晶

映画祭などでのホークとバーンスタイン、2人揃ってのインタビューを見ていると、本作品の魅力の根源は、ホークとバーンスタインの深い敬愛であることが伝わってくる。2人の性別、年齢、職業が違っていたら、2人の出会いがドキュメンタリー映画という形で実を結ぶことはなかっただろう。この2人の組み合わせだったからこそ、ドキュメンタリー映画という形をとって2人の敬愛が世の中に広がっていったことは、とても素敵な結果だ。作品を通じて流れるバーンスタインの驚くほど優しいピアノの音色が、とてもロマンチックな音に聞こえてくる。

バーンスタインは本作品の中で「音楽家としての自分と普段の自分を、深いレベルで一致させること」を善しとして教え、インタビューで「私は生徒の教師でもあるし、文脈によって父親、兄弟、友人、同僚…何にでもなり得て、それは全て『私』だ」と語っている。本作品を見終わった後、世の中で定義される人間関係に縛られず、純粋に「もっと話をしたい」と思う人は誰か、考えてみるのは如何だろうか。またはその人と一緒に見に行き、会話のきっかけとしては如何だろうか。

(文責:moonbow cinema 維倉みづき)



映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』

映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』
2016年10月1日(土)、シネスイッチ銀座、渋谷アップリンクほか、全国順次ロードショー

人生の折り返し地点――アーティストとして、一人の人間として行き詰まりを感じていたイーサン・ホークは、ある夕食会で87歳(映画製作時)のピアノ教師、シーモア・バーンスタインと出会う。たちまち安心感に包まれ、シーモアと彼のピアノに魅了されたイーサンは、彼のドキュメンタリー映画を撮ろうと決める。シーモアは、50歳でコンサート・ピアニストとしての活動に終止符を打ち、以後の人生を「教える」ことに捧げてきた。ピアニストとしての成功、朝鮮戦争従軍中のつらい記憶、そして、演奏会にまつわる不安や恐怖の思い出。決して平坦ではなかった人生を、シーモアは美しいピアノの調べとともに語る。彼のあたたかく繊細な言葉は、すべてを包み込むように、私たちの心を豊かな場所へと導いてくれる。

監督:イーサン・ホーク
製作:ライアン・ホーク、グレッグ・ルーザー、ヘザー・ジョーン・スミス
撮影:ラムジー・フェンドール
音声:ティモシー・クリアリー、ギレルモ・ペナ=タピア
編集:アナ・グスタヴィ
出演:シーモア・バーンスタイン、マイケル・キンメルマン、アンドリュー・ハーヴェイ、ジョセフ・スミス、キンボール・ギャラハー、ほか
配給・宣伝:アップリンク
2014年/アメリカ/81分/英語/カラー/16:9/DCP
原題:Seymour: An Introduction

公式サイト:http://www.uplink.co.jp/seymour/


▼映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』予告編

レビュー(1)


  • 天見谷行人さんのレビュー   2016-11-09 12:09

    シーモアさんと、大人のための人生入門

    2016年11月4日鑑賞 芸術と人生、その「聖性」と「魔力」 ***** 辻井伸行さんが優勝した、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール。 ご存知でしょうか? あの時、優勝者は二人でした。 辻井さんともう一人、中国の若きピアニ...  続きを読む

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