骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2017-03-03 18:45


日本初「東京ろう映画祭」開催、ろう者の視点からセレクトされた全12作を上映

映画『LISTEN リッスン』の牧原依里共同監督とアーティストの諸星春那さん、ふたりのろう者が企画
日本初「東京ろう映画祭」開催、ろう者の視点からセレクトされた全12作を上映
『新・音のない世界で』 ©Kaleo Films

日本初となる「ろう」をテーマにした映画祭「東京ろう映画祭」が3月9日(木)から4月10日(月)まで渋谷ユーロライブ他にて開催される。この映画祭はアップリンク配給『LISTEN リッスン』の共同監督をつとめる牧原依里さんとアーティストの諸星春那さん、ふたりのろう者が2016年に企画を立ち上げた。開催にあたりwebDICEでは、牧原さんと諸星さんによる、上映される全12作品のレコメンド文を掲載する。

5年前にCINEDEAF(イタリア国際ろう映画祭)に訪れたのをきっかけに映画製作を志した牧原さんと、ヨーロッパ最大のろう芸術国際フェスティバルや外国の様々なろう映画祭を実際にこの目で見てきた諸星さんは、聴者とは異なる、独特の文化と言語をもったろう者の世界を、日本でも是非知ってもらいたいという思いからこの映画祭を立ち上げた。

「東京ろう映画祭」では、ろうの世界を生きる人の視点からセレクトされた、ろう者の生活やそれを取り巻く社会問題、ろう文化などに焦点をあてた長編・短編を上映。アフタートークや「社会の中のろう者、映画の中のろう者」をテーマにしたシンポジウム、日本語字幕付き字幕初上映の邦画、ろう写真家・井上孝治の写真展や『LISTEN リッスン』のもうひとりの共同監督・雫境が神津裕幸として開催する個展、フランスよりろう俳優を招聘してのワークショップなど、様々な角度からろうの世界を知ることができる。

アジア初上映となる『新・音のない世界で』は、ろう者のアイデンティティの物語です。フランスの状況を垣間見ることで、日本のろう者の社会とのシンクロティが数多くあることに気づかせられるとともにこれからの未来をもまた示唆している作品です。(牧原依里)




『音のない世界で』

『音のない世界で』 ©1992 Les Films d’Ici,La Sept Cinema,C.E.C. RhOne-Alpes
©1992 Les Films d’Ici,La Sept Cinema,C.E.C. RhOne-Alpes

パリのろう学校では、ろう児たちが手を口元にあてて息が吹きかかる感覚で声を出す練習をしている。また別のとある場所では、ろうの男性が手話で聴者たちに自らの体験を伝えている……。フランスのドキュメンタリー映画の第一人者であるニコラ・フィリベール監督が、異文化という視点から音の聞こえない世界を捉え、そこで生活するろう者たちの率直な姿を映したドキュメンタリー。

知る人ぞ知る、名作。92年ポポリ映画祭、ベルフォール映画祭、ボンベイ国際映画祭でグランプリを受賞するなど各国で高い評価を受けました。当時、この映画は聴者とともにろう者たちにも衝撃を与えました。私自身も小学生の時にこの映画を観て感銘を受けた作品の一つです。「ろうを誇りとして思っていいんだ」と小さい時から違和感を抱えていた何かを吹き晴らしてくれた映画です。日本での上映権利が切れていましたが、今回久しぶりにスクリーン上で甦ることになりました。(牧原依里)

監督:ニコラ・フィリベール/1992年/フランス/99分/カラー
言語:フランス語・フランス手話・日本語字幕
上映日:4月9日(日)15:40




アジア初上映

『新・音のない世界で』
(原題:ろう者の目であなたに近づいていく)

『新・音のない世界で』 ©Kaleo Films
©Kaleo Films

レティシア・カートン監督のろう友人、ヴァンサンが突然亡くなったー。失意の中からレティシアはフランスのろう者と手話の世界へカメラを向ける。社会から抑圧され続けてきた彼らの怒り、家族への愛や葛藤、ろう教育の現実……。10年の歳月をかけ、ろう者たちの様々な心情に追ったドキュメンタリー。モントリオール世界映画祭などの複数の映画祭に出品。今年フランスで公開され、ヨーロッパ各地で上映展開されている。アジアでは初上映となる、未配給作品。

この映画に登場するのは、レティシア監督が愛するろう者たち。彼らは小さい頃の口話教育の経験、家族との複雑な関係や現在について自分の思いを各々に吐露していきます。これはろう者のアイデンティティの物語であり、政治的で芸術的な映画です。フランスの状況を垣間見ることで、日本のろう者の社会とのシンクロティが数多くあることに気づかせられるとともにこれからの未来をもまた示唆している作品です。「音のない世界で」と「新・音のない世界で」それぞれの作品にレヴェント氏(ろう俳優)がご出演されているのもフランスの25年間の歴史を感じ、実に興味深い作品となっています。4月7日(金)と4月9日(日)、レティシア監督とレヴェント・ベシュカルデシュ氏の舞台挨拶があります。(牧原依里)

監督:レティシア・カートン/2016年/フランス/105分/カラー
言語:フランス語・フランス手話・日本語字幕
上映日:4月7日(金)13:00 / 4月9日(日)17:50
上映後にレティシア・カートン監督、レヴェント・ベシュカルデシュ氏(本作出演者)舞台挨拶有




『あの夏、いちばん静かな海。』

『あの夏、いちばん静かな海。』  ©1991 オフィス北野
©1991 オフィス北野

ろうの男女が織りなす恋愛模様を綴った、北野武監督第3作。ろう者でゴミ収集車の助手をしている茂はある日、粗大ゴミに出されたサーフボードを拾う。恋人の貴子に見守られながらサーフィンを始めた茂はやがて大会に出場することになるが……。映画評論家の故・淀川長治氏から「これはサイレントのラブストーリーだ」と絶賛を受けた北野映画初期の傑作。主人公ふたりの台詞を排することで既存の恋愛映画とは一線を画した。出演に真木蔵人、大島弘子、寺島進など。

今回16mmフィルムに日本語字幕投影で上映されます。この映画は日本ろう者劇団が手話監修されています。北野武監督の率直な眼差しがありのまま映し出されており、聴者からろう者に対する接し方や空気感があの時代の聴者とろう者の関わり方を象徴しているかのようです。この次のプログラムに「映画の中のろう者/社会の中のろう者」もあり、この映画と連続してご参加いただくことで「ろうと映画」について様々な角度から捉えていただけるようになっています。(牧原依里)

監督:北野武/1991年/日本/101分/カラー
言語:日本語・日本手話・日本語字幕
上映日:4月7日(金)17:05




未配給作品

『あなたたちのために』

『あなたたちのために』 ©2015 Rai Com
©2015 Rai Com

子供の頃から家族に尽くしてきたアンナは、旦那の暴力に耐えながら二人の娘とろう者の息子、さらには両親の面倒まで見なくてはならない。自分には何の価値もないと鬱々と暮らしてきた彼女だが、テレビ局の仕事を得たことをきっかけに変化が訪れる。ナポリを舞台に、問題を抱えた一人の女性の内面世界をモノクロとカラーの実験的な映像で映し出した人生ドラマ。

夢のような部分と、リアリズムの部分をつなげていくことが難しいところを自由闊達な映像表現で主人公の内心を描写されています。主演のヴァレリア・ゴリーノは、この映画でヴェネチア映画祭の最優秀主演女優賞を受賞しました。この映画にはイタリアのろう者が一部出演しており、ローマ国際ろう映画祭CINEDEAF実行委員会のデボラ・ドナーディオ氏が手話指導を行いました。イタリアでは、CINEDEAFがろう者役はろう者が演じるべきだという考え方を発信しており、この映画はその成果の一つということです。4月8日はそのデボラ・ドナーディオ氏による映像メッセージで「あなたたちのために」での手話指導の裏話などを語っていただきます。(諸星春那)

監督:ジュゼッペ・M・ガウディーノ/2015年/イタリア・フランス合作/110分/カラー・モノクロ
言語:イタリア語(一部イタリア手話)・日本語字幕・英語字幕

上映日:4月8日(土)10:30
※上映後、ローマ国際ろう映画祭CINEDEAF実行委員会のデボラ・ドナーディオ氏による映像メッセージ有




『LISTEN リッスン』

『LISTEN リッスン』 ©2016 DeafbirdProduction
©2016 DeafbirdProduction

ろう者が自身の手指や顔の表情、全身を使い視覚的に「音楽」空間を創り出していく有り様を映し出した完全無音のアート・ドキュメンタリー。手話言語を通じて日常的に熟達した彼らの表現は「音楽とは?」という問いのさらに奥深く、人の内面から滲み出る内なる“何か”へと迫っていく。ろう者のアイデンティティーという地盤から新たな「音楽」の可能性を見出した話題作。毎日映画コンクールドキュメンタリー部門ノミネート。

東京ろう映画祭ディレクターの牧原が共同監督をつとめた、「ろう者の音楽」をテーマにした映画です。聴者に無音で鑑賞していただくために耳栓を配布したユニークな方法が話題になりました。さらにその映像体感が聴者に「ろう者とは」と考えさせるきっかけを与えています。上映後に牧原依里・雫境共同監督とNHK手話キャスターでご活躍されている木村晴美さんをお迎えし、『LISTEN リッスン』の世界とその魅力をろう者同士で紐解いていただきます。(諸星春那)

監督:牧原依里・雫境/2016年/日本/58分/カラー
言語:音声なし(サイレント)・日本手話・日本語字幕
上映日:4月8日(土)15:25 牧原依里・雫境(本作両監督)・木村晴美(NHK手話ニュース845キャスター) アフタートーク有




DVD未販売

『私を見てください、私があなたを見ます』

『私を見てください、私があなたを見ます』 ©FotoFilmEcrit1996
©FotoFilmEcrit1996

ろう俳優のレヴェント・ベシュカルデシュが井上孝治の生涯と功績をフランス手話で語る、写真と手話によって構成された短編。監督のブリジット・ルメーヌは1993年にアルル国際写真フェスティバルで井上の写真作品に感銘を受け、井上や自身の祖父をはじめとしたろう芸術家たちへの想いを込めて制作した。

ブリジット・ルメーヌ監督の優れた美意識から捉える映像と手話との融合により、ろう者がもつ「視覚の知性」を演出しています。レヴェント氏が語るフランス手話は実に視覚的で魅力的です。4月7日(金)オープニング上映の他、4月5日~10日に開催される「井上孝治写真展」にてループ上映されます。(諸星春那)

監督:ブリジット・ルメーヌ/1996年/フランス/19分/モノクロ
言語:フランス手話・日本語字幕

・映画祭オープニングにて上映 ※4月7日(金)10:30~『井上孝治、表象を超えた写真家』のチケットを購入した方のみ参加可能。
・「井上孝治」写真展 PART2 / アメリカ橋ギャラリー[4月5日(水)~4月10日(月)]にてループ上映




劇場未公開

『井上孝治、表象を越えた写真家』

『井上孝治、表象を越えた写真家』 ©FotoFilmEcrit1999
©FotoFilmEcrit1999

一度もプロを名乗ることなく生涯を閉じたろう者の写真家・井上孝治は人々の生活を生き生きと捉えた彼の作品はアルル国際写真フェスティバルをはじめ、世界的にきわめて高い評価を得ている。ブリジット・ルメーヌ監督は井上の写真に「無声映画のような美しさ」を見出し、彼の生涯を追うべく来日する。井上が過ごした福岡の風景や写真をはじめ、生前を知る家族や友人、作家の黒岩比佐子(井上の評伝を執筆)らのインタビューによって構成された、井上孝治を追想する記録ドキュメンタリーでは一部、故人・井上孝治さんの映像が見られる大変貴重な機会。

ブリジット・ルメーヌ監督は短編映画『私を見てください、私があなたを見ます』の制作を終えてから、井上孝治の家族や友達に会いに行きたいと夢見るようになり、撮るために日本へ行き、制作した映画です。4月7日(金)、手話が日本語とは異なる独自の言語であるがゆえに日本語を習得できなかったろう高齢者のために手話弁士の回を設けました。手話弁士の米内山明宏氏がスクリーン横に、登場人物のせりふやさまざまな音を手話で伝えます。そして、4月7日(金)、8日(土)上映後、ブリジット・ルメーヌ監督の舞台挨拶があります。制作や来日した当時の様子をお伺いする予定です。(諸星春那)

監督:ブリジット・ルメーヌ/1999年/フランス/64分/カラー
言語:日本語・日本手話・日本語字幕
上映日:4月7日(金)10:30 (手話弁士有・米内山明宏氏)、4月8日(土)13:20
各回上映後、ブリジット・ルメーヌ監督の舞台挨拶




DVD未発売

『たき火』

『たき火』 ©睦聾唖映画保存会
©睦聾唖映画保存会

北海道の片田舎から上京した耳の聴こえない青年は、靴磨きの女性ろう者に恋をするも、自分の仕事探しに四苦八苦しながら生活している。様々な人たちとの出会いの中、青年は東京で成長していく…。国民に手話が普及してきた昭和中期の青春・人情物語。昭和39年~45年の8年間という長い歳月をかけて制作された。深川勝三監督の病状の悪化により未公開のまま約40年間お蔵入りとなっていたが、5年前にろう者たちの手によって復刻された不朽の名作。

8mmフィルム・インディペンデント映画の先駆者でもある深川勝三監督の大結集作品。1960~70年代の新橋や有楽町、「東芝」が映っているビルなど今はもう観れない、あの頃の東京が観れます。全国各地で上映され、リピーターが続出している名作です。この映画のユニークな所は監督をはじめスタッフや俳優全員がろう者、しかも聴者役も演じていたこと。「たき火」の上映後、本作ご出演者の高正次さんと、この8ミリフィルムを見つけ出した団体の一員であるろう俳優でもある那須英彰さんをお迎えし、深川勝三監督作品の魅力について語っていただきます。(牧原依里)

監督:深川勝三/1972年/日本/108分/モノクロ
言語:音声なし(サイレント)・日本手話・日本語字幕
上映日:4月9日(日)12:50
※上映後、高正次氏(本作出演者)・那須英彰氏アフタートーク有




DVD未発売

『三浦浩翁半生記』

『三浦浩翁半生記』 ©睦聾唖映画保存会
©睦聾唖映画保存会

ろう教育に身を捧げ、多くのろう者の希望の灯となった実在のろう教師・三浦浩氏の半生を綴る深川勝三監督第2作。明治33年、幼少時の日射病が元でろうになった浩は医者の紹介で東京盲?学校へ入学する。寝る間を惜しんで勉学に励むことで浩の成績はうなぎのぼりになるが、一方では彼をねたむ者からの嫌がらせの被害に遭うことに。逆境の中、浩は希望する進路の夢を叶えられるのか……?フィルムを通して明治時代の書生たちの悠々とした暮らしや痛快な交友関係、当時の寮生活の様子が克明に描かれる。

8mmフィルムで撮影された、「前編」「後編」「完成編」からなる約7時間に及ぶ大作を2時間に再編集したデジタル復元版。当時の8mmフィルムは1本3分。深川監督の執念が感じられます。当時、口話教育は浸透されておらず、手話教育が一般的でした。あの時のろう学校の教育の背景や差別、聴者とろう者の距離感をこの映画を通して知ることができる作品です。(諸星春那)

監督:深川勝/1964年/日本/110分/モノクロ
言語:音声なし(サイレント)・日本手話・日本語字幕
上映日:4月9日(日)10:30




日本初上映

『ジ・エンド』

『ジ・エンド』 ©BSL ZONE
©BSL ZONE

ローマろう国際映画祭など世界中の様々なろう映画祭でグランプリを受賞し、拍手喝采を得たモキュメンタリー。ろうの人々を聴者に変える「革命的治療」が誕生した中、監督はろう児のグループの成長を追い始める。彼らは治療やろうを取り巻く環境について各々の思いを語るが、大人に成長するにつれて…。人工内耳の開発で世界的にろう者が減っている近年の状況にろう者の視点から警報を鳴らす。

ジ・エンドにこうきたかという衝撃。その衝撃は未来のろう社会に思いを馳せるとともに、ろう者監督だからこその視点が心に響きます。ろう者という枠だけに留まらず、人工内耳装着者など、それぞれの耳が聞こえない人たちの想いが交錯していく話題作です。(牧原依里)

監督:テッド・エヴァンス/2011年/イギリス/24分/カラー
言語:英語・イギリス手話・日本語字幕
上映日:4月7日(金)15:45、4月8日(土)17:20
※『スティル・ヒア』と併映。




日本初上映

『スティル・ヒア』

『スティル・ヒア』 ©BSL ZONE
©BSL ZONE

30年以上にわたって共にショーを行ってきたろう者のグループが織りなすブラック・コメディ。ある日、グループのまとめ役であったルビーが倒れたことをきっかけに、彼らの人生はドタバタと混乱する。監督のルイス・ニースリングは本作で友情・老い・変化について考え、皮肉とユーモアたっぷりにろうコミュニティを讃えている。ハル・ドレイバー、ジーン・クレア、ジョン・スミスなど、イギリスで長年活躍してきたろう俳優やコメディアンが多数出演。

イギリスらしい皮肉な展開とともに、日本のろう社会にも共通する「ろうコミュニティ」に鋭い視点で笑いとシリアスを交えつつ斬り込んできます。「ろう者あるある」にろう者はクスッと笑い、聴者はその異文化を経験することでしょう。そしてろう者聴者かかわらず、人間として「人生とは?」と語りかけてくる秀作です。(牧原依里)

監督:ルイス・ニースリング/2012年/イギリス/26分/カラー
言語:英語・イギリス手話・日本語字幕

上映日:4月7日(金)15:45、4月8日(土)17:20
※『ジ・エンド』と併映。




日本語字幕初上映

『愛のむきだし』

『愛のむきだし』  ©「愛のむきだし」フィルムパートナーズ
©「愛のむきだし」フィルムパートナーズ

『ヒミズ』『冷たい熱帯魚』『新宿スワン』 等で監督をつとめた鬼才・園子温監督が描く、実話をベースにした究極の純愛物語。敬虔(けいけん)なクリスチャンの家庭に育ったユウ(西島隆弘)は、神父の父(渡部篤郎)に毎日懺悔を強要されている。いつしかユウは自ら“罪”を作るために女性を狙う盗撮魔となっていた。そんなある日、運命の女ヨーコ(満島ひかり)と出会い、生まれて初めて恋に落ちるが…。本作を機にブレイクした満島ひかり、安藤サクラらの熱演に注目!国内外で熱狂的な支持を得た4時間に及ぶ怪作に、今回初めて日本語字幕を付けて上映します。(途中休憩有り)

この作品は牧原の熱烈なオファーで実現しました。MASC(メディア・アクセス・サポート・センター)のご協力のもと、有志たちが日本語字幕を制作。「愛のむきだし」は台詞が膨大な映画でも知られている作品で文字起こしにも苦戦しました。なかなか日本語字幕がつかない、聴者たちの名作をろう者たちに紹介していくのも本映画祭の役目の一つです。園子温監督の狂気、スクリーンでご堪能ください!(牧原依里)

監督:園子温/2009年/日本/237分/カラー
言語:日本語・日本語字幕
上映日:4月8日(土)18:40 ※R15-指定15歳未満の方はご覧になれません。




東京ろう映画祭

■東京ろう映画祭(TOKYO DEAF FESTIVAL 2017)
2017年3月9日(木)から4月10日(月)ユーロライブほか

第一回目となる今回は、聴者からの抑圧に闘うフランスのろう者たちの姿を追い、モントリオール世界映画祭などで上映されたアジア初上映となる「新・音のない世界で(原題:ろう者の目であなたに近づいていく)」の他、1960年代に映画を8mmフィルムで撮影したインディペンデント映画の先駆者でもあるろう者初の監督、深川勝三監督作品「たき火」「三浦浩翁半生記」などがプログラムされた。

開催を記念して、フランスより「新・音のない世界で」レティシア・カートン監督、「井上孝治、表象を越えた写真家」「私を見てください、私もあなたを見ます」ブリジット・ルメーヌ監督、上記の作品の他「音のない世界で」に出演しているろう俳優のレヴェント・ベシュカルデシュ氏が来日する。「障害者ではなく別の国の人」と言われているろう者の世界に映画やアフタートークを通して、直に触れることができる貴重な機会となっている。

会場:渋谷ユーロライブほか
主催:東京ろう映画祭実行委員会(聾の鳥プロダクション)

公式サイト

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