骰子の眼

cinema

2017-12-11 12:00


米配信サイト「MUBI」が選ぶ2017年ベスト映画ポスター

1位はアロノフスキー監督『マザー!』、是枝監督『海よりもまだ深く』もランクイン
米配信サイト「MUBI」が選ぶ2017年ベスト映画ポスター

アメリカの定額制動画配信サービス「MUBI」が、2017年のベスト映画ポスターを発表した。

「MUBI」では毎週「今週の映画ポスター」と題し、映画ポスターのデザインにまつわるコラムが掲載されているが、今回はそのコラムニスト、エイドリアン・カリーが2017年に公開された映画ポスターをランク付けした。

1位には『π(パイ)』『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキー監督によるサイコ・ミステリー『マザー!』が選ばれた。その他、是枝裕和監督の作品で2017年にアメリカで公開された『海よりもまだ深く』の海外版ポスターが4位にランクイン。今年日本で公開された『シンクロナイズドモンスター』や『フリー・ファイヤー』、2018年3月日本公開のアレクサンダー・ペイン監督『ダウンサイジング』もセレクトされている。


【米配信サイト「MUBI」が選ぶ2017年ベスト映画ポスター】

1位『マザー!』

mother!

監督:ダーレン・アロノフスキー
ジェニファー・ローレンス主演、郊外の一軒家に住む一組の夫婦に訪れる不審な訪問者。ふたりの生活が一変する様を描くサイコ・ミステリー。
※2018年1月19日に東和ピクチャーズ配給により日本公開が予定されていたものの、アメリカのパラマウント・ピクチャーズの意向により日本公開中止

グラフィック・デザイン:ジェームズ・ジーン

「グロテスクで豪華、隠された手がかりが点在し、ホラー映画のポスターというよりは、宗教画のようだ」(「MUBI」コラムニスト、エイドリアン・カリーによるコメント。以下同)


2位『Escapes』(原題)

Escapes

監督:マイケル・アルメレイダ
『ブレードランナー』の脚本家ハンプトン・ファンチャーを描くドキュメンタリー。俳優だったファンチャーがSF映画の金字塔と呼ばれる作品の脚本を執筆することになった経緯を描く。
※日本未公開

グラフィック・デザイン:ブランドン・シェーファー

「灰色の背景に対してフィルムの渦に使われているリッチブラックが好きだ。そこにハンプトン・ファンチャーの70年代の絶頂期を思い起こさせる完璧なタイトル処理が加わり、イメージが完成している」


3位『A Ghost Story』(原題)

A Ghost Story

監督:デヴィッド・ロウリー
A24製作、ルーニー・マーラとケイシー・アフレック主演。交通事故で亡くなった夫が、布をかぶった幽霊になり妻のもとに現れる。
※日本未公開

グラフィック・デザイン:P+A studio

「作品と同じシンプルな美しさがあり、心に訴えかけ、驚かせ、忘れがたい。文字の配置が隅々まで素晴らしい」


4位『海よりもまだ深く』

After the Storm

監督:是枝裕和
売れない小説家の主人公と、団地に一人住まいのその母親、別れた元妻とその息子という家族を描く物語。
※2016年日本公開、2017年3月アメリカ公開

グラフィック・デザイン:アキコ・ステーレンバーガー

「桜で縁取られた、雨で縞模様になった窓越しに、別居中の父と息子が映されたビジュアルには、静かでビターな味わいがある」


5位『On the Beach at Night Alone』(原題)

On the Beach at Night Alone

監督:ホン・サンス
既婚の映画監督との不倫に悩む女優が、旅を続ける。ホン・サンス監督と主演のキム・ミニ自身も不倫関係にあることを発表し話題を呼んだ。
※日本未公開

グラフィック・デザイン:ブライアン・ハン

「昨年の『ムーンライト』を思わせるリッチブルーと紫、女優キム・ミニの視線と地平線そして力強い手描きの文字の配置が秀逸」


6位『ダウンサイジング』

Downsizing

監督:アレクサンダー・ペイン
低収入・住宅問題などを解決するため人類を14分の1に小さくする技術が開発。マット・デイモン演じる主人公が、より良い暮らしを求めてミニチュアの世界に飛び込んでいく。
※2018年3月2日日本公開

グラフィック・デザイン:不明

「ビリング(スタッフやキャストの表記)のなかに縮小され収まったマット・デイモンの姿が最高におかしい。ビジュアル・エフェクトのスタッフの名前が一番上に載っているが、〈映画ポスターの世界の必要悪〉ビリングと闘うデザイナーにとってこれは“秘密の握手”だ」


7位『サマ』

Zama

監督:ルクレシア・マルテル
18世紀、南米の未開の地へ派遣されたスペインの将校サマを巡る物語。国王からの異動命令が届かず未来に絶望したサマは、危険な山賊を追う民兵と行動を共にし始める。
※2017年 第14回ラテンビート映画祭で上映

グラフィック・デザイン:ディエゴ・バラッカ

「18世紀の彫刻のようなサマとヤシの木を捉えた美しいビジュアル。サマの頭に配置されたMの文字がよい効果を与えている」


8位『Jeannette: The Childhood of Joan of Arc』(英題)

Jeannette
Jeannette

監督:ブリュノ・デュモン
これまでも数多く映画化されてきた15世紀フランスの聖女ジャンヌ・ダルク。戯曲『ジャンヌ・ダルクの愛の神秘』を原作に、幼女時代と少女時代をミュージカルとして描く。
※日本未公開

グラフィック・デザイン:ベンジャミン・セズネック(Troika)

「天使と悪魔を表現した2枚1組のポスターだが、明るい黄色と斜めの処理が施されたタイトルの文字がシンプルで好きだ」


9位『シンクロナイズドモンスター』

Colossal

監督:ナチョ・ビガロンド
求職中のライターでアルコール依存症に悩む女性グロリアが、巨大な怪獣とシンクロしてしまう。奇想天外な物語の主人公グロリアをアン・ハサウェイが演じる。
※2017年11月日本公開

アートワーク:ティム・ビスカップ
グラフィック・デザイン:マイケル・ボランド

「今年の最もハイ・コンセプトな映画で、ティム・ビスカップの恐ろしい画とデザイナーのマイケル・ボランドが素晴らしい仕事をしている。最高なタイトル処理も相まった素敵なデザインだ」


10位(同順位)『Promised Land』(原題)

Promised Land

監督:ユージーン・ジャレッキー
エルヴィス・プレスリーの人生と、2016年の大統領選挙を中心とした現代アメリカの社会政治の関連を紐解くドキュメンタリー。
※日本未公開


10位(同順位)『フリー・ファイヤー』

Free Fire

監督:ベン・ウィートリー
ブリー・ラーソン主演、とある倉庫に集まった二組のギャングの抗争を描く90分間のワンシチュエーション・ドラマ
※2017年3月日本公開

『Promised Land』グラフィック・デザイン:ミッドナイト・マローダー
『フリー・ファイヤー』グラフィック・デザイン:ジェイ・ショウ

「10位を1本に決めることができなかった。どちらもハイコントラストの写真を使い、シュールな配置と平板な色使いの組み合わせが美しい。そしてタイポグラフィも完璧だ」

キーワード:

MUBI


レビュー(0)


コメント(0)