骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2019-07-03 20:40


時代を映すLGBTQ映画祭「レインボー・リール東京」からレコメンド6作品

ボーイ・ジョージファン必見!南アフリカ発の青春ミュージカル『カナリア』ほか注目作
時代を映すLGBTQ映画祭「レインボー・リール東京」からレコメンド6作品
『カナリア』

1992年より開催され、今年で28回目を迎える「レインボー・リール東京~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭~」が2019年7月5日(金)から7月6日(土)まで東京ウィメンズプラザホールにて、7月12日(金)から7月15日(月・祝)まで青山スパイラルホールにて開催される。

今年は国内外から選出されたセクシュアル・マイノリティをテーマとする12プログラム・全16作品を上映を上映。webDICEでは、映画祭プログラミング・チームのレコメンドにより計6作品をピックアップして紹介する。80年代アパルトヘイト下の南アフリカを舞台にボーイ・ジョージを思わせる風貌の主人公の葛藤を描く青春ミュージカル『カナリア』や、米軍のトランスジェンダー入隊を実現させるために尽力した人々を描く『トランスミリタリー』といった日本初上映作品のほか、国際派俳優として活躍するジョーナカムラ出演で、7月26日(金)よりアップリンク吉祥寺で公開される『アスリート ~俺が彼に溺れた日々~』、そして日本のLGBTQ+カルチャーを捉えたドキュメンタリーで今回がワールド・プレミアとなる『クィア・ジャパン』など、現代社会の問題が色濃く反映された、幅広いラインナップで構成されている。


日本初上映

『カナリア』
7月13日(土)13:30 スパイラルホール
7月14日(日)20:30 スパイラルホール

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『カナリア』

英題:Canary
監督:クリスティアン・オルワゲン
2018/南アフリカ/123分/アフリカーンス語、英語

アパルトヘイト下の南アフリカで、18歳のヨハンは徴兵制のため軍の聖歌隊に配属される。新しい仲間と共に過酷な訓練に耐え、ツアーで全国を巡るなか、ヨハンは宗教や軍隊の意義について自問し、自身のセクシュアリティとも向き合うことになる。聖歌隊の美しい歌声と共に、芸術の力と個人の尊厳を描いた青春ミュージカル映画。青年が成長して行く私的な物語と、南アフリカの政治を巡る歴史的な語りが見事に交わった傑作であり、戦争という重たいテーマを扱いながらも、最後には大いなる感動がおとずれる。全編ほぼワンシーン・ワンショットで撮影されたカメラワークなど、見所が満載。特に、ボーイ・ジョージのファンは必見!




世界初上映

『クィア・ジャパン』
7月15日(月・祝)19:05 スパイラルホール

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『クィア・ジャパン』©2019 QUEER JAPAN



英題:QUEER JAPAN
監督:グレアム・コルビーンズ
2019/日本/101分/日本語

現代の日本におけるLGBTQ+カルチャーは、万華鏡のようで、様々なジェンダーやセクシュアリティの人々が、型にはまらない生き方を選択できる社会になりつつある。アメリカ人である監督が、3年をかけて日本各地で撮影された100本を超えるインタビューを厳選した本作。ドラァグクィーンのヴィヴィアン佐藤やマーガレット、シモーヌ深雪、漫画家でありゲイ・エロティック・アーティストの田亀源五郎、トランスジェンダーであることを公表して立候補し当選した日本初の議員である世田谷区議会議員の上川あや、アーティストのサエボーグ、世界的写真家のレスリー・キーら、錚々たる登場人物が、セクシュアル・マイノリティとして生きる上で得る喜び、抱える苦しみや葛藤などを、自身の言葉で語っている。今回の上映がワールドプレミアとなるが、今後、世界中の映画祭で上映されること必至!




『アスリート ~俺が彼に溺れた日々~』
7月15日(月・祝)14:25 スパイラルホール

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『アスリート ~俺が彼に溺れた日々~』©映画「アスリート」製作委員会

英題:Athlete
監督:大江崇允
2019/日本/89分/日本語

妻子持ちで元競泳選手の航平は、ある日突然、妻に離婚届を突きつけられる。ショックの余り、酒に溺れて迷い込んだ新宿二丁目で、ゲイの美少年・悠嵩との運命的な出会いが訪れる。男性相手にチャットボーイをする傍ら、アニメ作家を夢見る悠嵩は、病に倒れた父親にカミングアウトできずに思い詰めていた。それぞれに大きな悩みを抱える二人は、互いを必要とし支え合うかのように、戸惑いながらも惹かれ合っていく……。
航平を演じるのは、映画『マンハント』など、国内に留まらず、台湾や香港、シンガポールなどで国際派俳優として活躍するジョーナカムラ。今までヘテロセクシュアルであったはずが、ゲイの悠嵩に出会うことにより葛藤に揺れる心情を見事に演じ切った。また悠嵩には、原宿系モデルのジェンダー男子・こんどうようぢが体当たりで挑み、演技の才能を見事に開花させている。他にも、悩み疲れ切った人たちの憩いの場となっている新宿二丁目のバーのママ・プリシラ役にWAHAHA本舗の梅垣義明が扮し、抜群の存在感ある輝きを放っている。
当日は、主演のジョーナカムラや、こんどうようぢの舞台挨拶を予定している。




日本初上映

『ジェイクみたいな子』
7月14日(日)13:45 スパイラルホール
7月15日(月・祝)17:00 スパイラルホール

Main_A Kid Like Jake
『ジェイクみたいな子』

英題:A Kid Like Jake
監督:サイラス・ハワード
2018/アメリカ/92分/英語

ニューヨーク在住のアレックスと夫のグレッグは、アクションフィギアよりもディズニーのお姫様に興味がある息子ジェイクの小学校選びに奔走している。そんな折、幼稚園の園長からジェイクの性自認について見解を述べられ、夫婦は子供のためにベストな選択は何かと苦悩し対立していく。クレア・デインズ、ジム・パーソンズ、オクタヴィア・スペンサーら豪華キャストの好演が光る重厚な人間ドラマ。サンダンス映画祭2018をはじめとする各国の映画祭で上映され話題を呼んだ。「LGBTと家族」というタイムリーな題材を扱っており、子供のために両親は何ができるかを模索した、まさに”今”見るべき作品となっている。




日本初上映

『トランスミリタリー』
7月6日(土)10:30 東京ウィメンズプラザホール
7月13日(土)16:10 スパイラルホール

Main_TransMilitary
『トランスミリタリー』

英題:TransMilitary
監督:ガブリエル・シルヴァーマン、フィオナ・ドーソン
2018/アメリカ/92分/英語

2016年、国防長官からトランスジェンダー入隊の正式受け入れ発表があったアメリカ。背景には、長年、トランスジェンダーの存在を無視し続けてきた軍隊や政府高官に粘り強く対話を続けた軍務中のトランスジェンダー軍人の存在がある。
本作品は、家族の関係や軍務の狭間で、悩みながら、迷いながら、平等を勝ち取るため、懸命に交渉を続けた4人を追ったドキュメンタリーだ。
2016年の公式発にもかかわらず、トランプ政権下の2019年、アメリカ軍でのトランスジェンダー軍人の立場は、予断を許さず、未来を見通せない状況になっている。
SXSW映画祭2018長編ドキュメンタリー部門観客賞を受賞した本作は、現在進行形であり、2019年の今、必見の作品。




日本初上映

『エミリーと愛の詩』
7月5日(金)19:10 東京ウィメンズプラザホール
7月13日(土)11:30 スパイラルホール

Main_Wild Nights with Emily
『エミリーと愛の詩』

英題:Wild Nights with Emily
監督:マデリーン・オルネック
2018/アメリカ/84分/英語

19世紀半ば、10代のエミリーとスーザンは親友となり、やがて愛を交わす仲に。のちにスーザンはエミリーの兄と結婚するが、独身のエミリーは実家でもある夫婦の隣の家で生活を続ける。生涯にわたり隣人を装い、スーザンとエミリーは密かに関係を続けた。
近年、新たな発見があった、エミリーが執筆した現存している手紙。多くは、愛するスーザンへのラブレターであることが明らかになってきた。通説では隠遁生活を送っていたとされるエミリーだが、スーザンへの手紙から情熱的な生前の姿が浮かび上がってくる。
サタデー・ナイト・ライブ出身の個性派女優モリー・シャノンを主演に迎え、詩人エミリー・ディキンソンの知られざる一面をコミカルタッチで描いた伝記映画。




第28回レインボー・リール東京
~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭~
会場:東京ウィメンズプラザホール、青山スパイラルホール

会期:東京ウィメンズプラザホール
2019年7月5日(金)~7月6日(土)
青山スパイラルホール(3F)
7月12日(金)~7月15日(月・祝)
主催:NPO法人 レインボー・リール東京

公式サイト


▼映画『カナリア』予告編

▼映画『クィア・ジャパン』予告編

▼映画『アスリート ~俺が彼に溺れた日々~』予告編


▼映画『ジェイクみたいな子』予告編

▼映画『トランスミリタリー』予告編

▼映画『エミリーと愛の詩』予告編

キーワード:

LGBTQ


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