骰子の眼

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東京都 渋谷区

2019-10-10 13:00


ティモシー・シャラメが英ヘンリー5世に!『キング』ネトフリ配信に先駆け10/25劇場公開
映画『キング』

ティモシー・シャラメが主演を務めるNetflixオリジナル映画『キング』が、11月1日(金)からの配信に1週間先駆け、10月25日(金)からアップリンク渋谷アップリンク吉祥寺ほかにて日本劇場公開される。全米では10月11日(金)より劇場公開される。

『キング』は9月2日、第76回ベネチア国際映画祭のアウト・オブ・コンペティション部門でワールド・プレミア上映された。「古典的な物語に敬意を払いながら、新しい観客にその壮大さをアピールしている」(TIME)「的確な判断で力強さと静けさのバランスを取り、静かで堂々としたパフォーマンスで権力の愚行と“戦争の重荷”を描く、驚くほど明快なドラマだ」(Hollywood Reporter)といった評価を獲得した。

Netflix作品では、第91回アカデミー賞で外国語映画賞、監督賞、撮影賞の3冠を受賞した『ROMA/ローマ』が2018年12月14日より配信され、2019年3月9日より全国のイオンシネマで公開された後、3月21日よりアップリンク渋谷・吉祥寺で上映された。配信で観た観客にも映画館でも観たいと支持された結果、アップリンクでは6ヵ月のロングランとなった。『キング』はそれに続く劇場公開となる。

なお、10月28日(月)開幕となる第32回東京国際映画祭ではクロージング作品となるマーティン・スコセッシ監督『アイリッシュマン』、ノア・バームバック監督『マリッジ・ストーリー』、そしてウォッシュ・ウェストモアランド監督『アースクエイクバード』の3作品がいずれも配信前のタイミングで上映される。

既に発表されているNetflixのアメリカでの劇場公開プランは作品により若干異なっており、『アイリッシュマン』は11月1日から全米公開の後11月27日から配信、『マリッジ・ストーリー』は12月6日からの配信に先駆け11月6日から全米の劇場で公開される。

webDICEでは『キング』の劇場公開にあたり、アメリカのメディアに掲載された情報やデヴィッド・ミショッド監督をはじめとするスタッフそしてキャストの発言から、作品の魅力についてまとめた。

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映画『キング』

『キング』は、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「ヘンリー四世」2部作や「ヘンリー五世」にインスパイアされたストーリーで、英国王である父の死後、王位を継承したハルの物語が描かれる。自由気ままな王子が、宮廷の問題や戦争、混乱の時代を経験しながら、国王としてたくましく成長していく。ハルこと若き日のヘンリー5世をティモシー・シャラメが演じ、ロバート・パティンソンがヘンリーと対立するフランスの王太子に扮している。また、ヘンリー4世役にベン・メンデルソーン、フランスの王女キャサリン役としてリリー=ローズ・デップが出演している。

この作品はジョエル・エドガートンがミショッド監督に企画を持ちかけたことが発端であると、Varietyのインタビューでエドガートンは明かしている。彼は製作、脚本、そしてハルの友人の騎士フォルスタッフ役として出演も兼任している。


▼'The King' Writers David Michod & Joel Edgerton Talk Timothée Chalamet's Bowl Cut, Swords & Horses

エドガートンは2016年のIndieWireのインタビューでこの作品を「『ゲーム・オブ・スローンズ』とシェイクスピアの出会い」と形容すると同時に、ハリウッドでこの作品を作ることの困難について吐露している。

「製作するにはかなり予算がかかる。そして『ヘンリー五世』の物語を知っている人なら誰でも、『ロッキー』のようなエンディングではないことを知っている。皮肉な勝利と、苦い結末だ。ハリウッドのビジネスの構造に当てはめて、必ずしも成功するとは限らないだろう」(ジョエル・エドガートン)

Joel Edgerton Talks ‘Game Of Thrones’ Meets Shakespeare Project With David Michod, ‘Jane Got A Gun,’ And More

The King
映画『キング』 ジョエル・エドガートン

『キング』は当初ワーナー・ブラザーズ製作で準備が進められていたものの、後にブラッド・ピットが率いる製作会社プランBが製作に加わり、Netflixが世界配給を行うことになった。プランB製作の前作『ウォー・マシーン: 戦争は話術だ!』(2017年)に続いてブラッド・ピッドとタッグを組んだミショッド監督は、ヴェネチア映画祭でのDeadlineとのインタビューで次のように語っている。

──『ウォー・マシーン: 戦争は話術だ!』から『キング』への進化をどのように見ていますか?

『アニマル・キングダム』を発表したとき、多くの称賛を受けましたが、同時に間違ったタイミングだったのかもしれないと気づきました。ハリウッドのスタジオのすべての専門部門は閉鎖され、誰も中規模のインディペンデント映画を製作していなかったからです。一つのドアが閉じ、別のドアが開く、というのは過去にも他の分野で経験していますが、その新しいドアというのがNetflixだったのです。

当時、といってもほんの2年前ですが、この世界にブラッド・ピットの映画を引っ張ってくるのはパンクムーブメントぐらい異端的なことで、とても刺激的でした。『ウォー・マシーン: 戦争は話術だ!』を私たちは製作することになり、それはとてつもなく奇妙でワイルドに感じました。私たちを支援してくれた人々がいたことを嬉しく思いました。それから数年たった今、同じスタッフと仕事をしていますが、構造はよりフォーマルに変わりました。しかし、私はまだこの『キング』に自由を感じています。私たちの関係は良い形で進化したと思います。

──Netflixはあなたに、視聴回数を共有しますか?

いいえ。

──知りたいですか?

人々が観てくれていることは知りたいですが、数字は問題ではありません。その物差しを外すことが自由に製作するために必要だとわかったのです。私がまた別の作品を作れるくらいの人が観てくれれば、私は幸せです。実際に週末の興行成績で批判にさらされないほうが嬉しい。初期段階では、『ウォー・マシーン: 戦争は話術だ!』は誰も行かないような映画館以外、劇場公開されなかったんです(※2017年5月27日に10スクリーンで上映)。最初は、「劇場公開なんて気にしない」と思っていましたが、劇場公開では“ついに始まる”という感覚を作り出すためだけにでも必要なのだと気づきました。でも同時に「不安にさらされたくないから、3,000スクリーン上映なんてしてほしくない」とNetflixにはっきりと言っていました。

──では『キング』の全米での21日間の劇場公開を喜んでいますか?

とても嬉しい。劇場のスクリーンで観たいなら、観にいくことができる。この作品は大画面で観ることをおすすめしたいので、最高ですね。大きなスクリーンとラウドな音響で他の観客とともに観られることは素晴らしい。そしてできるだけ多くの人々にそれを体験してもらいたい。でも僕自身はテレビで観ることも大好きです。

──壮大なスケールの作品ですが、劇場上映が想定されていなかった作品ということで、製作アプローチに違いはありましたか?

いえ、それはコンセプトではありませんでした。最近のテレビはとても素晴らしいですから。この前テレビ用の映像とサウンドのミックスをやり終えましたが、実際お気に入りの鑑賞方法なんです。

‘The King’s David Michod On Catapults, Reteams & Maintaining Perspective – Venice Q&A

主演を務めるティモシー・シャラメはヴェネチア映画祭の記者会見で、この作品が自分にとっての挑戦であったと語っている。

「これは歴史的にも、そして芝居としても忠実な方法でできると思いました。当時こうした権力の地位を行使する人々は、しばしばとても若かったんです」(ティモシー・シャラメ)

Timothée Chalamet grows up with 'The King'

The King
映画『キング』ティモシー・シャラメ

またシャラメはIndieWireのインタビュー記事で「僕はNetflixを観て育った」と自分がストリーミングサービスでの視聴体験に支えられていると明かしている。

「Netflixは先見の明があると思います。Netflixのダ、ダーンというオープニングロゴは、MGMの吠えるライオンのオープニングロゴの現代版なんです」(ティモシー・シャラメ)

Timothee Chalamet on Growing Up Watching Movies and TV on Netflix, ‘The Lion’s Roar of Today




ロッテン・トマトより、ヴェネチア映画祭で観た批評家のレビュー

徹底的に楽しめる映画。

スマートな題材、素晴らしい脚本と最上級の歴史劇にふさわしい結末。

The King
映画『キング』ロバート・パティンソン

シャラメは繊細で知的な顔立ちをしており、セリフ運びは思慮深く強烈。彼のパフォーマンスは魅力的だ。

彼自身のカリスマ性が国を変えることができるという信念、父の問題、青年期の失敗、そして戦争犯罪を許すプラグマティズムに屈した平和主義、つまりこのハル王子はバラク・オバマなのだ。王の悲劇はオバマ時代の悲劇なのである。

The King
映画『キング』ベン・メンデルソーン



The King
映画『キング』リリー=ローズ・デップ

映画『キング』
10月25日(金)よりアップリンク渋谷・アップリンク吉祥寺にて上映

監督・脚本:デヴィッド・ミショッド
脚本:デヴィッド・ミショッド、ジョエル・エドガートン
出演:ティモシー・シャラメ、ジョエル・エドガートン、ロバート・パティンソン、ベン・メンデルソーン、リリー=ローズ・デップ
2019年/140分/アメリカ

※Neflixのポスターなどの表記はティモテ・シャラメですが、当記事ではティモシー・シャラメに統一いたしました

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