骰子の眼

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東京都 渋谷区

2020-11-12 14:40


『岬の兄妹』片山慎三監督の新作短編『そこにいた男』アップリンク渋谷、京都にて上映

「殺しても、男と過ごした記憶は女の中に残っている」監督インタビュー
『岬の兄妹』片山慎三監督の新作短編『そこにいた男』アップリンク渋谷、京都にて上映
映画『そこにいた男』©2020CRG

ポン・ジュノ監督の元で助監督を務め、長編デビュー作品『岬の兄妹』が話題を呼び、低予算の自主映画としては異例のロングランを記録し、一躍注目を集めた片山慎三監督の新作短編『そこにいた男』が11月13日(金)よりアップリンク渋谷、アップリンク京都ほかにて上映される。公開にあたりwebDICEでは片山監督のインタビューを掲載する。

『そこにいた男』が『岬の兄妹』のスタッフを再招集。脚本に岨手由貴子を迎え、ある事件を起こした女性と彼女をとりまく人間模様を描いている。

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殺しても、男と過ごした記憶は女の中に残っている

──前作『岬の兄妹』でSKIPシティで賞を取ってから、委員会が組まれて劇場公開してって徐々に環境が良くなって、どんな気持ちでしたか?

嬉しかったですし、意外でした。作っているときは、あまり反応を気にしないというか、もちろん映画として見やすいもの、面白いものにするというのはありましたけど、どういう風に受け入れられるかは考えていなかったので意外でした。

片山慎三監督
片山慎三監督

──今回の『そこにいた男』はどういうテーマで、何を描きたかったのでしょうか?

今回の短編は、昔からやりたかったテーマや事件があって、その事件からインスピレーションを受けていろいろ設定とかは変えて作りましたけど、結構いい感じになったなと。やりたいことは出来たと思います。

──脚本は岨手由貴子さんとの共同作業だったそうですね。

岨手さんにしか書けない世界があるので、それと自分のやりたい事を掛け合わせるとどうなるのかと期待していました。上手くいっていると僕は思うんですけどね。結構撮影でもこだわって、時間をかけて撮っていたと思います。

映画『そこにいた男』©2020CRG
映画『そこにいた男』©2020CRG

──タイトル『そこにいた男』はどういう発想で決まったのですか?

簡単に言うと、ある女性がいて男の人を刺し殺す話なので、殺しても、男と過ごした記憶は女の中に残っている、という意味を込めて『そこにいた男』にしました。

映画を観てもらえると意味が分かると思います。タイトルの出てくるタイミングとかも、短編で何か実験的なことをできるなと思っていたので、普段やらないような事も意識して、タイトルだったり、最後のエンドロールのは、ちょっと珍しいことをやろうというのはありましたね。上手くいっているかどうかは別として、実験的に何かやってみようというのを考えました。

映画『そこにいた男』©2020CRG
映画『そこにいた男』©2020CRG

──出来上がりに満足していますか?

満足はしています。けど時間がね、やりましょう!ってなってからクランクインまで1ヶ月もなかったので、急場でババッと作ったような感じでしたけどその割には結構良いものに仕上がっているなという感じはしています。『岬の兄妹』と並べて観ていただいて、こういう映画が出来るのかと思っていただける作品になればと思っています。

──どういう人達に観て貰いたいですか?

夜のお仕事をしている人達とか、女性に見て頂きたいですね。主人公の紗希が映画の中でやる行動を見て納得できるかどうかは、女性の方が感情移入できるのではと思います。いろんな女の人の物語にしたいなと。男の人は1人出ていて、その男の人が起こした事とか、男の人に起きたことに対する話なので、登場する女の人がどういう立場で接して意見を言うのかなど、いろんな女性像を描きたいと思いました。なので、女性に観てもらいたいなと。もちろん男性が観ても面白いと思います。

映画『そこにいた男』©2020CRG
映画『そこにいた男』©2020CRG

──今後、どういう作品を作りたいですか?

その時のインスピレーションはありますけど、日本国内だけでなく世界で受けるものを作りたいとは思っています。新しいことがやりたい、日本映画界という枠組みとしても新しいことをやりたいですし、映画界という世界的な規模で見た時に新しいものをやりたいです。そういう意味では、年間、日本だと何百本も映画は作られているし、世界だと何千本も作られているので、なかなか新しいものというのは出てきにくいですけどね……。その中でも観たことの無いものを出来るだけやっていきたいなと思います。

(オフィシャル・インタビューより)



片山慎三(かたやましんぞう)

1981年2月7日生まれ。大阪府出身。中村幻児監督主催の「映像塾」を卒業後、『TOKYO!』(08/オムニバス映画 ※ポン・ジュノ監督パート)、『母なる証明』(09/ポン・ジュノ監督)、また、『マイ・バック・ページ』(11/山下敦弘監督)、『苦役列車』(12/山下敦弘監督)、『味園ユニバース』(15/山下敦弘監督)、『花より男子ファイナル』(08/石井康晴監督)、『山形スクリーム』(09/竹中直人監督)などの作品に助監督として参加。監督作として「アカギ」第7話(15/BSスカパー)、青森の斜陽館で上映されているシュートムービーアニメーション『ニンゲン、シッカク』(17)などがある。また、現代アーティスト村上隆のアニメシリーズ『シックスハートプリンセス』の5話、6話、7話の脚本も担当している。




映画『そこにいた男』©2020CRG
映画『そこにいた男』©2020CRG

映画『そこにいた男』
11月13日(金)よりアップリンク渋谷、アップリンク京都ほか全国で順次劇場公開

監督:片山慎三
脚本:岨手由貴子
撮影:池田直矢
美術:横張聡
音楽:長岡成貢
挿入歌「HAKU」etsuco/HIKIE
出演:清瀬やえこ、安井秀和、中村映里子、水口早香、松浦祐也 ほか
配給:CRG
2020年/33分/日本/R15+

公式Twitter


▼映画『そこにいた男』予告編

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