骰子の眼

2008-08-12 10:19


中国四川大地震とミャンマーサイクロンにおける『緊急支援』をテーマに行われたイベントレポート

ソーシャルデザイナーの松田創(CSP)が主催するイベント『フォレステーション』がアップリンク・ファクトリーで8月9日に行われた
中国四川大地震とミャンマーサイクロンにおける『緊急支援』をテーマに行われたイベントレポート
  • 四川大地震での国際緊急援助隊の活動を説明する小泉崇氏

  • 永石安明氏からは、オイスカの活動理念が語られた

  • ミャンマーサイクロンの事例について紹介する池田敦史氏と熱心に聞き入る参加者たち

ソーシャルデザイナーの松田創(CSP)が主催するプレゼンテーション型のイベント『フォレステーション』が、8月9日、アップリンク・ファクトリーで開催された。第23回目となる今回のテーマは「緊急支援」。中国四川大地震とミャンマーサイクロンという記憶に新しい災害の現場に立った3人のゲスト・プレゼンテーターから、支援活動の実際が具体的に語られた。

最初のスピーカーである小泉崇氏は、外務省国際協力局、国際緊急援助室室長。今年5月に発生した中国四川省での大地震の際、国際緊急援助隊の団長として指揮した。

まず、小泉氏が紹介したのは中国中央テレビ局が7月に制作した記録映像。日本の緊急援助隊の様子が描かれるとともに、中国側からの感謝の言葉が数多く寄せられていた。

小泉氏からは、発生から支援に向かうまで、そして現地での行動が時間軸に沿って詳細に説明された。派遣要請から6時間という過去最短時間での出動が事態の緊迫さを表していた。そして緊急支援の目的として、「ヒューマニズム、国際社会の相互扶助、日本の資源を活かした協力、顔のみえる援助という4つの柱が挙げられる」と述べられた。

二番目のスピーカーは財団法人オイスカの事務局長である永石安明氏。国際NGOであるオイスカが掲げている3つの理念、「人づくり、村づくり、森づくり」について説明された。そして、緊急支援については、「NGOとして現地の人に対して出来ることを行いたい。専門性や資金は十分ではないが、自発的に活動している」との見解を示した。

三番目に登場したのは、同じくオイスカの池田敦史氏。オイスカが行ったミャンマーのサイクロンにおける緊急支援が、現地の様子を撮影した貴重なスライドとともに述べられた。「ミャンマーで出来たことは、オリジナルな人材、人的ネットワークを活かしたNGO方式の仕事の進め方。特に人材育成が、活動の中心となった」と、実際の支援を振り返りつつ説明した。

パネルディスカッションでは、司会から7つの質問が挙げられた。このうち、「災害に対する無関心はなぜ引き起こされるのか?」という問いに対して、池田氏は「ミャンマーへの街頭募金に多くの人が寄付してくれたように、きっかけがあれば関心を持つ。今日のような場に集まることもひとつの行動」と語った。また永石氏は、「必要なのは、遠い地球の裏側に対して行動を起こすこと、そしてメディアも知られていない現場の情報を伝達するようにしなければいけない」と提案した。

最後に、小泉氏から「政府、NGOそれぞれ立場は異なるが、規模にとらわれず、補完的に行う人道支援が理想の姿。補完関係とともに、社会がどれだけサポートしていくかが大事であり、ひとりひとりの意識が変わっていくことが求められている」との意見があった。

イベント終了後、池田氏に行ったインタビューでは、「今の日本には、他人に目を向けない若者がいる一方で、生活困難な人もいるなど、この国で活動していくことに対するジレンマは確かにある。だが、オイスカの研修センターで様々な人々が互いに学び合う姿も目にしている。オイスカの目標とする人づくりは、今後も日本、アジアそして世界でさらに発展させていきたい。そのための人材が必要」と語ってくれた。

                               (テキスト/齋藤理恵)

レビュー(0)


コメント(0)