骰子の眼

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東京都 渋谷区

2008-09-20 21:30


入学手続き一切なし、中途入学大歓迎!根本敬の『映像夜間中学・識字学校編』

「夜間中学だから色々なことができる」―アップリンクきっての老舗イベント、毎月最終金曜日開催中!
入学手続き一切なし、中途入学大歓迎!根本敬の『映像夜間中学・識字学校編』
  • 膨大な素材を、次々と解説を交えながら紹介する根本敬氏

  • 映像や音楽とともに様々なトークが繰り広げられた

8月29日、アップリンク・ファクトリーにて、根本敬の映像夜間中学・識字学校編が開校された。夜間中学は、2000年より続くアップリンクきっての老舗イベント。雷が鳴り響く渋谷の街で、今夜は何が起こるのか。

20:00開演の予定が、あいにく根本氏体調不良により、1時間と大幅に遅れてスタート。しかしその間、プリンスの90年代の映像が流され、その怪しげな雰囲気にただならぬものを感じ取る。

21:00過ぎて、突然根本氏が傘を開いたまま乗り込んできた。かばんの中から、今夜の講義に使う素材を次々と取り出し、ところ狭しと並べていく。最初に上映されたのは、亀一郎のノイズにまみれた『近親相姦』映像。「ずっと見ていると、気持ち悪くなっちゃいますからね」と根本氏。グロテスクな光景をさらりと見せ、次に紹介したのは「鷺沼の東急ストアのレコード店で見つけた」というCD、その名も『老・ラッパー』。素材は根本氏も初めて目にするものや聞くものがあるため、次に何が起こるかわからない。どこへ行くのかが全くわからない話の展開に、受講生たちはいつしか引き込まれて後戻りできなくなる。

麻布十番の韓国家庭料理屋「ふぁんそ」の開店を記念して制作したというTシャツのデザイン画を数々と紹介したかと思えば、1980年代韓国のディスコ・ナンバーのレアな音源が披露される。まさに、「Don’t think, feel」の心意気が求められる濃密な時間。最後はマイルス・デイビスが70年代に某テレビ局でパファーマンスしたときの、これまた貴重な映像で締めくくられた。

しかし本学校のユニークさは、実際の様子を目で見て、体験してみないとわかるものではないだろう。根本氏の一挙手一投足が、極上のエンターテイメントなのである。

終了後、根本氏にお話を伺った。

―― 映像夜間中学にはコアなファンの方もいると思うが、毎回どんな反応が返ってくるか。
そこが難しいところで、8年間毎回来ている人と、一見さんと、最近来た人といるわけで。だからやり方を毎回変えていかないといけない。今回は映像と手持ちの素材の両方を見せたけれど、次回はまた違う方法を考えている。逆にいえば、夜間中学だから色々なやり方ができるというところです。

―― 夜間中学にまだ参加されたことのないwebDICEの読者にメッセージを。
このイベントのことを知っていて、しかも本を読んでいながら、入りにくいと思っている人もいるけれど、そんなことはない。違う人がいっぱい入ってくれればいい。ぜひ気軽に参加してください。

当日の会場には、熱心に神戸から駆け付けてくれたファンもいた。次回の映像夜間中学は9月26日、同じくアップリンク・ファクトリーにて開催される。入学手続き一切必要なし、中途入学大歓迎のこのイベントに、是非とも参加されてはいかがだろうか。

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根本敬の映像夜間中学・識字学校篇
日程:2008年9月26日(金)
時間:19:30開場/20:00開演
料金:学生1,799円(受付で学生証を提示下さい)
   一般1,999円(学生共に1ドリンク付き、当日のみ)
会場:アップリンク・ファクトリー(東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F)[地図を表示]

特殊漫画家・根本敬が描き続ける“因果者”の世界とは何か。フィクション(漫画化)とノンフィクション(漫画の現実化)のいたちごっこの時代を経て、それらを徹底的に取材し直し再度フィクション化するも、更にそこから経ち現れてくる新たなるノンフィクション(現実の漫画化)の数々。
このように作品化する以前の濃密でいびつな因果がそのままスクリーンに投影され、その解説をライブで行うことで混沌の再構築と翻訳を同時に試みる場、それがこの映像夜間中学です。
入学手続き一切必要なし、中途入学大歓迎!

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