サントリー芸術財団サマーフェスティバル25周年記念 ジョン・ケージ:ミュージサーカス  公式サイト | 2012年8月26日 開催 このエントリーを含むはてなブックマーク  

サントリー芸術財団サマーフェスティバル25周年記念 ジョン・ケージ:ミュージサーカス

MUSICIRCUS

2012.08.26 (sun) 14:00~19:00

会場:サントリーホール ブルーローズ(小ホール)他

監修:千 宗屋、白石美雪、岡部真一郎

14:00-19:00 Sunday,August 26 th Blue Rose (Small Hall)

入場無料

会場の状況により、入場を制限させていただく場合がございます。ご了承ください。

「ジョン・ケージ:ミュージサーカス〈即今〉」に御来場いただきました皆様、また、USTREAM中継をご覧いただきました皆様に心より感謝申し上げます。今回の催しはケージが当初から実施していた通り、聴衆・観客が無料で見聞きできるだけでなく、出演なさる方々も無償で参加していただきました。ミュージサーカスの趣旨に賛同し、積極的にアイディアを展開してくださった音楽家、美術家、舞踊家等の皆様に深くお礼を申し上げます。ありがとうございました。
─監修者一同

アバウト

今年、生誕100年・没後20年を迎えるアメリカの前衛芸術家ジョン・ケージ。彼の芸術活動の中で象徴的・社会的な意味を持つ〈ミュージサーカス〉は、ミュージックとサーカスから作ったケージの造語で、単独または同時に行われる独立した演奏・上演からなるマルチメディア・パフォーマンスです。

千 宗屋氏(武者小路千家15代若宗匠)、白石美雪氏、岡部真一郎氏の監修による今回のテーマは「即今」。会場内を移動しながら、ケージのアート作品展示や、易卦によって個別に決められた時間にスタートする、まさに今ここでしか得られない音楽演奏、様々なパフォーマンスを体験いただきます。

コメント

禅や東洋思想に深い関心を持ったケージにふさわしく,禅語から「即今」をテーマとした。文字通り「即ち,今」。様々な表現者がケージを手掛かりに紡ぐ「今」の共鳴に刮目し、自分にとっての今を問う契機としたい。
─千 宗屋(茶人)


サントリーサマーフェスティバルでは、ジョン・ケージ生誕100年、没後20年を記念して、「即今―ケージ・ミュージサーカス・イン・東京」を実施します。

ミュージサーカスとはミュージックとサーカスから作ったケージの造語で、同じ会場で様々な上演が同時に進行するマルチメディア・パフォーマンスを表わしています。最初は1967年にイリノイ大学で行われたイベントに付けられた名前でしたが、それ以降、ケージはいろいろな機会にサーカスというアプローチを応用しました。ここでのサーカスは、たとえば円形舞台で動物が芸をしたり、人が空中ブランコに乗ったり、道化がパントマイムしたりする近代的な形態で、一つの空間で独立したアクションが同時に行われることを意味しています。ミュージサーカスはその都度、状況に応じて自在に変化する生きた形態であり、ケージの芸術活動の中でもとりわけ象徴的、社会的な意味をもっています。

今回、私たちは〈即今〉というテーマを掲げました。茶道で使われるこの言葉に、いまここで出会い、混じり合い、ともに在るという共生への想いを託しています。気ままに集まった表現者たちは、「2012年の日本」をそれぞれ自由に解釈しながら、易で占って決められたタイムスケジュールにのっとって、独自のパフォーマンスを繰り広げます。音楽家はもちろん、茶道家や華道家など参加者も多彩。ケージの作品を演奏して作曲家へのオマージュとする人、自らのありのままを表現することでテーマに応える人もあれば、積極的に社会へのメッセージを投げかける人もいます。

そのアナーキーな状況のなかで、いまこの時を実感する場を作りたい。一期一会をたいせつにする日本の文化に根差しつつ、21世紀ならではのテクノロジーを活用した空間をサントリーホールに現出します。一回限りのエキサイティングなパーティに、みなさんもぜひご参加ください。
─白石美雪


ミュージサーカスと易占い

ジョン・ケージのミュージサーカスは、すべてのアクションがI Ching つまり易経による方法で占って決めたタイム・テーブル(時間表)にしたがって行われます。個々の出演者たちは偶然によって決められた開始時間と終了時間を守りながら、パフォーマンスを行っていきます。今回の企画では「2012年夏の日本」をテーマに、各出演者が想い描いたパフォーマンスを繰り広げていきますが、易で決めたタイム・テーブルは厳守しなければなりません。

私たちが目にする易占いは、江戸時代に改良された略筮法や中筮法と呼ばれる方式です。しかし、ケージが好んだ偶然性を示す変爻(へんこう)の部分に省略があります。そこで、本筮法と呼ばれる、現在では廃れてしまった本来の方法に立ち戻ってみました。
 動画の前半では、この筮法を実演しています。中国の漢・三国時代に成立した易経の古註(日本の江戸中期の刊本)を手元に置いて、宋の朱熹が「筮儀」で示した方法で行いました。香炉、筮竹と筮筒は市販のものを使い、筮竹を置く木格(もっかく)は朱熹が示した形状にあわせて再現しました(武蔵野美術大学助手・星野曜が制作)。なお、動画は筮法のほんの最初だけで、本来は1回が30分以上かかります。

後半はケージが実際に用いた擲銭法(てきせんほう)の実演です。手元の本はRichard Wilhelmによる易経のドイツ語訳を英訳した"The Book of Changes"です。ケージはこの本の初版を用いました。コインを投げる擲銭法は西洋の易経好きに普及したため、新しい方法と思われていますが、じつは由緒ある古い方法です。『儀礼』(ぎらい)に漢の鄭玄(じょうげん)が加えた注釈を、唐の賈公彦(かこうげん)が解説したときに説明されています。本筮法の略式ではありますが、偶然に変爻が出現するという点でケージの関心をひいたのです。

なお、卦の記録には、今回の企画のために作成した用紙を使っています。ケージの手稿にある記号は特殊なので、朱熹の伝えた4つの記号で書いています。

hr

access


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サントリーホール ブルーローズ(小ホール)他
東京都港区赤坂1-13-1 TEL 03-3505-1001
http://www.suntory.co.jp/suntoryhall/

Oresteia

サマーフェスティバル25周年記念特別公演
ヤニス・クセナキス:オペラ『オレステイア』

2012年8月31日(金)19:00

演目/オペラ『オレステイア』3部作
指揮/山田和樹
演出/ラ・フラ・デルス・バウス
出演/松平敬(バリトン)、
   東京シンフォニエッタ 他

moreinfo

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utakata

『うたかた』

バリトン担当の松平 敬
セカンドアルバム5月下旬発売。

bnr

プログラム

オープニング・アクト

14:00~14:30
ジョン・ケージに捧ぐ

「オープニング・アクト」では、日本の伝統文化に親しみを感じていたケージへの想いをこめて、千宗屋さんによる献茶、珠寶さんによる献花、宮田まゆみさんによる献奏を行います。おのおの伝統文化を体現する3人が一堂に会して共演するのは、日本で初めてとなります。

▼上演一覧▼

第一部

14:30~16:00
ジョン・ケージ・ワールド

笙の宮田まゆみさん、ピアニストの井上郷子さんが登場して、ブルーローズをケージの音楽で満たします。三輪眞弘さんの《流星礼拝》(ロング・ヴァージョン)がケージの音楽を異化するのか、それとも同化するのか、注目です。さらにケージの版画作品が展示され、ケージの「失われた沈黙を求めて(プリペアド・トレイン)」翻案が実施される岐阜県の樽見鉄道と中継で結びます。まさにケージ・ワールドの炸裂です。

▼上演一覧▼


第二部

16:00~17:30
トランス・アクション

ブルーローズのパフォーマンスが外の空間へと共振していきます。コンテンポラリー・ダンスの白井剛さんがホール空間を横断して踊るかたわら、ホワイエでは珠寳さんによる生け花が始まり、ギタリストの村治奏一さんが若い感性で捉えた「今」を表現。「隆盛する戦後の欧米版画」展を開催中の町田市立国際版画美術館からは、中継映像が送られてきます。大ホールで同時開催の芥川作曲賞本選会とも驚きの共振が…。

▼上演一覧▼

第三部~Closing Act

17:30~19:00
2012年日本の夏

ケージ以後の世界、2012年の日本をテーマしたミュージサーカスのクライマックスです。ケージから影響を受けた作曲家たちの音楽を演奏すると同時に、水に象徴される環境へと想いを馳せます。第3部の終わりはそのまま、クロージング・アクト「マッシュルーム・レクイエム」に接続します。18時20分からプロジェクトFUKUSHIMA開催中の「四季の里」と中継でつなぎ、大友良英さんの「マッシュルーム・レクイエム」を同時演奏。福島・四季の里とサントリーホール・ブルーローズから、映像と音を世界へ発信します。

▼上演一覧▼


上演一覧

OPENING ACT
◆献茶/千宗屋
◆献花/珠寳
◆献奏/宮田まゆみ

第1部
◆ケージ:ソナタとインターリュード/井上郷子(ピアノ)
◆ケージ:トイピアノのための音楽/井上郷子(トイピアノ)
◆ケージ:One9/宮田まゆみ(笙)
◆ケージ:Two4/宮田まゆみ(笙)佐藤まどか(ヴァイオリン)
◆三輪眞弘:流星礼拝 被験者:武蔵野美術大学助手
◆プリペアドトレイン(岐阜県・大垣の樽見鉄道車内より映像中継):生成音楽ワークショップ(城一裕、金子智太郎)
◆ケージの版画映像中継 町田市国際版画美術館「隆盛する戦後の欧米版画展」
◆和歌山県立近代美術館よりご提供のケージ版画の上映

第2部
◆ケージ:Two3より/宮田まゆみ(笙)白石美雪(ほら貝)
◆ケージ:One9より/宮田まゆみ(笙)
◆リュックフェラーリ:細胞75/井上郷子(ピアノ)、松倉利之(ドラム)
◆ケージ:ウォーター・ミュージック/井上郷子(ピアノ他)
◆三輪眞弘:流星礼拝 被験者:武蔵野美術大学助手
◆コンテンポラリー・ダンス:白井剛
◆芥川作曲賞候補作品リミックス:ヲノサトル(DJ)

第3部
◆H.アーレン「オーバー・ザ・レインボー」/村治奏一(ギター)
◆J.S.バッハ「プレリュード BWV998」/村治奏一(ギター)
◆西村朗「玉響」/村治奏一(ギター)
◆S.マイヤーズ「カヴァティーナ」/村治奏一(ギター)
◆F.タレガ「アルハンブラの想い出」/村治奏一(ギター)
◆内藤明美(音楽)+クリスティーン・マークス(映像):流水紋スタディ/井上郷子(ピアノ)
◆フィリップ・コーナー:petali pianissiomo/井上郷子(ピアノ)花弁を撒く人
◆ケージ:13のハーモニーより/佐藤まどか(ヴァイオリン)、井上郷子(ピアノ)
◆奥野大樹:borderland(新作初演)/井上郷子、奥野大樹(ピアノ)
◆山本哲也:織られた季節(新作初演)/井上郷子、山本哲也(ピアノ)
◆モートン・フェルドマン「4つの楽器」/佐藤まどか(ヴァイオリン)、南山華央倫(ヴィオラ)、平田昌平(チェロ)、井上郷子(ピアノ)
◆ケージ:One9より/宮田まゆみ(笙)
◆コンテンポラリー・ダンス/白井剛
◆大友良英:マッシュルーム・レクイエム プロジェクトFUKUSHIMA!オーケストラ(映像)、鈴木広志、江川良子(指揮)、ミュージサーカス参加アーティスト及び募集で集まった演奏者たち


●ブルーローズ内展示●
杉本博司:ファラデーケージ
ケージの版画壁面展示 川村龍俊所蔵
ケージの版画移動展示 木村かをり所蔵

●ホワイエ●
MIDIアコーディオン演奏/フォルマント兄弟(ホワイエ+カラヤン広場)
〈サーカス・トーク1〉/千宗屋+白井剛+岡部真一郎
お茶席/千宗屋+野村友里(第1部、第2部にて)
藤城達也+笠原駿一作品TSUMIRE(自動演奏ピアノ)+パフォーマンス
H.アーレン「オーバー・ザ・レインボー」/村治奏一(ギター)
J.S.バッハ「プレリュード BWV998」/村治奏一(ギター)
西村朗「玉響」/村治奏一(ギター)
S.マイヤーズ「カヴァティーナ」/村治奏一(ギター)
F.タレガ「アルハンブラの想い出」/村治奏一(ギター)
生け花/珠寳
〈サーカス・トーク2〉/三輪眞弘+村治奏一+岡部真一郎
コンテンポラリー・ダンス/白井剛
〈サーカス・トーク3〉/佐野珠寳+岡部真一郎
首都圏清掃除染促進運動/IAMAS


*ブルーローズには杉本博司さんの作品中、唯一、音の鳴る「ファラデー・ケージ」が展示されます。ホワイエには若手音楽家によるサウンドインスタレーションが置かれ、易で占ったタイム・テーブルに従って、時おり演奏が行われます。このほか、ここには記されていないパフォーマンスもありますので、ぜひ会場へ来て、一度限りのパーティにご参加ください。


福島「四季の里」

東京サントリーホール

キャスト

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千 宗屋

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宮田まゆみ

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珠寳

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三輪眞弘

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井上郷子

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大友良英

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白井剛

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野村友里

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杉本博司

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村治奏一


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