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2014-09-29 20:25


宇川直宏氏、斎藤弁護士が語る風営法改正の問題点

宇川直宏氏、斎藤弁護士が語る風営法改正の問題点

今秋の臨時国会で提出される新風営法の改正案が議論されているなか、客にダンスをさせる営業の規制緩和を検討している警察庁の有識者会議(風俗行政研究会)がまとめた『ダンスをさせる営業の規制の在り方等に関する報告書』が9月10日に発表された。

今回の報告書に対する宇川直宏氏(DOMMUNE/京都造形芸術大学教授)と斎藤貴弘弁護士の見解が「Time Out Tokyo」に掲載されている。

報告書では、風営法から「ダンス」という文言が削除され、客に飲食をさせないダンス教室やダンスホールは風営法の規制の対象から除外。しかし、飲食をさせるナイトクラブについては「照度」と「時間帯」で区分けをし、店内の照度が10ルクス以上で24時までの営業であれば通常の飲食店に、24時以降に営業する場合は新設の『深夜遊興飲食店営業』として許可制をとり、オールナイト営業を認める、と規定している。

「Time Out Tokyo」の記事のなかで宇川氏は、80年代からVJとしてクラブの現場で表現を行ってきた立場から、

「フロアは、あらゆるオーディエンスに現代アートフォームの『いま』と『ここ』を提供する港」

と形容し、クラブ/クラブカルチャーが社会で果たす機能について次のように語っている。

「10ルクス以上の『照度』は、フロアに於いては、日光に値する照度です!!!!!!!!!!!
これでは、クラブカルチャーは成立しません!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
互いに支え合いながら、信頼関係を築き、長らく平和に共存してきたフロアにおける音と光のリレーションシップを、お願いですから、法律で踏みにじらないで頂きたいです」

そして風営法問題に精通する斎藤貴弘弁護士は、改正による弊害を以下のように分析する。

「照度が10ルクス以下の店舗は低照度飲食店とされ、風俗営業としての規制を引き続き受けることになります。風俗営業として、午前1時以降の深夜営業は禁止され、厳格な出店地域規制を受けることが予想されます」

斎藤弁護士は、10ルクス以下の店舗を一律に風俗営業として規制するのではなく、クラブ業界と警察が連携して知恵を出し合うべきだと提案。次のような解決案を提案している。

「照度の計測場所等の計測方法、実体に適合した照度数値、防犯カメラ等の有効活用、スタッフの巡回等、演出表現を損なわないで店内の安全を守るすべはいくらでも存在します」

また、客室面積要件や地域要件の範囲についても検討すべきで、

「現行風営法の66㎡を最低条件とする客室面積では、実験性に富んだ音楽表現や映像表現の場、文化の一番重要な根っこに相当する部分を刈り取ってしまう」

と指摘している。


【Time Out Tokyo】
ダンスフロアに「太陽」は邪魔なのです。
宇川直宏(DOMMUNE/京都造形芸術大学教授)/斎藤貴弘(弁護士)に訊く(2014.9.27)
http://www.timeout.jp/ja/tokyo/feature/9908

■警視庁『ダンスをさせる営業の規制 の在り方等に関する報告書』
http://www.npa.go.jp/safetylife/hoan/huzokugyousei/report/houkokusho.pdf

[写真:「Time Out Tokyo」の記事より]



【関連記事】
無罪となったNOON風営法訴訟、判決文全文掲載(2014.5.3)
http://www.webdice.jp/dice/detail/4176/

クラブNOON風営法訴訟、検察が高裁に控訴(2014.5.8)
http://www.webdice.jp/topics/detail/4195/

キーワード:

風営法 / 宇川直宏 / 斎藤貴弘


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