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東京都 千代田区

2015-02-27 15:22


イクメン映画監督、家族と遺伝子組換えの実態探求

イクメン映画監督、家族と遺伝子組換えの実態探求
映画『パパ、遺伝子組み換えってなぁに?』のジェレミー・セイファート監督(右)とジェン夫人(左)

「食の安全」を探求するドキュメンタリー映画『パパ、遺伝子組み換えってなぁに?』のジェレミー・セイファート監督がジェン夫人と共に来日を果たし、25日、都内・日比谷文化図書館で行われたトークイベントに出席した。

登壇するなり、ほぼ女性で埋め尽くされた会場を見渡したジェレミー監督は、「やはり〈食〉に関しては女性の方が情熱的。女性は種を育ててくれる存在ですからね……あ、でも、あそこにヤングマンが1人いた!」と、小さな男の子を見つけると満面の笑顔を見せ、観客から温かい笑いがこぼれた。

本作は、食料廃棄問題をテーマにした初監督作品『DIVE!』で世界22の映画祭で様々な賞を獲得した俊英ジェレミー監督の最新作。3人の子どもの父親でもある彼が、「食の安全」について「家族みんなで考えてみよう!」と発案し、遺伝子組み換え食品(GMO)や有機栽培の現状を探求する旅に出る。さまざまな企業や専門家、農家の方々にインタビューを敢行する中で、彼ら一家がたどり着いた答えとは?

バークシャー国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー作品賞を受賞するなど、観客から熱狂的な支持を受けている本作。「GMOは本当に安全なのかな?」という素朴な疑問もさることながら、7歳(撮影当時6歳)の長男フィンくんが無類の“種好き”だったことから、このプロジェクトは始まったという。「フィンが2歳の時、家に畑を作り、『種はこうして蒔くんだよ』と教えてあげたんだ。しばらくすると、それが芽になり、トマトの実がなって、100個くらいの種ができた。彼は凄く感動していた。命の不思議、大切さに目覚めたんだね」と述懐した。

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映画『パパ、遺伝子組み換えってなぁに?』より

そして、始まった今回の旅。ジェレミー監督は、「食品に関わるさまざまな企業やGMOの研究者、有機栽培を行っている農家の人たちに話を聞いたが、まだまだわからないことがたくさんある。ただ、映画を観ていただければわかると思うけど、100%オーガニックな食品を食べることはかなり難しい、これだけははっきりしていると思う」と力説。会場から「もしも、お子さんがファストフードを食べたいって言ったら?」という声が上がっても、「答えはノー!」と笑顔でキッパリ。

ただ、全てを頑なに縛るのも良くないというジェレミー監督は、「劇中、ハロウィンを楽しむシーンがあるけれど、子供たちがもらってきたお菓子が、もしもよくない製品だったら、さりげなく『そのお菓子とオモチャを交換しない?』って提案するよ。ハロウィンの思い出を大切にしながら、折り合いをつけることも大切」と、持論を展開。子供の心の成長にも配慮する優しい父親の一面ものぞかせていた。

来日にあたり各メディアの取材に答えたセイファート監督は、映画完成後のアメリカ各州での遺伝子組み換え食品の表示運動について「食品業界から各州へ真実を知らせないようにする動きがあるものの、現在22の州が表示法案成立へ動いている。とはいえ、ロビー団体からの献金や広告による影響で、なかなか国全体として表示へ向けて改善していくことは難しい状況だ」と問題点について指摘している。




映画『パパ、遺伝子組み換えってなぁに?』
4月25日(土)より渋谷アップリンク、名古屋名演小劇場、横浜シネマ・ジャック&ベティほか全国順次公開

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監督:ジェレミー・セイファート
出演:セイファート監督のファミリー、ジル=エリック・セラリー二、ヴァンダナ・シヴァ
配給・宣伝:アップリンク
協力:大地を守る会、生活クラブ生協、パルシステム生活協同組合連合
字幕:藤本エリ
字幕協力:国際有機農業映画祭
配給:アップリンク
2013年/英語、スペイン語、ノルウェー語、フランス語/85分/カラー/アメリカ、ハイチ、ノルウェー

公式サイト:http://www.uplink.co.jp/gmo/
公式Facebook:http://on.fb.me/1AKpPU4


▼映画『パパ、遺伝子組み換えってなぁに?』予告編

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