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2016-05-10 19:30


安い鶏肉は隠れたコストがあって実は安くない?!

安い鶏肉は隠れたコストがあって実は安くない?!

4月24日付の英「ザ・ガーディアン」紙に、ザ・サステイナブル・フード・トラスト(持続可能な食物システムへの転換を呼びかけているイギリスの団体)の事務局長パトリック・ホールデン氏が、工場式畜産の安価な鶏肉は隠れたコストがあり実はまったく安くない、というコラムを寄稿している

隠れたコストとは、養鶏工場が排出する汚染水やアンモニアガスなどによる公害の環境浄化費や、過密飼育で病気が発生しやすいために必須の伝染病対策費などである。

ヨーロッパではアニマルウェルフェアの観点から、バタリーケージ(金網でできた狭いケージに鶏を入れ何段かに重ねて飼育する方法)を禁止する国が1990年代から出始め(スイス、ドイツなど)、2012年にはEUが採卵鶏の飼育に従来型バタリーケージを禁止した。

アメリカでは、カリフォルニア州ですでにバタリーケージが全廃されたほか、マクドナルド、ハインツ、ネスレ、ウェンディーズ、ウォルマートなどがケージフリーの卵へ段階的に切り替えていくことを発表している。日本の採卵鶏は、2013年時点で生産システムにおけるケージ比率は約96%である。(出典:独立行政法人農畜産業振興機構「平成 26 年度畜産関係学術研究委託調査報告書」)

ホールデン氏はコラムで、養鶏に限らず、循環型の食糧生産システムを促進させるために、市民ができることを述べている。以下に、コラムの一部訳を掲載する。

(略)養鶏工場から出荷される安い鶏肉の価格には、環境汚染や自然資源の破壊、温室効果ガス排出といった公衆衛生に与えるダメージにかかるコストは含まれていない。それらを含めると、廉価な鶏はまったく安くないのである。

(略)われわれは、食物の大量生産によって生み出されているコストを、誤った農業政策の助成金や汚染水浄化費、国民健康保険料などを通じ隠れた形で、すなわち“税金”として払わされているのだ。

(略)われわれには変える力がある。環境のためになり人々の健康を向上させるやり方をしている農家だけに支援金を出し、化学肥料や農薬には(砂糖と同様に)課税し、より二酸化炭素の排出が少ない土壌管理を促進せよと、われわれは国に求めるべきである。学校、病院、介護施設の食事は、すべて地元で採れた持続可能な産物にすることを、われわれは主張すべきである。持続可能な食料事業への投資にかかる税金の軽減も提案できよう。最後に、食物生産従事者の生活費と安全な労働環境も確保すべきだ。

(略)こうした選択をすることは、われわれ誰もが自分と家族と地域社会のために求める、より公正で持続可能で健康な食糧システムを作る手助けになる。このことを例えば、当団体が作った「2匹の鶏の物語」という4分間のアニメをシェアして広めてもらうこともできるだろう。

キーワード:

バタリーケージ / 養鶏 / 平飼い


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