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2016-06-03 21:15


クラフトワーク、2秒のサンプリング訴訟で敗訴

クラフトワーク、2秒のサンプリング訴訟で敗訴

ドイツのバンド、クラフトワークが、楽曲の一部をサンプリングして無断で使用したとして、ヒップホップ・プロデューサーのモーゼス・ペラムを訴えていた裁判の判決が30日行われ、ドイツの連邦憲法裁判所は、著作権侵害には当たらないと原告のクラフトワーク側の主張を退ける判決を下した。

この裁判は、モーゼス・ペラムがフランス人のラッパー、サブリナ・セトラーに提供し1997年にリリースされた楽曲「Nur Mir」の中で、クラフトワークが1977年に発表した『ヨーロッパ特急』収録曲「Metal On Metal」のドラムビートを2秒サンプリングしてループとして使用したことは著作権侵害に当たるかどうかが争われていた。モーゼス・ペラム側は、ポップ・ミュージックでは、サンプリングの手法は一般的に行われているもので、著作権侵害には当たらないとの主張を行っていた。

2000年から行われていたこの裁判で、クラフトワーク側は2012年の二審では勝訴していたが、ペラム側が表現の自由を妨げる判決だとして控訴し、最高裁はペラムの主張を認めた。BusinessNewslineなどの報道によると、裁判所は今回、「原曲の作曲家は、その楽曲を元にして生み出される新しい楽曲の創作活動を妨げることはできない」「サンプリングによって生み出された新しい楽曲が、原曲と競合しない、そして財政的に著作権の所有者を傷つけない限り、サンプリングの使用が原曲の著作権を侵害したことにはならない」「芸術的な表現の自由は、著作権者の権利よりも優先される」と判決した。

ヒップホップというジャンルではサンプリングという手法が必要不可欠であり、著作権を侵害していると判断できないような短い使用で、音源を無断でサンプリングしても使い方によっては著作権侵害を問われないという画期的な判決と報じられる一方で、サンプリングを巡る問題は著作者の主観に委ねられる場合が多いため、今回の決定が今後の判断の先例となることは難しいだろうという声も上がっている。

ヒップホップ/R&Bにおける著作権を巡る裁判では、2015年、故マーヴィン・ゲイの相続人が、ファレル・ウィリアムスが手がけたロビン・シック2013年のヒット曲「Blurred Lines」がマーヴィン・ゲイの1977年のナンバー「Got To Give It Up」の盗作だとして訴えた裁判で、ファレル側に計740万ドル(約9億円)の支払いを命じる判決が下されていた。

写真:クラフトワークの『ヨーロッパ特急』(Trans-Europa Express)ジャケット

▼サブリナ・セトラー「Nur Mir」(1997年)


▼クラフトワーク「Metal On Metal」(1977年)

【BusinessNewsline】
サンプリング音源著作権侵害訴訟、ドイツで原告となるクラフトワーク敗訴の判決

(2016/6/1)
http://business.newsln.jp/news/201605311030310000.html

【The Guardian】
Kraftwerk's defeat in sampling lawsuit doesn't set a precedent

(2016/6/1)
https://www.theguardian.com/music/2016/jun/01/kraftwerk-sampling-lawsuit-defeat-sabrina-setlur-precedent

キーワード:

クラフトワーク / 著作権


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