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東京都 新宿区

2016-06-26 22:10


塚本晋也が驚嘆!「エヴォリューション」の映像美

塚本晋也が驚嘆!「エヴォリューション」の映像美
ルシール・アザリロヴィック監督(右)、塚本晋也監督(左)

ルシール・アザリロヴィック監督の最新作、映画『エヴォリューション』が2016年11月の公開に先駆け6月27日(月)に「フランス映画祭2016」にて上映。関連企画として、美しくも妖しい少女の世界を描いたガールズムービーの金字塔、前作『エコール』の35㎜フィルム上映と併せてマスタークラスが6月26日東京・飯田橋のアンスティチュ・フランセにて実施され、ルシール監督と20年来の大親友である『野火』の塚本晋也監督が対談した。

ルシール監督と塚本監督2人の出会い

ルシール監督:アヴォリアッツ映画際で初めて会いました。その時は自分の映画ではなく、パートナであるギャスパー・ノエの『カルネ』の手伝いで一緒に行ったんですが、そこで初めて『鉄男』を観たんです。ギャスパーと二人で”すごい映画だね!日本人の監督が撮っているんだって、絶対会いにいかなきゃ!”とすぐに飛び着きました。私たちが二人で迫っていったので、塚本監督は怖かったんじゃないのかな(笑)。当時、私は英語が話せなかったんですが、お互いに分かり合えたと思います。

塚本監督:アボリアッツ映画祭は『鉄男2』で初めて招待された海外の映画祭で、そこで最初にあったのがギャスパー・ノエで、一緒にいたのがルシールさんだったんです。こんなに長くお付き合いが続くとはとってもびっくりです。その時ギャスパーの家に泊まったんです。そこでルシールの、『ミミ』(1996年)の前に作られた短編集『First Death of NONO』をみせてもらい、”ダークビューティフル”とったら、そのフレーズをとても喜んでくれていました。

塚本晋也監督xルシール・アザリロヴィック監督
ルシール・アザリロヴィック監督(右)、塚本晋也監督(左)

お互いの作品について

ルシール監督:塚本さんの作品はほとんど観ています。もちろん新作『野火』も。彼の撮る映画にとても興味がある。というのは、新しいものを発明するような実験的な作品が多くて、そこに面白さも感動もあり、非常に自由に作られているから。更に、塚本監督本人が監督、俳優、撮影、照明、編集、制作もすべて行っている。ギャスパーもそう言っているんですが、彼はまさに”オーケトラマン”。しかも『野火』に至っては配給までも行っていて、それをすべて見事にやりとげるのは信じられないな事だと思っています。

塚本監督:僕も彼女の作品はほとんど観ています。今日上映した『エコール』についてはルシールがそのまま映画になったよう。彼女は本当に少女みたいな人なんです。一緒にカラオケ行っても小さな声で歌うんです。その少女のような感じがそのまま映画になっている。この映画はまさにルシールそのもの。普段は少女のようなルシールだけど、映画作りについてはかなり厳格に映画を作っていて、僕自身励まされる。

映画『エコール』より © Ex Nihilo / Bluelight l’Ecole Ltd / UK Film Council / Les Ateliers de Baere / Gimages Films / Love Streams Productions
映画『エコール』より © Ex Nihilo / Bluelight l’Ecole Ltd / UK Film Council / Les Ateliers de Baere / Gimages Films / Love Streams Productions

ルシール監督:この『エコール』については少女の視線で捉えた世界を描きたかった。外部の大人の目でみたというのではない。そして10歳くらいの子供たちにこの作品を観せたかった。実際子供たちにこの作品を観せると「普通だよ。僕たちのいまみている世界だよ」と答えるんです。一方大人に見せると「変な世界ね」といったように捉えるのがおもしろい。私は映画の中のシーンのように棺に入ったことはないけど、この作品は自伝的な要素を含めた映画です。

映画『エヴォリューション』より © LES FILMS DU WORSO・ NOODLES PRODUCTION・VOLCANO FILMS・EVO FILMS A.I.E. ・SCOPE PICTURES・LEFT FIELD VENTURES / DEPOT LEGAL 2015
映画『エヴォリューション』より © LES FILMS DU WORSO・ NOODLES PRODUCTION・VOLCANO FILMS・EVO FILMS A.I.E. ・SCOPE PICTURES・LEFT FIELD VENTURES / DEPOT LEGAL 2015

映画の作り方・撮影について

ルシール監督:映画を作る際に自分なりのルールがあります。ストーリーボードは作らないし、カメラは固定で長回し。だから塚本さんのような動く映像に憧れます。作品を作る時はいろいろなものをそぎ落として映画を作っていく。そしてミニマルな映画ができていきます。

塚本監督:新作の『エヴォリューション』を一足先に観せていただきましたが、最初に観た時、あまりに映像が綺麗なのに驚いて「最初の海のシーン、あれどうやって撮ったの?」と開口一番に聞いたんだよね(笑)。

ルシール監督:そうやって言ってくれたのは、とっても嬉しかったです!

塚本監督:映像のことばっかり言ってると思われるかもしれませんが、映像の持つ力は大きくて、映像が語る。映像が物語を生み出すんだと思います。

映画『エヴォリューション』より © LES FILMS DU WORSO・ NOODLES PRODUCTION・VOLCANO FILMS・EVO FILMS A.I.E. ・SCOPE PICTURES・LEFT FIELD VENTURES / DEPOT LEGAL 2015
映画『エヴォリューション』より © LES FILMS DU WORSO・ NOODLES PRODUCTION・VOLCANO FILMS・EVO FILMS A.I.E. ・SCOPE PICTURES・LEFT FIELD VENTURES / DEPOT LEGAL 2015

「フランス映画祭2016」は6月27日まで、有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇で開催。ルシール監督の新作『エヴォリューション』は6月27日に有楽町朝日ホールにて上映される。




映画『エヴォリューション』ポスター

フランス映画祭2016
『エヴォリューション』上映

日時:6月27日(月)
時間:14:00~
会場: 有楽町朝日ホール(東京都千代田区有楽町2-5-1有楽町マリオン11F)
登壇:ルシール・アザリロヴィック監督

http://unifrance.jp/festival/2016/films/evolution


映画『エヴォリューション』
2016年11月、渋谷アップリンク、新宿シネマカリテほか全国順次公開

少年と女性しかいない、人里離れた島に母親と暮らす10歳の二コラ。その島ではすべての少年が奇妙な医療行為の対象となっている。「なにかがおかしい」と異変に気付き始めたニコラは、夜半に出かける母親の後をつける。そこで母親がほかの女性たちと海辺でする「ある行為」を目撃し、秘密を探ろうとしたのが悪夢の始まりだった。“エヴォリューション(進化)”とは何なのか……?

脚本&監督:ルシール・アザリロヴィック
プロデューサー:シルヴィー・ピアラ、ブノア・カノン
撮影監督:マニュ・ダコッセ
美術監督:ライラ・コレット
出演:マックス・ブラバン、ロクサーヌ・デュラン、ジュリー=マリー・パルマンティエほか
配給:アップリンク
2015年/フランス/81分/フランス語/カラー/スコープサイズ/DCP

▼映画『エヴォリューション』海外版予告編

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