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東京都 渋谷区

2017-12-01 16:55


滝本誠&柳下毅一郎が語るホドロフスキーの世界

滝本誠&柳下毅一郎が語るホドロフスキーの世界
映画『エンドレス・ポエトリー』のトークイベントに登壇した滝本誠氏(左)、柳下毅一郎氏(右)

アレハンドロ・ホドロフスキー監督の最新作『エンドレス・ポエトリー』の公開記念イベントが29日、アップリンク渋谷で行なわれ、ゲストに映画・美術評論家の滝本誠氏と映画評論家・特殊翻訳家の柳下毅一郎氏が登壇。「ホドロフキーの世界」について熱く語った。

本作は、ホドロフスキー監督自身の青春時代を描いた自伝的映画。青年期の葛藤や父との確執、初恋や友情を瑞々しく描いた作品。

ホドロフスキーによる、半世紀にわたるタロット研究の集大成『タロットの宇宙』(国書刊行会刊)に解説をよせている滝本氏は、劇中のタロットのシーンで登場する2枚のカード 【15番・悪魔】【17番・星】の指す意味を「悪魔のカードは無意識の力、情熱、創造性を意味し、星のカードは“世界の中で行動すること、自分の場所を見つけること”を指します。それは映画の示す大きなテーマを意味し、映画の中でも明解に表現している。本当に素晴らしいですよね」とタロットの解説を交えながら本作を称賛。

映画『エンドレス・ポエトリー』 © Pascale Montandon-Jodorowsky
映画『エンドレス・ポエトリー』 © Pascale Montandon-Jodorowsky

一方、柳下氏は「ホドロフスキーの一番ヘンで面白いところは、普通の因果関係ではあり得ないことをやってのけること。よくホドロフスキー本人が“過去を変えることで、現在を変える”と言っていますが、本来変えられるはずのないものを、変えられるという融通無碍なものがホドロフスキーにはあって、しかも本人も信じているのも面白い。映画を観ていても“何が起こっているんだ!”っていう部分ですよね」とホドロフスキーの本質に言及。

今回の初来日で、移住したいほど日本を気に入ったというアダンについて滝本氏は「日本でいう(し)という言葉には、詩と死という両方の意味がある。きっとアダンは誰かとのやりとりでこのことを知り、それに驚いんたんじゃないかな。こういった話や日本で感じたインスピレーションが父親のホドロフスキーに届けられ回っていくんですよ」と説明した。

映画『エンドレス・ポエトリー』より ©Pascale Montandon-Jodorowsky
映画『エンドレス・ポエトリー』 © Pascale Montandon-Jodorowsky

また、『リアリティのダンス』(文遊社刊)を読んだ時に深く感動したという柳下氏は「『エル・トポ』や『ホーリー・マウンテン』を観ていた時は分からなかったが、この自伝の映画化である『リアリティのダンス』『エンドレス・ポエトリー』という作品はもはや涅槃。本来映画というのは、監督、演出、俳優、ストーリー、脚色があって、というのが普通ですが、ホドロフスキーの映画はそういうことではない。自分の人生の体験と映画、舞台、詩が同じで、全てが一つになっている。まさに、ホドロフスキーが言う“人生を変えることで映画を変える、映画を作ることが自分の人生を変える”が自然に彼の中でつながっている」と解説。

2014年のホドロフスキー来日時に対談した滝本氏は、「3年前にホドロフスキーにタロットリーディングをしてもらった時に言われた事が、その後どんどん実現していっている。まるでホドロフスキーの手の上で転がされているよう(笑)。この歳になって、自分の中に何か燃え上がる魂みたいなものが出てきて、それは間違いなくホドロフスキーから得たもの」とホドロフスキーから受けたパワーを自身の体験と交えて語った。




映画『エンドレス・ポエトリー』 ©Pascale Montandon-Jodorowsky

映画『エンドレス・ポエトリー』
新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、
アップリンク渋谷ほか全国順次公開中

監督・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー
撮影:クリストファー・ドイル
出演:アダン・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、ブロンティス・ホドロフスキー、レアンドロ・ターブ、イェレミアス・ハースコヴィッツ
配給:アップリンク
2016年/フランス、チリ、日本/128分/スペイン語/1:1.85/5.1ch/DCP

公式サイト


▼映画『エンドレス・ポエトリー』予告編

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