2009-09-17

第29次東ティモール現地訪問報告。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

はじめに

 2009年1月11日〔日〕から25日〔日〕までTNCCのエウゼビオ・ゴヴェイア(TNCC奨学生としてメルボルン・モナシュ大学在学中)と高橋道郎の2名が東ティモールを訪問し、首都ディリーメティナローブコリーバウカウーセイシャルーラガーフイロローAFMET-ティティラリーロスパロスーイリオマールーイラベレーウアトラリーロイフノーオスーヴェニラレーデイリーベタノーデイリーヴェニラレーデイリとかなり広い東ティモール各地を巡回し、言語・教育・農業の3プロジェクトに微力を尽くしてきた。各プロジェクトの責任者やグループの東ティモール人と再会し半年の総括を行い来るべき半年の方向を討論しながら有意義な活動を蓄積することが出来た。以下概要を報告する。

1.原住民言語支援

 新しい東ティモールの共同体建設は、原住民の知恵と文化の結晶である原住民の国語(テトゥン語)と地方言語(32言語)を維持し発展させる中で達成される。この基本方針に基づき今回も以下の言語プロジェクトに取り組んだ。

[1]ウアイマア語
 成果―ウアイマア語・テトゥン語・ポルトガル語・英語・インドネシア語の5カ国語対照会話集の完成。タイプ版原版を受け取り帰国・仙台の本部で印刷出版(2009年4月)。ブコリ在住のアンドレ・ダ・シルバさんをリーダーとするグループ。

[2]ナウウェティ語
 成果―ナウウェティ語研究集第6パンフレット「ナウウェティ語圏の伝統的社会構造」
 完成版の原稿を電子ドキュメントで受け取り帰国後仙台の本部で印刷出版。(A4版35ページ)。バウカウ在住の大学教授 アントニオ・メネゼスさんのグループ。

[3]マカサエ語
 TNCCマカサエ語プロジェクトの会議を開催。以前発行したマカサエ語辞書の改訂に取り組んでいる。またマカサエ語文法書の作成進行中。タイプミスも校正して質の高い辞書・文法書の第2版を編集中。セイシャル在住の中学校語学教師ジョアキム・コレイアさんが実質的指導者。セイシャル中学校の英語教師デイヴィッドさんやデイリ在住の女性2名が加わっている。

[4}ファタルク語
 TNCC言語プロジェクト中央事務所長を兼務しているファタルク語リーダーのティティラリ在住のジュステーィノ・ヴァレンティムさんが「ファタルク語―インドネシア語語彙集」の編集に取り組んでいるが、公共電気の電圧の急変でTNCC言語プロジェクト中央事務所のコンピューターが使えない。TNCCの発電機も壊れていたのでTNCC現地滞在中に、ヴェニラレの職業高校で修理して、ティティラリのTNCC言語プロジェクト中央事務所に届ける手配を行った。

[5]マクア語
 ロスパロスでTNCCマクア語プロジェクトの代表アルビーノ・シルバさんと会見し、マクア語を話す3老人が生存中に日本大使館の北原新大使に依頼し日本の財政援助で滅びつつあるあるマクア語を記録するプロジェクトを立ち上げるよう働きかけることとした。1月22日TNCCの代表4名(高橋・エウゼビオ・ジョアナ・アルビーノ)がディリの日本大使館で北原巌男新大使と会見し以上のことを要請しご検討を依頼した。

[6]マカレロ語
 イリオマールにあるTNCC・CCDM(東ティモール日本文化センターマカレロ方言中央研究所)のガスパル・セイシャル著「イリオマールの歴史」ならびにドミンゴス・フェルナンデス著「イリオマール文化」第5パンフレットならびに第1パンフレット改訂2版のタイプ原稿を受け取り、仙台の本部で2009年4月印刷出版。

[7]テトゥン・テリク語
 マヌファヒ県サメ郡ベタノ村のジョゼ・コンセンサオンさんを中心にベタノ村で日常的に話されているテトゥン・テリク語のプロジェクトを発足させる。2009年7月第30次訪問の際、TNCC第1回テトゥン・テリク語会議をベタノ村で、ベタノ村の小学校の先生の出席を求めて開催することを決定。

[8]トコデデ語
 ディリ在住のリキサ出身のTNCCトコデデ語プロジェクトティームの3名とデイリのTNCC事務所で会議を持ち、30次訪問時2009年7月、リキサでトコデデ語会議を開くことを決定。
 このグループの自主出版するトコデデ語の本に、TNCCのクレジットを入れTNCCが版権を有する写真数枚を掲載するため、写真原版を電子ドキュメントで提供。

[9]テトゥン語
 テトゥン語週刊新聞「テンポ・セマナル」編集長ジョゼ・ベロさんとTNCCディリ事務所で会見し激励。

2.若い世代と孤児の教育支援を継続し、TBI図書館経営を維持発展させる

[1]TBI(TNCC BIBLIOTEKA ILIOMAR 東ティモール日本文化センターイリオマール図書館)支援
 イリオマールのTNCC文化センターの建物で、パブリック・ミーティングを2009年1月16日に開催し、郡長のアビリオ・キンタオ・ピントさんも出席して新しい図書館の2名の常勤スタッフを任命した。
 TBIは、1月現在蔵書数2118冊。そのうちテトゥン語の本355冊。マカレロ語など地方言語の本180冊。2008年7月から12月までの入館者数は3884名。イリオマール郡の人口は現在8622名。
クリニックに勤務しているキューバ人女性医師がTBIの辞書を借りてテトゥン語を学んだと語っていた。

[2]孤児院支援
TNCCはヴェニラレのサレジア女子修道会経営の孤児院を今回も訪問し、TNCC出版物を寄贈し,定例の食料費財政支援を行った。

[3]奨学金給付
大学生2名 高校生4名 学生生徒と面会して現状を把握。奨学金継続の手続を行った。
 
[4]ヴィケケ県オス郡カトリック学校支援
 財政支援開始

3.伝統的循環型有機農業支援

[1]KOKODES 
 バウカウ県バホ地区の有畜有機農業プロジェクト。連帯ローンの原資を拡大しつつ着実に発展中。

[2] TAOP TNCC Agriculture OSSU Pilotfarm
 ヴィケケ県オス郡の農業プロジェクト。キャサバを育て豚を飼いバイオガスシステムの構築を目指している。2010年農民2名がTNCCの招待で来日予定。

[3]TAIP TNCC Agiculture ILIOMAR Pilotfarm
 ラウテム県イリオマール郡イラベレ村に農場建設中。豚を飼いキャサバや野菜・果物を育てている。伝統的井戸もすでに完成し豚の体を洗ったり野菜畑に水を供給できる。2009年からバイクを使って農産物をワトカラバウとイリオマールの市場に出荷し現金収入を目指す。2008年TAIPからジョアンさんとアフォンソさんTNCCの招待で日本に招待。兵庫県の「あーす農場」と埼玉県の「霜里農場」で有機農業の研修。広島原爆資料館訪問。宇部と東京で第2回「希望の島・東ティモールー有機農業と私たちの未来」のイベントに参加。「有機的生き方」について日本市民と交流した。

[4] BETANO
 マヌファヒ県サメ郡ベタノ村のジョゼ・コンセンサオさんが有機農場を経営。今回東ティモール政府のエネルギー庁長官アベリーノ・コエーリョさんとTNCCが一緒にベタノ村を調査訪問し、中国式バイオガスシステムの本年度設置が決まった。ジョゼさんは2007年TNCCの招待で来日。

[5] TAUP TNCC Agriculture UATRALI Pilotfarm  
 ビケケ県ウアトラリ郡にあるパイロット農場。家畜を飼い育てるプロジェクト開始。TNCCの招待で2人の農民が2009年8月から10月まで日本訪問決定。兵庫県・埼玉県の有機農場で研修し、宇部・仙台・東京で「第3回希望の島・東ティモールー有機農業と私たちの未来」のイベントを2人の東ティモール人を迎えて行う予定。

[6] TAFAP TNCC Agriculture FATULIA Pilotfarm  
 バウカウ県ヴェニラレ郡ファトゥリア村パイロット農場。TNCC連帯ローンで2009年1月から有機農業の実験を開始。

[7] TAUAP TNCC Agriculture UAI-OLI Pilotfarm
 バウカウ県ヴェニラレ郡ウアイオリ村パイロット農場。TNCCの連帯ローンで2009年1月から有機農業の実験開始。

(*注) TNCC連帯ローン3原則:無抵当・無利子・5年後に元本を再び第二のパイロット農場へ連続貸与する連帯ローン。この元本をSEED MONEY(種のお金)と名づける。500米ドルづつ5年間、半年ごとに行い、総額5000米ドル貸付。5年後に第二農場、10年後に第3農場が建設されるというように、継続的に計画を実現して将来を切り開く。

おわりに
 2009年6月末から7月にかけて第30次現地訪問を行い、3プロジェクトを継続支援して、TNCCの諸プロジェクトの着実な継続的発展を期したい。



1月13日(火) ラガの約120名の孤児(全員少女たち)全体の夜の集会が開催された。
映像は、宇部東ティモールの会の川原奏子さんが子供たちに教えた「大きな栗の木の下で」の輪唱。

以上。

高橋道郎
(広島紀元64・2009年4月5日脱稿)

[TNCC]
http://www.timorlorosae.jp/

キーワード:

東ティモール / 有機農業


コメント(0)


関連日記