DVD「ターネーション」を見ました。
アメリカの俳優ジョナサン・カウエットが、11歳から記録し続けている映像を使って、自ら監督、編集した自伝的ドキュメンタリーです。
全編「iMovie」というとてもシンプルな編集ソフトを使って編集してあるんだけど、フィルターや映像効果を上手く使って、とてもセンス良く作られています。正直、「iMovie」であれだけのことができるのかと、驚きました。
驚いたのは編集技術だけじゃなくて、彼の自分を見つめる「目」、自分自身の抱える混沌をとっても客観的に、シンプルに、俯瞰的に見ている。これもひとつの解離なのかもしれないけど、その落ち着いた目に驚きました。
その目があるから、この映画はけっして“心の叫び”の映画にはなってなくて、“とある問題を抱えた青年とその母親”の映画になっているんです。
自分との距離の取り方が上手いんでしょうね。
この映画のように自分にカメラ、視線を向けるドキュメンタリーって好きです。たぶん、私好みのドキュメンタリー監督は、撮影段階で自分がカメラに入らざるを得ないんだと思います。
全体の中、取り扱っている問題の中、自分の作品の中での自分の立ち位置を絶えず確認して、意識して企画、撮影をしていると、自分をカメラにいれないと成立しなくなるんじゃないかと思うんですよね。
それを自分探しだと批判する人はいると思うけど、自分が見つからずに(もしくは自分が不満で)自分探しをしてるわけじゃないから、一緒にしちゃいかん。
まあ、自分語りだと批判する人に対しては反論できないんだけど、ま、ドキュメンタリーなんぞ、何を題材にしても所詮は自分語りに過ぎないんで勘弁してもらおう。
なにはともあれ「ターネーション」は面白かったです。
どちらかというとドキュメンタリーが嫌いな人の方が気に入るかもしれません。