2012-09-14

【『これは映画ではない』クロスレビュー】難しい環境でも映画を愛する監督に敬意を表す。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

昨年のフィルメックス映画祭で上映されたのですが、その時は、時間が合わずに観れませんでした。やっと、今回、目にすることが出来ました。

映画では無い(笑)ので、なんと紹介したら良いのでしょう。これが映画として上映されてしまうと、パナヒ監督は、刑を破ったとなり、もっと刑を科されてしまうかも知れません。日本の状況が伝わるとは思えませんが、心配ですよね。ともあれ、このフィルムは、パナヒ監督の自宅内で取られたドキュメンタリーで、普通の生活を映しているのですが、それが、今までに無かったような、今のイランの姿を映していて、面白いんです。

まず、イランでも、”i-phone”が普及していること。あんなに荒れていても、電波が通るんですね。ビックリです。そして、結構、たくさんの人がスマホを持っているということ。それほど貧困な国ではないんですね。日本に居ると、イランという国がどういう国で、どの程度のレベルの生活水準なのかなんて、全くわかりません。それが、今回のフィルムで良く解りました。それほど日本と変わらないということです。

でも、政治が荒れていて、自由な言動などが出来ないということ。でも面白いんですよ。監督の家には、ペットのイギーが居て、自由に遊びまわっています。このイギー、イグアナくんです。(笑)とっても自由で、慣れていて、イギーは、監督登りをしたりして楽しんでいました。マジでかわいいの。監督もとても可愛がっていました。

このイギー(イグアナくん)って、監督の姿と重ねられているように思えました。だって、本当は、外で自由に好きなことをやって、自由に生きているはずなのに、ペットとして家の中に飼われ、与えられた餌を食べ、何かしたいと思ってもがくんだけど、結局は、部屋の中でウロウロしているだけ。外に出たい!虫を取りたい!=外に出て映画を撮りたいっていう風に見えました。

難しい事は解りません。だけど、どんな状況にあっても、希望を忘れずに、前に進む彼の姿勢に感動しました。何がどうなるわけでもなく、部屋に尋ねてきた人との会話や、窓から見える風景、今の自分の状況を生活の一部として映像に収め、出来る事をやって楽しむ。それが未来に繋がると信じて、行動する。映画というものが彼の一部であり、とても愛しているのだということが伝わってきました。

この感動を、なんと言って説明したら良いのか良く解らないけど、でも、映画が好きな人なら、彼の気持ちが読めるのではないかと思います。その感覚を味わってきてください。そして、イランなどの紛争地域でも、いつの日か、自由に映画が撮れるようになる事を祈って欲しいです。

キーワード:

映画 / イグアナ / イギー / イラン / i-phone / 監督


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ゆきがめ

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“映画、大好きです。ストレス解消法です。”


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