骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2009-08-09 23:15


「マギー・チャンの魅力なくしては語れない映画」―『クリーン』クロスレビュー

「彼女のクリーンな生命力が鮮やかに描かれていて、女性の強さをつくづく感じさせらた」―カンヌ国際映画祭で主演女優賞を受賞したマギー・チャンの演技に注目!
「マギー・チャンの魅力なくしては語れない映画」―『クリーン』クロスレビュー
(c) 2004 - Rectangle Productions / Leap Films / 1551264 Ontario Inc / Arte France Cinema

第57回カンヌ国際映画祭、審査員全員の支持を得て女優賞を受賞したのは、香港出身で、ジャッキー・チェン、ウォン・カーウァイ作品で知られる女優、マギー・チャン。英語、フランス語、中国語の3カ国語を完璧に操り、圧倒的な演技力を見せつけた彼女と、本作が最高傑作との呼び声高いフランス人監督オリヴィエ・アサイヤスが、『イルマ・ヴェップ』(96)以来のタッグを組んだ感動の物語。評論家による絶賛の声や海外での評判を聞き、公開を熱望するファンの声に応え、遂に日本での公開が決定した。

クリーン02

ロックスターの夫を亡くしひとり息子の養育権も奪われてしまった母親が、絶望の底からなんとか這い上がり新たな一歩を踏み出すまでの再生の物語。歌手として成功したいという自身の夢。死んでしまった夫の家族との軋轢。そして、愛する息子との縮まらない距離…。様々なジレンマを抱えながらも、いつの日かまた息子と暮らせる日が来ると信じ、母は前に進み続ける。

今最も注目すべきフランス人監督オリヴィエ・アサイヤスのもとに集まったのは、カナダ、アメリカ、イギリス、フランスなど世界を舞台に繰り広げられる本作にふさわしい豪華な面々。製作は『シルク』(07)『ブラインドネス』(08)の国際的プロデューサー、ニヴ・フィッチマン。そして、流麗なカメラワークと豊かな色彩で見事にエミリーの心情を表現したのは、多くのアサイヤス作品を手がけ、『イントゥ・ザ・ワイルド』(07)でも才能を発揮している名カメラマン、エリック・ゴーティエ。


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心の琴線に触れる暖かな音楽は、監督が「この映画には本当に自分の好きな音楽を使いたい」と言って選んだ、元ロキシー・ミュージック、ブライアン・イーノのサウンドトラックから。その他にもエイミー・ハインズ率いるメトリック、元マッシヴ・アタックのトリッキー、マジー・スターのデヴィッド・ローバックが音楽に参加している。

キャストは『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』(86)のベアトリス・ダルと『ランジェ公爵夫人』(07)のジャンヌ・バリバール。さらに2度のアカデミー賞ノミネート経験がある性格俳優ニック・ノルティが、マギー・チャンの存在を引き立たせ、かつ作品に気品と風格を与えている。



『クリーン』
2009年8月29日(土)よりシアター・イメージフォーラムにてロードショー

監督・脚本:オリヴィエ・アサイヤス(『イルマ・ヴェップ』『NOISE』『夏時間の庭』)
出演:マギー・チャン、ニック・ノルティ、ベアトリス・ダル、ジャンヌ・バリバール、他
2004年/フランス・イギリス・カナダ/111分
配給・宣伝:トランスフォーマー
公式サイト


レビュー(3)


  • まいこっこさんのレビュー   2009-06-12 08:19

    最高の女性映画

    探している物に出会う感覚、そんな映画でした。なんといっても人物同士の距離感の描き方に引き込まれた。ヒロインのエミリー・ワン(マギー・チャン)の失ってからわかるものの表情に引き込まれた最高の映画です。 かつてはミュージシャンとして成功していた夫とエミ...  続きを読む

  • ほろにがさんのレビュー   2009-06-22 03:06

    『クリーン』

    冒頭、シネマスコープの画面いっぱいに広がる工場のロングショットに思わず目を奪われる。『イントゥ・ザ・ワイルド』でも存分にみせたエリック・ゴーティエによる静謐で雄弁な風景は、その後もしばしば登場し、見る者に鮮烈な印象を与える。一方、本編では、カットは周...  続きを読む

  • ここなつさんのレビュー   2009-06-22 10:02

    一人の女性の再生物語

    鑑賞する前の思い込みとして、私はこの作品は「母と子の再生物語」だと勝手に思っていました。離れていても強くより戻る母と子の絆…とか何とか。けれど、実際に鑑賞してみると、この作品はヒロインのエミリー自身がどん底から再生していく話であり、そのための手段とし...  続きを読む

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