Tokyo Art School「はじっこから東京を考える」(2009年10月17日開催)撮影:越間有紀子
浅井隆×藤城里香「プロダクションという方法」
2009年8月にスタートした、東京を知って、東京を変えるための、学びの時間「Tokyo Art School」。2010年3月まで全8回のレクチャー・シリーズを開講中。11月22日(日)の第4回には、アップリンク主宰の浅井隆と無人島プロダクション代表の藤城里香さんを講師に「プロダクションという方法」をテーマに学ぶ。映画や芸術がより刺激的でなおかつ身近に感じられるようになるのは、作品はもとより、それに関する情報や知識、またその共有を可能にする流通のネットワークがあるから。制作者のアイデアを形にし、その面白さを余すところなく伝えていくために、様々なモノやサービスを生み出していく「プロダクション」という方法を、文化創造との関係において考える。
【第4回のレクチャー概略】
■「情報と場のネットワーク構築へ」 浅井隆90年代をとおして発達し、普及したデジタルテクノロジーは、アート界においても大きな影響を与えています。「世界」へのアクセスを可能にするインターネットやメール配信サービスにより、私たちはオンラインでありさえすれば、どこにいても世界のアートを知ることが出来るようになりました。しかし、そもそもアートは情報ではありません。ここに問題がありそうです。つまり、アートとは、作品やプロジェクトが行われている現場で得られる感覚や身体経験でもあるからです。情報を得て、出かけ、見て、考え、身体を動かしてアートを経験し、それをさらに自分の言葉で発してゆくとなると、そこで必要とされるのは、それらを結びつけるネットワークと考えることができるかもしれません。このような情報と現場を結びつける方法について、webDICEというオンラインのサイトを参照に考えます。
■「アートの仕事におけるサービスとは」 藤城里香
表現者と表現をサポートする仕事には実にさまざまな形が存在し、またその仕事の内容もサービスのあり方も多岐にわたります。世の中のめまぐるしい変化とともに、サービスのあり方や届け方も変容すると考えることはできるでしょう。もちろん既存の方法のいいところは残しつつも、よりよいサービスを提供するにはまだまだ工夫の余地があるといえそうです。表現者の志を尊重し、例えば東京を拠点に活動しながらも、時間的・物理的に距離がある遠方の人たちにどういったモノやアイデアを提供できるのか、あるいは、したいのかを検討することは、きっと新たな仕事につながるはずです。無人島プロダクションが、仕事とサービスの形について模索し、工夫してきたことや、実践してきたことなどを紹介しつつ、まだ見ぬさまざまなサービスの可能性について考えます。
第5回~第8回では、アンドリュー・マークル(フリーランス・ライター/編集者)とマーク・ダイサム(クライン ダイサム アーキテクツ(KDa)/建築家)による「特殊な東京」、藤高晃右(Tokyo Art Beat・NY Art Beat共同設立者)とドミニク・チェン(NPO法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパン理事/株式会社ディヴィデュアル共同設立取締役)による「テクノロジー・情報・身体」などが開催される。
「Tokyo Art School」第4回
2009年11月22日(日)13:00~16:00(開場12:30)
会場:ヒルサイドプラザ(東京都渋谷区猿楽町29-10)
入場料:一般1,000円/学生・AITメンバー800円
定員:100名(要予約・先着順)
※予約・その他詳細は、公式サイトから
講師:
浅井隆(アップリンク主宰)
天井桟敷の舞台監督を経て、87年にアップリンクを設立。映画館、イベントスペース、ギャラリー、カフェを集めたカルチャー・スペースを渋谷の宇田川町にて運営。webDICEでは多様なカルチャー情報を日々発信している。
藤城里香(無人島プロダクション代表)
女子美術短期大学グラフィックデザイン科卒業。2006年5月、音楽評論家の妹沢奈美と無人島プロダクションを設立。八谷和彦、Chim↑Pomなどのアーティストマネジメントを中心に、展覧会だけでなくDVDをはじめとしたプロダクト制作や、出版・イベント企画なども手掛ける。
撮影:平川典俊
【関連リンク】
都市の闇と光を捉える写真家・畠山直哉と『ストリートの思想』毛利嘉孝が語る東京像とは?注目のレクチャーが続々登場のアートスクール土佐有明「書く作法、届ける技術」
webDICEでの連載「(ほぼ)初日劇評」でお馴染みの土佐有明が初めて講師を務めるライティング・ワークショップ「書く作法、届ける技術」が11月28日(土)、スタートする。3週おきの土曜に2010年4月まで全7回開催。受講者は毎回課題のレビューを提出し、現場で合評という流れで、ゲスト講師も迎え終了後は懇親会も行われる予定。ワークショップ開始直前、直後も受講者は引き続き募集する。
これは、"individua-rhythm,entire-rhythm" project="i,e" projectの一環として開催される。"i,e" projectとは、STスポット横浜によるプロジェクト。「演劇」や「ダンス」、またはパフォーマーやスタッフワーク、空間というという個々のリズムが「舞台芸術」あるいは一つの作品という全体のリズムを構築し、そうして出来上がった作品が私たち「個」に与える影響に着目し、当たり前のことであるにも関わらず、それを疑うことからはじめ、真っ向から勝負を挑み続けるアーティストたちが見据えているモノを探求することを目的としている。
"i,e" project第一弾として行われるワークショッププログラムでは、他にも「ニブロール」主宰の矢内原美邦(募集終了)、「ままごと」主宰の柴幸男「キラリンク☆カンパニー東京デスロック」主宰の多田淳之介による演劇ワークショップも開催される。
「"individua-rhythm,entire-rhythm" project vol.1」ライティング・ワークショップ
2009年11月28日(土)~2010年4月3日(土)15:00~17:00
会場:野毛Hana*Hana(神奈川県横浜市中区花咲町1-42-1)
受講料:5,500円(別途舞台鑑賞費が必要な場合あり)
定員:10名程度(先着順、見学、途中参加も可能)
※予約・その他詳細は、公式サイトから
講師:
土佐有明(ライター)
1974年生まれ。90年代末、「クイック・ジャパン」「バァフアウト!」などへの寄稿をきっかけに商業誌での執筆を開始。現在、「ミュージック・マガジン」、「レコード・コレクターズ」、「エクス・ポ」、「マーキー」、「東京新聞」、「東京新聞」「シアターガイド」、「ラティーナ」、「ビジスタニュース」(WEB)などに寄稿。
【関連リンク】
土佐有明の(ほぼ)初日劇評吉田アミ「マンガ漂流者(ドリフター)熱血授業編」
同じくwebDICEで「マンガ漂流者(ドリフター)」を連載中の吉田アミによる同連載のリアル授業を聴くことができる。しかも講義の後の懇親会では、マンガにまつわる酒がふるまわれるという特典つき!次回、第4回は11月30日にマンガに大切な要素である「作画」がテーマ。マンガを批評するということ「以外」がこの講座の目的であり、作品を「物語る」ということに主眼を置いている。
第4回のゲストは、小学館「ヤングサンデー」の編集を務めたのち河出書房「九龍」、ポプラ社「ピアニッシモ」にて編集長を務めた島田一志氏。担当だった五十嵐大介、西島大介、多田由美、鈴木志保、古屋兎丸の話はもちろん、上條淳士、浅田弘幸、小畑健などマンガ家たちへの熱き想い語ってもらう。
BRAINZ CULTURE COMPLEX SCHOOL
2009年11月30日(月)20:00~22:00
会場:HEADZ / BRAINZ(東京都渋谷区宇田川町19-5 山手マンション206)
受講料:3,000円
※予約・その他詳細は、ヘッドホンから
講師:
吉田アミ(音楽・文筆・前衛家)
1990年頃より音楽活動を開始。2003年にソロアルバム「虎鶫」を、09年4月に中村としまると共作したCDアルバム「蕎麦と薔薇」をリリース。また、「ユリイカ」、「野性時代」、「週刊ビジスタニュース」などにマンガ批評、コラムを発表するほか、ロクニシコージ「こぐまレンサ」やタナカカツキ「逆光の頃」の復刻に携わっている。
撮影:井上嘉和
【関連リンク】
マンガ漂流者(ドリフター)おまけ!
アップリンク「配給サポート・ワークショップ」
映画の買付から上映、そしてDVD化、テレビ放送、インターネット配信といった映画配給の全プロセスをアップリンクで配給する作品をケーススタディとして学ぶワークショップ。具体的な作品を題材とし、買付の値段、契約の条件、興行成績、DVDの実売枚数、テレビ放送権の販売価格、インターネット配信権の販売価格等できるだけオープンにして、数字から見えてくる現在の日本映画業界の現状をともに考える。映画配給の裏側を具体的に知ることができ、映画業界就職、転職の参考にも。
ゲスト講師の登壇も予定。これまでは、映画監督、映画祭ディレクター、字幕付けの担当者などの現場で活躍する専門家が登壇。アップリンクXで上映の映画を6ヶ月間自由に鑑賞できるパスポート進呈など各種特典もあり!
「配給サポート・ワークショップ」
2010年1月21日~2010年6月(隔週木曜日、12回以上)
会場:アップリンク4F(東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル2F)
受講料:現金60,000円/クレジット63,000円(一括・分割・リボ)
※予約・その他詳細は、アップリンクのサイトから
ナビゲーター:浅井隆(アップリンク主宰)
左)東京フィルメックスディレクターの林加奈子氏をゲストに迎えて/右)映画『未来の食卓』字幕付けについてのレクチャー
おまけ!
アップリンク「デジタル・ムービー・ワークショップ」
今年で11年目を迎えたワークショップ。カメラを初めて触る人から、すでに映画を撮ったことがある人まで、誰でも参加できる。映像制作の核となる企画力、アイデア力、実行力を得るきっかけをつかんで映画・映像制作を行うことを目的としている。企画の発想から製作、上映までをデジタルの世界で行うことが特徴で、例えばケータイで撮影しYouTubeで上映するといった方法も試みている。映画・映像製作の現場で働きたい人にもお勧め。
X、ファクトリーでの上映、DVD化、映画祭出品など、優れた作品の製作者には実際の製作、独立をサポート。映画監督をはじめとして、映画館の支配人、インターネットや携帯電話業界のゲストを招いたトークショーも行う。
「デジタル・ムービー・ワークショップ」
2010年1月27日~6月(隔週水曜日、12回以上)隔月に1度日曜日に懇親会
会場:アップリンク4F(東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル2F)
受講料:現金60,000円/クレジット63,000円(一括・分割・リボ)
※予約・その他詳細は、アップリンクのサイトから