骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2011-02-13 16:00


映画の愛に☆直感 第11回:音を楽しむ!!音楽は自由で楽しいのだ!『SUCK』『FREAKOUT』Wレビュー

テーマは音楽!観たら間違いなく語りたくなる、密度の高い音楽映画2作を紹介。
映画の愛に☆直感 第11回:音を楽しむ!!音楽は自由で楽しいのだ!『SUCK』『FREAKOUT』Wレビュー
左:映画『SUCK』より (c) 2009 Capri Films, Inc. All Rights Reserved.、右:映画『FREAKOUT』より (c) TRICKSTER FILM

くそーワタスの唄う曲つくらなーと試行錯誤で頭がパンクしてる時に映画『SUCK』(監督ロブ・ステファニューク)を鑑賞したのです。お話は、売れなくてもがいてるカナダ出身のギターポップロックバンド「ウィナーズ」は、いつものマンネリズムなライブをしてて、そんなバンドに愛想をつかしたベースのジェニファーは、ゴシックな男と一緒に一晩消えてしますのです。次の日ジェニファーは笑えるくらいどう見ても別人!しかし演奏力もステージング?もカリスマ性があがちゃって、リーダーのギター&ボーカルのジョーイ(ロブ・ステファニューク)より人気が出るのですが、実は彼女は吸血鬼になっていたのです。売れる為に魂うって吸血鬼になるのか?悩むバンドメンバー、そして、切ない過去をもつヴァンパイア・ハンター(マルコム・マクダウェル/『時計じかけのオレンジ』)が吸血鬼退治にやってくる!吸血鬼の力をかり人気が急上昇いよいよBIGなバンドになるのか?

SUCK_B5_omote

チラシを観ればホラー映画にみえるけど、クスッと笑えるシーンもあって、やっぱこーバンドメンバーが吸血鬼になると、扱いが大変!そそもそもバンドマン自体が扱いが大変なのに……吸血するところが可愛い時もあったり凄く監督は考えてるのです。良い意味でB級映画で、ホラー映画愛と音楽愛に満ちた映画なのです。脇を固めるのがかなり生きた伝説の出演者、影ながら音楽を愛する権力のないプロデューサー役のイギー・ポップ大先生が「コンドームは使え、吸血鬼(幻想)を信じるな」と言う台詞に、ワタスも真実みてやらなーとおもうのでした。陽気すぎるDJにあのヘンリー・ロリンズが出演!えっあのマッチョが……とか、そしてバーの謎の人役にアリス・クーパー大師匠が出演し、銀幕の世界なのに演技なのに、凄まじい生き方したんだろうなーきっと。台詞に説得力があるのです。ガツン心にきますデス。

webdice_suck_main3
映画『SUCK』より (c) 2009 Capri Films, Inc. All Rights Reserved.

ウィナーズの色んなジャンル音楽(メタル風になったりもする)は書き下ろし!なんと監督が脚本出演作曲!映画監督として二作目ですが、兎に角モーレツです。なんでこういう豪華なキャスティングになったんだろう?とかはDVD発売の特典映像に入ってるようだ!めちゃ観たい!映画と音楽が好きなら必ずコーラー&ポップコーンで鑑賞すると良い作品で観たらフライングブイサインだ出せる作品なのだ!!

先ず座禅からしないとワタスはダメだ!と感じた時に観た映画『FREAKOUT』(矢口将樹監督)は、バンド・ギャーテーズのドキュメント映画なのです。ギャーテーズは知的障害者をフロントマンにする自由な即興バンド。元ロッカーで弘願寺の二代目住職角田大龍が心臓病で入院し、メンバーの高橋ヨーカイ(ex.裸のラリーズ)のドアップでギャーテーズと大龍とのロックすぎる昔話と現在を微笑みながら語る。住職しながらバンドしながら、「ひとつにきっとなれる」と大龍は大切に想い、バンドをして障害者のメンバー(清僧)と喧嘩しながらも、笑いながらも静かな微笑ましい日常を送っていたのです。ところが、十数年ぶりに一代目住職和上がNYから(キリスト教学んで)弘願寺に戻って来て、どうしようもない問題が勃発します。そもそも弘願寺は北朝鮮国籍の第二時世界対戦中に差別を日本で受けた和上が、障害者を神として崇める寺なのです。和上はギャーテーズの音楽の活動を、大龍を認めない!ぎゃーぎゃー騒いでそれが仏教なのか!とちょっと狂ってるんとちゃうか?と思うぐらい強力なアジテーションがあって、撮影部隊と監督も、そして観てる方もえっ!真面で!という衝撃的なハプニング映像が残ってるのです。

freak1205

バンドやるなら坊主止めろ!という言葉に、敢えてメンバーである健常者の棟居イズミは、フロントマンであった清僧の寺まで行って「なんでバンド活動がアカンのか?」と和上に申し出に行き、大龍とも真正面から付き合ってゆくのです。撮影時は2002年、丁度北朝鮮の拉致の問題が日本で注目されてる中、鬼才・石井輝男監督の愛弟子・矢口監督は、政治的なデリケートな問題であるからこそ3年かけて編集し完成した、密度の高い145分なのです。出演者は誰も悪くない、音楽も悪くない、神様は……。一生懸命どうしようもない事をもがき生きて、自分の正義を貫きとおす凄まじさがあるのです。ピアノは10本の指で弾かなくていいし、音楽は自由であることを再確認したのです。バンドという絆と想いは、きっと神様への想いよりも自由で楽しいはずなのです。音楽と人を丹念に捉えた力のある作品で、今更拉致の問題なーと思ってる人程、知っておいた方が、知らないよりいい事実があるので、是非銀幕で観てもらい感じてもらいたいドキュメント映画なのです。

webdice_freakout_main
映画『FREAKOUT』より (c) TRICKSTER FILM

笑いもあるし、音楽もそして、大事な本当に心にささる言葉があるのです。観賞後、語り合い出したら止まらない!アウトロー・オブ・アウトローを描いた力のあるドキュメント映画なのです。リチャード・ドーキンスのように神は妄想であるとワタスは書けないのだ。この映画公開を機にバンド・ギャーテーズは再始動!きっとライフワークなんだろうな。楽しみが広がるのである。

結論、Musicは音楽と訳した人は凄いなー音を楽しむ!!音楽は自由で楽しいのだ。

(文:松本章)

【映画『SUCK』を楽しむ為の無駄なキーワード】
映画『鬼畜大宴会』、映画『死霊のはらわたIII キャプテン・スーパーマーケット』、映画『ラビッド』、映画『血ぬられた墓標』、ロバート・ジョンソン、1993年のレディング・フェスティバルとフジロック

【映画『FREAKOUT』を楽しむ為の無駄なキーワード】
敢えて無し!!思い込みと偏見をもたずに先ず見て欲しい作品なのだ!

【過去の映画コラム】
『バサラ人間』(2009.3.25)
『buy a suit スーツを買う』『ニセ札』(2009.4.10)
『サスペリア・テルザ 最後の魔女』(209.5.1)
『インスタント沼』『サガン-悲しみよ こんにちは-』(2009.5.23)
『レスラー』『ディア・ドクター』(2009.6.13)
『童貞放浪記』『バーダー・マインホフ』(2009.7.26)
『九月に降る風』『ライアン・ラーキン』(2009.8.29)
『クヒオ大佐』『脳内ニューヨーク』(2009.11.29)
『ライブテープ』『ボーイズ・オン・ザ・ラン(2010.2.1)
『Re:Play-Girls リプレイガールズ』『ペルシャ猫を誰も知らない』(2010.8.6)




『SUCK』
渋谷シアターNにてレイトショー公開中

鳴かず飛ばずのカナダのインディーズバンド「ウィナーズ」。マンネリ化したいつものライブ後、ベース担当のジェニファーはとうとうバンドに愛想を尽かし、薄気味悪い男と一緒に消えてしまった。翌日、姿を現した彼女はまるで別人!?のように様子が変わっていた。目の色や外見だけでなく、メンバーも驚くほどの演奏力や魔力的なカリスマ性を備えて。なんとジェニファーは一晩でヴァンパイアになっていた!!
メンバーは困惑するものの、ジェニファーが放つ妖艶な魅力でバンドは人気急上昇。カナダを越えてアメリカツアーも大成功。もっともっとBIGになるためには俺たちもヴァンパイアになるしかない!とメンバーは次々とヴァンパイアに。しかし、ヴァンパイア・ハンターのヴァン・ヘルシングが彼らを追いかけていた……。

監督:ロブ・ステファニューク
出演:ジェシカ・パレ、ロブ・ステファニューク、イギー・ポップ、アリス・クーパー、マルコム・マクダウェル、ディミトリ・コーツ(BURNING BRIDES)、ヘンリー・ロリンズ、モービー、アレックス・ライフソン(RUSH)、キャリコ・クーパー 他
配給:キュリオスコープ
2009年/カナダ/91分/ビスタ

※詳細は公式HPにて

『FREAKOUT』
3月5日(土)より、新宿K's cinema渋谷アップリンクにてロードショー

静岡県富士宮市・超教派弘願寺の二代目住職、角田大龍。元ロッカーの彼は1995年、寺で共に暮らし修行する3人の清僧(せいそう=弘願寺で修行する知的障害の僧侶)らと バンド「ギャーテーズ」を結成する。高橋ヨーカイ(ex.裸のラリーズ)石塚俊明(from頭脳警察)ら多数のミュージシャンによって構成される演奏はインプロビゼーション(即興)を中心に清僧3人がフロントに立つアバンギャルドなスタイルで話題となり、その活動範囲は大きく広がっていった。
2002年、大龍の恩師であり寺の創設者である韓国人、釋弘元(和上)がNYより帰国。
苦境に喘ぐ寺の再建の過程で、次第に韓国人・和上と大龍との違和感と確執が表面化していく。
世界共通言語である『音楽』を軸として、歴史を知る人間と知らない人間、その双方が生きる現在に、 過去はどう受け止められるべきなのだろうか。

出演:ギャーテーズ[角田大龍(Syn Key)、小山大僑(Vo)、大久保弘順(Vo)、荒川大愚(Cl)、高橋ヨーカイ(Bass ex.裸のラリーズ)、棟居イズミ(G)、石塚俊明(Ds from 頭脳警察)、寺田佳之(Per)、松本ケンゴ(G from フリーキーマシーン)]、釋 弘元
監督・撮影・編集:矢口将樹
撮影:菅原養史、松本真樹
イラスト:岩井澤 健治
デザイン:吉田真之市 奥田 亜紀子
宣伝・配給:ふーてんき
製作:TRICKSTER FILM
2005年/日本/145分/カラー/アメリカンヴィスタ
※詳細は公式HPにて





松本章(まつもとあきら、音楽・ふーてんき)PROFILE

1973年生まれ、大阪芸術大学映像学科卒。本名松本章、伊勢男子、とあるバンドを脱退し現在高円寺当りに在住。ふーてんきの音楽担当。熊切和嘉監督作品、山下敦弘初期作品の映画音楽をプロデュース。熊切和嘉監督『ノン子36歳(家事手伝い)』、内藤隆嗣監督『不灯港』、山崎裕監督『トルソ』などの音楽を手掛けた。
http://www.fuutenki.com/
Twitterは@akiraise
blogは http://ameblo.jp/akira-toumei/


レビュー(0)


コメント(0)