骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2011-03-24 16:40


映画『名前のない少年、脚のない少女』の主人公が伝える、「アートとアートが持つ力」そして世界とつながること

いまも作品をflickrにアップし続けている少女トゥアネ・エジェルス インタビュー
映画『名前のない少年、脚のない少女』の主人公が伝える、「アートとアートが持つ力」そして世界とつながること
トゥアネ・エジェルスが日本へ向けたメッセージに添えられた、彼女自身による写真。

ブラジルの田舎町に住む少年少女の世界を瑞々しく描いたエズミール・フィーリョ監督の『名前のない少年、脚のない少女』の中で、自分の動画や写真をネット上に残し、恋人と心中した“脚のない少女”ジングル・ジャングルを演じたトゥアネ・エジェルス。現実の世界でも、J.Jingle Jangleという名前で作品をflickrにアップしているアーティストでもある。
この映画のテーマでもある“世界とつながること”についてはどう考えるのだろうか?
3月26日(土)からの日本公開に先立ち、彼女へのインタビューとともに、東日本大震災の被害を受けた日本に届いたメッセージも掲載する。

困難な時期にきています。日本のみなさんと同様、3月11日に起こったことによって全世界が緊迫しています。過敏になってしまうほど写真や映像、ニュースを目にしますが、すべてがうまくいくと信じ続けます。
ここ、地球の裏側で、日本のみなさんによい"気"を送っています。世界はあなた方のすぐそばにあります。国だけではなく、経済よりも人間が尊重されるような新しい生き方を、また一緒に築いていきましょう。
芸術は、痛みを和らげるのに有効です。だから、みなさんに花を贈ります。

みなさんのご多幸を祈って、

──トゥアネ・エジェルス

These are difficult times. Like the Japanese people, the whole world is tense with the fact that occurred on March 11. We have access to photos, videos and stories - enough to make us sensitive, but we continue to believe that everything will be fine.
Here, on the other side of the world, I'm sending good vibrations to the Japanese people. The world is beside you. Together we can rebuild not only the country but create a new way of life - with more human interest and less economical.
Art is a good way to relieve the pain. So I send flowers to you.

Best wishes for you all,
Tuane Eggers

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映画『名前のない少年、脚のない少女』より、ジングル・ジャングル役のトゥアネ・エジェルス

この映画には永遠になった私や友達、街のかけらが映ってる

──この映画に出演することになったのにはどんな契機があったのか、教えてください。

原作の著者でありジュリアン役のイズマエル(・カネッペレ)と、もともとちょっとした知り合いだったので、この映画に関わることになりました。彼は私がウェブに上げている写真のことを知っていて、それを監督のエズミール(・フィーリョ)に紹介してくれました。彼らが探していたのは、写真をウェブにアップして自分を表現している女の子だったのです。

Homogenia II
撮影:トゥアネ・エジェルス J. Jingle Jangle's photostreamより

──初めて映画に出演してみてどうでしたか?撮影中、監督の演出は厳しかったですか?

最初は映画にこんなにも夢中になるなんて想像もしませんでした。演技するということも素晴らしい経験でした。私自身を表現することができますから。映画の歴史を通して、自分自身を少し知ることができたと思います。エズミール監督はとても思いやりがあり、私たちと真剣に向き合ってくれ、すばらしい時間を過ごさせてもらいました。そして彼は思春期に対する美しく真のビジョンを持っていて、とてもすてきな映画をつくり上げたと思います。

Seminário dos Ratos
撮影:トゥアネ・エジェルス J. Jingle Jangle's photostreamより

──完成した映画をみた感想は?

ワオ!永遠になった私や私の友達、私の街のかけらが映ってる、そしてそれが世界中で上映されているんだと思いました。自分の撮った写真をスクリーンで見るのもとても楽しかったです。この作品は真の私たちの一部であり、真の世界の姿でもあります。

──映画に出演する前と後では、あなたにどんな変化が訪れましたか?

私をとりまく世界に対する見方が変わりました。感動もしましたし、もっとなにかできると私に思わせてくれました。映画を見る目も変わりました。思春期の虚無感に対する考えも変わりましたし。そしてアートとアートが持つ力を、もっと信じられるようになりました。写真ももっと撮って、世界中に私の世界を見せたいと思うようになりました。

(des) Apego
撮影:トゥアネ・エジェルス J. Jingle Jangle's photostreamより

──映画が公開されて、世界中の人があなたのフリッカーにアクセスしていると思います。インターネットを通じて「世界とつながる」ことについてどう思いますか?

インターネットはすごいです。世界中の年齢も背景も世代も違う人たちとつながれるわけですから。そうですね、世界中のたくさんの人たちが私のFlickrを訪れました。すばらしいことだと思います。インターネットがなかったら、どうやって写真を世界の人たちに見せることができるのか、検討もつきません。いろんな人と感覚をシェアしたり、その人たちの姿を見たりもできます。でも、少し危険なところもあると思います。自分を隠して、本当の自分を忘れることもできますからね。

──カネッペレや“名前のない少年”役のエンリケ・ラレー、そして音楽担当のネロ・ヨハンなど、共演したキャストやスタッフとは今でも交流がありますか?

はい。今でも友達です。住んでいる場所は違いますが、連絡を取り合っています。

O Andar Suicida
撮影:トゥアネ・エジェルス J. Jingle Jangle's photostreamより

──写真をとりはじめたきっかけは?

インターネットのブームが始まった頃から写真を撮り始めました。14か15歳のときです。ウェブ上で自分自身を表現したかったのです。私の世界を見せたかったし、そうすることが私には必要でした。

Coagulação
撮影:トゥアネ・エジェルス J. Jingle Jangle's photostreamより

──写真を撮るときにこころがけていることはなんですか?

自然や人、世界がとても好きなんです。きれいなイメージを通して、私のまわりの世界の変わったところを見せたいと思っています。夢とか超現実を思わせるイメージが好きです。

──最後に、今後の展望を聞かせてください。

演技はとても好きなので、もし機会があれば映画に出たいと思っています。写真やアートも続けていきますし、その他のことも楽しんでいきたいです。

(インタビュー・文:露無栄 構成:駒井憲嗣)
▼『名前のない少年、脚のない少女』予告編




トゥアネ・エジェルス プロフィール

1989年11月5日生まれ。幼少の頃より写真を撮り始め、インターネット上などで作品を発表。現在はジャーナリズムを学びながら、写真を撮り続けている。彼女の独特な世界観を持つ作品は、劇中にも使用されている。
J. Jingle Jangle's photostream

「アップリンク配給作品の監督とアーティストより日本の皆さんへのメッセージ」 http://www.uplink.co.jp/yourmessage/




映画『名前のない少年、脚のない少女』
2011年3月26日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムほか
全国順次公開

監督・脚本:エズミール・フィーリョ
プロデューサー:サラ・シルヴェイラ、マリア・イオネスク
脚本・出演:イズマエル・カネッペレ
撮影監督:マウロ・ピニェイロJr.
音楽:ネロ・ヨハン
キャスト:エンリケ・ラレー、イズマエル・カネッペレ、トゥアネ・エジェルス、サムエル・ヘジナット、アウレア・バチスタ
ブラジル・フランス/ポルトガル語・ドイツ語/2009年/101分/35mm
配給:アップリンク

公式サイト


イベント情報

公開初日、ブラジルにいる監督とのQ&Aを開催!
地球の裏側のブラジルにいるエズミール・フィーリォ監督と12時間の時差を越えて、ネット中継によるQ&Aを行います。
2011年3月26日(土)12:50の回終了後(15分程度)
会場:渋谷シアター・イメージフォーラム
タイムテーブル 12:50/15:00/17:10/19:20

トゥアネ・エジェルス(ジングル・ジャングル)写真展
2011年3月27日(日)~4月10日(日)
会場:渋谷UPLINK GALLERY(アップリンクX、アップリンク・ファクトリー併設)
東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F [地図を表示]
12:00~22:00
入場無料


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