骰子の眼

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2011-07-04 19:40


『ブンミおじさんの森』の音響を手がけた清水宏一さんに聞くバンコクのアート系映画とインディーズ音楽シーンの現状

もっとアジアの若い映画/音楽シーンに注目すべき!コントリビューター山本佳奈子さんがタイのアート・カルチャーをレポート。
『ブンミおじさんの森』の音響を手がけた清水宏一さんに聞くバンコクのアート系映画とインディーズ音楽シーンの現状
すでにタイでの生活がトータル10年以上にもなる清水宏一さん。

SOL、バンコク在住のアーティスト清水宏一さんの話から見える、バンコク・ユースカルチャーのこれから(取材日:2011年4月13日)

4月9日土曜夜、私はバンコクのSOLというスペースを訪れた。ノイズ系のライブイベントが行われており、海外からのノイズ系アーティスト2組と、タイの若手バンド・DJが出演していた。実はこのイベント「MACHINE II」は、日本人でバンコク在住の清水宏一さんがオーガナイズしている。清水さんはタイのCM音楽制作、SO::ON Dry Flower(ソーオン・ドライ・フラワー)というタイのインディーズレーベルのマネージメント、このSOLというスペースの運営をされている。香港で出会ったWhite Noise RecordsのGaryが「バンコクに行くならKoichiに連絡を取ってみて」と紹介してくれた。

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サイアムあたりを通るバス。まだまだ電車や地下鉄でカバーされていない所が多いバンコク。バスを覚えれば快適に移動できる。私が5年前に訪れたときには存在しなかった奥に見える黄色いバスは、AC付きで車内に液晶モニターが数個ぶら下がっていて、人気アーティストのミュージックビデオなどが流れている。

普段は何もなくて真っ白でフラットな空間、SOLでは、今回のイベントのように清水さんが月一回オーガナイズしているライブイベントや、Max/MSPやJitterのワークショップ、その他エキシビションなどが開催されている。イベント開催時しかオープンしていない。SCホテルの近く、プラチャーウティッ沿いにあるライブレストランの向いの空き地の小道をまっすぐ200mほど進めば、東南アジア風だけれどモダンなこじんまりした小屋の集まりが右手に現れる。一番手前の白い壁が目立つ建物が、SOLだ。

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MACHINE II当日のSOL前。白い壁の建物がSOL。20代前半頃と思われる若者達でにぎわう。

当日のリハーサルから本番の様子がまとめられた動画。ノルウェーのMoHa!の轟音ノイズ、最高でした!

イベント当日は清水さんと少ししかお話することができなかったが、後日、タイ全土がソンクラーンで休暇となる頃に時間をいただき、SOLと同じ敷地にある清水さんのオフィスにて、改めてインタビューさせていただいた。日本のアンダーグラウンド事情と比較検討すると非常に面白く、NY、東京、タイと場所を変えても音楽を続けてこられた清水さんの視点や考え方には私も感銘を受けた。日本に住むクリエイターの方々にもぜひ読んでもらいたい。

タイでアート系映画はまだビジネスにはならない

──実は清水さんはSO::ON Dry FlowerとSOLのマネジメントだけでなく映画音楽もされてるんですよね。

普段はプロダクションでタイのCM音楽や映画音楽の仕事をしてます。映画に関しては僕が担当した映画監督は3人しかいないんだけど、アピチャッポン(・ウィーラセータクン)監督、ペネック(・ラッタナルアーン)監督、あとは若手のアーティット(・アッサラット)監督と。

──どういう経緯でタイで映画音楽を作ることになったんですか?

タイに来たときに自分のデモ音源を配ってて、まずはタイのCMの仕事が来たんですよ。しばらくはフリーランスでやってたんですけど、今はプロダクションを立ち上げて、ここ(SOLの隣)のスタジオで仕事しています。このスタジオで一緒に仕事しているパートナーの恋人がペネック監督のエディターで、自然と「やってみる?」と映画音楽の話がきて。その流れでアピチャッポン監督なども紹介してもらって。最近ではアディッヤ(Aditya Assarat)監督の『ハイソ』という作品に参加しています。まだタイでは上映してませんが、東京国際映画祭やベルリンで上映されました。今年はタイでも上映されるみたいです。あとアピチャッポン監督の『ブンミおじさんの森』にも参加しています。だいたい素材を何時間分か作って、それをエディターやサウンドデザイナーに渡して編集してもらうという。なので最終的なミックスとかには立ち会ってませんけど。

──ちなみにタイの映画館をちらちら見たんですが、アート系映画って上映してないんですね。

極端にわかれています。タイで人気がある映画と言えば、下世話なラブコメディだったり、アクションだったり。アピチャッポン監督とかアート系の人は、また別の世界で、いわゆる一般のタイ人が見る映画ではない。さすがに『ブンミおじさんの森』は普通の映画館でも上映されましたが、すごく短い期間でした。でも最近は映画を勉強する若い子が増えてきたので、以前に比べればアート系映画を見に来る人は増えていますが、まだビジネスにはならないでしょうね。

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ショッピングセンターにもよく映画館が入っている。リッチな内装。上映作品はハリウッドやタイホラーが多い。
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こちらは比較的マイナーな映画を上映する映画館。RCAにあるHOUSE。『ノルウェイの森』が上映されていた。右はタイのホラー映画。

ハイプは過ぎ、本当にこういう音楽を好きな人が来てくれる時期

──この敷地内には清水さんのCM音楽制作などをするスタジオやSOLなどがあるということですが、これらの施設を建ててどれぐらいですか?

オープンして3年ですね。SOLも3年です。

──SOLはアートスペースとしてバンコクで認知されつつありますか?

イベントとかワークショップをやっている場所っていうので認知されてきていますかね。小さいシーンの中にいる人たちの間ではそこそこ知られるようにはなったかな。

──前回のイベントのとき思ったんですが、みんながお互い顔見知りのようで、こういう音楽やアートが好きな子たちが集まる場所になっているんだなと感じました。客層はだいたい何歳ぐらいですか?

最近はみんな若いですよね。前回の「MACHINE II」のような音楽のショウケースのイベント始めたのが2003年、8年間ぐらいやっています。最近世代が入れ替わって、俺はお客さんのことぜんぜん知らない。一応顔見知りですけど、実際一緒に遊んだりする人たちではないですね。前回のはだいたい20代前半だね、大学生だったり。

──2003年当時は別の場所でイベントされてたんですか?

元々はチャイナタウンにあるアバウトカフェっていうギャラリーで始めたんだけど、そこはもう権利者がいなくなって使えなくなって。ホームグラウンド的な感じで2年ぐらいやってました。タダで場所貸してくれてて、機材だけ持っていって。

──2003年からだと8年も経ってるんですね。でも日本だったら当時の大学生が8年後でも同じジャンルのライブに行くってあり得ますよね。

こっちは結構ないね。仕事を始めちゃうとぱたっと来なくなる。

──日本だと仕事始めても、むしろみんなライブに行きたいがために有給休暇取れる仕事にしたりとかしますよね。

やっぱり日本とはぜんぜん違いますね。そういうライブにかけるお客さんの意気込みとかが。自分の人生を捧げちゃうぐらいのヘビーな感じはない。若い時にみんなと遊べる場所、というスタンスで来てくれる。やっぱり仕事始めると急に見なくなるね。仕事を始めても、いわゆるクラブとかDJパーティーとかは行くとは思うんだけど、こういう実験的なイベントからは遠ざかってますね。実際こういう音楽が好きで来ているのか、興味本位で来ているのか、微妙だからね。本当にこういう音楽が好きで来てくれる人もいるけど、そういう人は本当にごくわずか。友達のバンドが出てるからみんなで行こうとか、そういうノリのほうが強いかな。できるだけローカルの子をブッキングしないと、お客さん来ないからね。

──日本じゃローカルのバンドをブッキングしても人集まらなかったりしますからね(笑)。

日本はいろんなことが起こってるから、拡散されちゃうんだよね。でもバンコクも俺たちが始めた当時に比べればだいぶ人を集めるのが難しくなってきた。当時はfacebookもなかったし、新聞とかにちょこっと載せるだけで300人とか400人とか集まったけど、今は100人集めるのも結構大変だからね。あと、バンコクの子たちが変わったジャンルに興味を示さなくなってきたのかも。そういうハイプみたいな時期が過ぎちゃった。始めた当時は「よくわかんないけど行ってみよう」みたいなノリでいろんな人が来てくれたけど、今はもううちらがやってることもみんなわかってるし、「どうせ行ってもうるさい音楽ガンガン流してるだけでしょ」みたいな(笑)。だから昔みたいなノリではないですね。最近は本当にこういう音楽を好きな人が来てくれる感じかな。

──まだバンコクはこれからこういった音楽が広まっていくのかと思っていました。

ただこの前のイベントを見て、若い子たちがこういう音楽にちょっと戻ってきている印象を受けた。うちらが始めた2003年頃の雰囲気がちょっと感じられたので、新しい動きが起こるんじゃないかな、と。こないだ出てくれたバンドのメンバーもみんな若い。20歳とか。plotのメンバーが一番年上で23歳とか。

──え!一番年上で23歳!若い。

そう。そういう若い子たちがまた出てきてるんで。タイもしばらくバンド系の音楽がつまらなかったんですよ。マンネリ化してて。だからこないだのイベントで、新しい子たちが頑張ってるな、と思った。

──タイの若いバンドを見て、ヨーロッパのノイズやディスコパンクあたりを良く聴いてるんだろうなと思いました。タイは、若者の間でメタルも流行ってるって聞きますけどどうですか?

メタルは根強いよ、タイでは。メタルのイベントが一番多いんじゃないかな。ただ、お客さんの層がちょっと違うみたい。

──前回のイベントはノイズでしたが、轟音のノイズが鳴るなか、会場の外に出ずに耳を押さえながらも頑張って会場内にいるお客さんがいました。だから「これはメタルで鍛えられてるのかな?」とか思ったんですが(笑)。

ここに来るお客さんは逆にメタル系はあんまり聴かないかな。メタルの客層って若くて、あまりお金持ってない子達が多い。その反面ここに来るお客さんはどちらかというと比較的裕福な層の子たちなんですよ。

──なるほど。確かにそういう雰囲気は感じましたね。

以前メタルのバンドを一緒にブッキングしたことがあったんだけど「お客さんミックスするのは難しいかもよ」ってタイ人に言われたね。メタル系のお客さんと、こっち系のお客さんをミックスするのは大変かも、って。お互いがお互いを敬遠しちゃうというか。メタル系の子はダイブとかモッシュとか激しいし、こっちに来てる子はそういうの好きじゃないかもしれない。その時もメタルのバンドの子たち、演奏してるときはちょっと遠慮がちでしたね(笑)。ちょっとおとなしかったというか。

──確かに街を歩いていても感じますが、バンコクは経済格差がすごい。そうなるとやっぱり文化やカルチャーにも棲み分けが現れてきますよね。

そうだね。結構はっきりしているかもしれない。あとは普通のポップス聴いてる子たちもまた別の層だし。

結局続けないと何も生まれないし成長しない。

──レーベルは一人で運営されてるんですか?

そうですね、基本的には全部1人だけどイベントとかリリースのときは手伝ってくれるスタッフがいます。

──レーベルのバンドのタイでの認知度はどれぐらいですか?

最近はDesktop Errorっていうバンドが頑張ってて広まってるね。彼らも若いんだけど、うちらが得意としてるギターがうるさいような音楽を取り入れつつも、タイのポップスを聴いてる子にも受け入れられるような何かを持ってる。高校生もファンになってくれたりとか。今まで出してきたアーティストとかバンドにそういうのはなかったんで。


Desktop Error in 森。これを見れば、あなたもきっとタイに行きたくなる。

──コンサートとかはどれぐらいの規模のところで?

まちまちだよ。大きいときもあるし。ただそれでメインはれるほどのバンドではないです。フェスとかでたまにトリになったりすることはあるけど。でも急に去年から人気出てきた感じです。こないだのMACHINE IIに出ていたplotもプッシュすれば結構人気出るんじゃないかなと思ってる。


PLOT ミュージックビデオ

──日本に輸出する、ということは構想されてますか?

日本というか海外はまだ何にもやってなくて、ディストリビューションもしてない。手が回ってないっていうのもあるし。海外に行ったのは、Garyが香港に呼んでくれたDesktop Errorのライブだけで。Garyとマカオのオーガナイザーが呼んでくれて。メンバーも飛行機乗るのが初めてで、彼らは楽しんでたね。

──Desktop Errorのメンバーは何歳ぐらいなんですか?

彼らはもう24歳とか25歳とかになってきてる。

──それでも若い!

インディーズ系っていうのは裕福な子たちが多いんだけど、彼らは庶民出身だね。

──やっぱり余裕がないと音楽なんてできない?

インディーズってあんまりお金にならない音楽だから、ある程度余裕があって他の国で何が流行ってるとか音楽の知識がないとできないと思う。でもDesktop Errorは結構庶民派。お金ない。それも支持される理由なのかな。そこらへんにいる兄ちゃんって感じだからね。ボーカルの子はイサーン(タイ東北地方)出身で、最近は実家に帰っちゃってて、練習やコンサートのときだけこっちに来る。ギターの子はここでCM音楽の仕事でギター弾いてもらったり。最近はコンサートでもお金もらえることが増えてみんな結構喜んでる。

──今レーベルは10アーティストぐらいでしたっけ?

出してきたのはそれぐらいだけど、今活動できてるのは3つぐらいしかいない。Desktop Errorとplot、あとはtalklessっていうデュオ。海外に留学しちゃう子も多くて。今NYに何人か、ドイツに一人、日本にも一人留学中。だいたいアルバム1枚出すと海外行っちゃうんだよね。

──音楽をするために海外に留学してるんですか?

音楽というわけじゃないね。映画関係の勉強とか写真とか。本当のミュージシャンっていう感じじゃなくて、アートスクール系の子たちが多い。実はDesktop Errorに人気が出た理由に関係していると思うんだけど、彼らはお金がないから海外に行けない。だからもうバンドで音楽やっていくしかない。だから団結力も強くて。そういうバンドって、今までうちのレーベルにいなかった。すぐ誰かがどこか海外へ行っちゃう。いつもバンドの子たちには言ってるんだけど、結局続けないと何も生まれないし成長しない。その点でDesktop Errorは逆に恵まれた環境にいるんじゃないかと思う。かといって切羽詰まって仕事しないといけない状況でもないし、音楽を続けていられてる。俺としても応援したいと。みんなそれぞれ事情はあるけどね。

──それにしてもこうやっていろいろアジアの都市まわってるだけで日本との違いや共通項に気づいて面白いです。例えば、香港ってライブハウス1軒しかない、っていう事実とか。

バンコクは純粋なライブハウスはゼロだからね。

──えっ!ないんですか?

良く聞かれるんだけどね、なんでバンコクでライブハウスやらないの?って。バンコクには、オリジナルの曲が聴けて若い子たちが出演すようないわゆるライブハウスっていうのはゼロ。需要はあると思うんだけど、今までそういうライブハウスやってちゃんと成功した人はいない。バーとかパブでは、いまだにバンドはカヴァーをやってる。やっぱり店の人に強要されるみたいだし、お客さんもそのほうが盛り上がるし、お客さんは音楽聴きにいってる人じゃないから、知ってる曲で口ずさめるとかのほうがいい。

──カラオケ感覚ですね。

そうそう。でも音楽を聴きたいっていう人もいると思うんだけどね。ただそれで商売が成り立つかどうかというのは今までに例がないからわからない。ライブハウス、やりたいんだけどね。これ(SOL)よりちょっと大きいぐらいで。お金もかかるしすぐにはできないけど、将来的にはいつかオープンしたい。機材とか揃ってる場所があれば、若い子も気軽にイベントができるようになって、コストセーブできるし。そういう要素が一番シーンを盛り上げるんじゃないかなと思ってる。今はどこも機材持ち込みとかになるから若い子がちょっとやりにくい。

──SOLも機材持ち込んでもらってやってるんですか。

自分たちのもあるけど、前回のショウケースみたいに外国からアーティスト呼ぶときとかはスペック高い機材を要求されるからレンタルしてる。小さいイベントのときは自分たちの機材でやってるけど。PAやってたのもPA会社の下っ端の子で。

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清水さん(右側)MONOバンコクライブのリハーサルにて。

ライブを見せられれば、アジアが繋がるかもしれない

──では清水さんの直近の活動は?

MONOのライブが5月8日(注:終了しました)、あとはこの前みたいなショウケースをSOLで月一でやってる。MAX/MSPとJitterのワークショップは年に2回ぐらいで、週1のクラスを計10回ぐらいでやってる。だいたい10人ぐらいが受講してて、大学生と社会人と半々ぐらい。ワークショップは僕のなかでも楽しい活動です。

──タイではまだデジタルアートが盛んでない印象ですけど、清水さんの活動でデジタルアート広まっていきそうですね。

うん。結構みんなProcessingっていうのがあるっていうこととかJitterとか知ってはいるんだけど、始めるきっかけがあまりなくて。ワークショップでは深いことを教えているわけではないけど、きっかけにはなっていると思う。JitterのワークショップはNYで勉強してきたタイ人の先生がやってて、ちゃんと授業やってる。MAX/MSPは僕がおしゃべりしながら適当に教えてるけどね(笑)。


Bangkok Art and Culture Centreのエキシビションでたまたま出会った若いアーティストPor君のインスタレーション。Por君も、清水さんのMAX/MSPのワークショップの生徒だった。このインスタレーションでもMax/MSPを使用しているとのこと。

──それにしても、上海・香港・バンコクと旅してきて、日本のプロモーターももっとアジアの音楽に注目するべきじゃないかなと思ったんです。香港で北京のバンドを見てすごくかっこよかった。こういうバンドが北京にいるんだ、と全然知らなかったからびっくりして。日本以外のアジアのレベルもすごいなと。

日本って野外フェスが多いじゃないですか。そういうフェスで小さいステージでもいいからアジアのバンドも呼んでくれれば面白いのになとは思いますね。小さくてもいいから自主でやってるフェスの人たちでも何か始めてくれると面白いことできるんじゃないかなと。CDだと流通とかになってちょっと大変だけど。ライブを見せるっていうのは面白いと思う。そうなればアジアが繋がるかもしれないね。

──日本のアーティストたちも、よく日本以外のアジアでインスタレーションやコンサートをしています。今のアジアのアートが面白いっていうことはアーティスト自身は良く知ってるんですよね。

あと年配の実験音楽やってる方たち、吉田達也さんや内橋和久さんとかは良くタイに来てくれる。ヨーロッパツアーの帰りにバンコクに寄ってくれて、ギャラに関係なく「ライブやれるところない?」って向こうから言ってきてくれる。ああゆう方たちは当然アジアも視野に入れてる。大友良英さんもそうだし。実は日本以外のアジアはもう繋がってる。うちらも香港・マレーシアのアーティストとか気軽にタイに呼べるし。今、日本だけが別世界になってる。でもそのあたりの前衛的な音楽やアートはやっぱり日本が一番強いから、日本が繋がってくれれば面白くなる。ただ日本独特のカチカチした感じだと、アジアはちょっと引いちゃうんで(笑)。ゆるい感じでそうなっていけばいいですね。

──ありがとうございます。数少ないのバンコクでのクリエイティブな楽しい時間でした(笑)。

(笑)。他にもいろいろあるんだけど、新聞とかではなかなか見つからないからね。今はみんなfacebook。日本はまだ浸透してない?

──それもまた日本が別世界です。facebookはまだ浸透していないです。日本は圧倒的にtwitterが人気ですね。ただtwitterは情報が流れていってしまうので、後から情報を探そうと思ってもなかなか見つけられない。

うちらはもう宣伝は80%facebook使ってるね。広まるのが速いし、タダだし。日本も来るでしょう?

──徐々には浸透し始めてると思いますけどね。

ただmixiみたいに匿名性じゃないのがfacebookだから、いかにそれが日本に受け入れられるかってところだね。

──日本の若い子も少しずつ匿名性じゃなくてもOKという傾向になってきているとは思いますけどね。

そのほうが健全でしょう。名前も顔も出して言いたいこと言い合って、っていう。


最後にDesktop ErrorのMVを。バンコクでのMONOのライブに彼らも出演。その時のプロモーション用ビデオ。清水さんがSOLで一発録りで録音。
(取材・文・写真:山本佳奈子)

私が今回の旅で訪れた場所をすべて網羅した地図をGoogleマイプレイスにアップしました。▼Discovering Art and Culture in Asia 2011


より大きな地図で Discovering Art and Culture in Asia 2011 を表示



■山本佳奈子 プロフィール

http://www.yamamotokanako.net/
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webDICE キューバ紀行(2010.5.11~2010.8.16)

1983年兵庫生まれ、尼崎育ちの尼崎市在住。高校3年のときにひとりでジャマイカ・キングストンを訪れて以来、旅に魅力を感じるようになる。その後DJ活動、ライブハウス勤務などを経て、2010年、念願だったキューバ旅行を実現させる。
世界のすべての人々の最低水準の暮らしが保証されること、世界の富を独占する悪徳企業が民主の力によって潰されることを切に願っており、自ら一つのメディアとなって情報発信することにも挑戦している。


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