骰子の眼

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2011-09-20 21:07


「僕自身のもっと色々な事が知りたいという欲求の高さが原動力」TRASH-UP!!屑山屑男編集長セルフ・インタビュー

TRASH-UP!!誌面が立体化したイベントTRASH-UPLINK!!、渋谷アップリンク・ファクトリーで次回9/25(日)開催。
「僕自身のもっと色々な事が知りたいという欲求の高さが原動力」TRASH-UP!!屑山屑男編集長セルフ・インタビュー
7月31日に渋谷アップリンク・ファクトリーで開催されたTRASH-UPLINK!!第3回目より

日本唯一の“トラッシュ・カルチャー紹介誌”として刊行を続けている雑誌TRASH-UP!!渋谷アップリンク・ファクトリーにて隔月で行なっているシリーズイベントTRASH-UPLINK!!の第4回が9月24日(日)に開催される。音楽ライターチームによる「新しい音楽を聴く会」、餓鬼だらくによる「おもしろ映像コーナー」、ゲストとのトークショーなど、まるで昼下がりのAMラジオを聴いているようなゆるいムードのなか、ディープな情報が発信されている。このイベントそしてTRASH-UP!!について、まずトラッシュ・カルチャーとはどのような行為を指すのか?というところから、今後のイベントと雑誌の方向性についてまで、ライター屑山屑男がTRASH-UP!!屑山編集長に話を聞く、というスタイルで取材を試みた。

編集者も理解できないけど、読者と一緒に知りたいと思う事が力になってる

──TRASH-UPLINK!!は、屑山さんを中心に入れ替わり立ち替わり各ジャンルの方が登場して語ったり作品を公開したりしますが、こういったイベントのスタイルはどのようなところから思いついたのですか。

中学、高校とラジオ中心の生活をおくっていたので、いつかこのスタイルでイベントをやりたいと考えていました。誌面で紹介しているもの、例えば音源なら実際に聞いてみることができるし、登壇者の話から伝わる空気感、物の匂いなどで、総合的にわかりやすく伝えられるのではないかと思っています。あと、見た事がないのですが、昔のテレビ番組『ぎんざNOW!』 が僕の想像では、こんな感じではないかと想像して、楽しんでいる所もあります。想像上の『ぎんざNOW!』に影響受けまくっていますね。

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TRASH-UP!!の屑山屑男編集長

──アップリンクでスタートしたTRASH-UPLINK!!ですが、先日は大阪での出張イベントも行われました(9月3日に開催された『TRASH-UPLINK!! in スタンダードブックストア心斎橋店』)。このイベントのスタイルに可能性を感じていますか?

はい。この構成なら、世界中どこでもやれると思います。理想は、今のTRASH-UPLINK!!のメンバーを全員連れて行って、その土地の面白い人をゲストに呼ぶというのが最高だと思うのですが、それはもう少しお金を貯めないとなかなか難しいかな。でも、これからも色々な所でやって行きたいと思っています。

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『TRASH-UPLINK!! in スタンダードブックストア心斎橋店』より

──これまで3回開催したTRASH-UPLINK!!のなかで紹介されたアーティストのなかでも、バンドHANGGAIはフジロックの出演を果たすなど、話題を呼んでいます。これからの世界のトラッシュ・カルチャーがどうなっていくのか、またそれをTRASH-UP!!はどのようにメディアとして発信していこうと感じていますか?

まず、トラッシュ・カルチャーとは、自分にあったカルチャー(作品?)を選ぶという行為だと思います。歴史的な評価も尊重しながら、その上で好き勝手に選ぶ。なので、トラッシュ・カルチャーとは、誰にも決められないし、逆に決めることもできると言えることなのかなと思います。だからTRASH-UP!!は、ジャンルを問わず大量の情報を提示する事で、読んだ人自身の選択肢を広げるきっかけになれば、それ以上の喜びはありません。

──ここ数年で一般の人々のサブカルチャーへの興味はどんどん変わってきていると思いますが、TRASH-UP!!を続けるなかで、ウェブと紙とイベントの関係性や、カルチャーにどう接し、どう提示していくかという部分での意識の変化は?

ウェブに関しては、興味ないです。紙とは、もう完全に別物と思います。紙は物質として何年も、時には何十年も残るから、興味があります。そして、イベントと紙の関係性は、イベントを開くことで、少し古くなった紙の情報も、生き返らす事が出来ると思います。
カルチャーの提示の仕方については、まだまだ試行錯誤中です。

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歴代のTRASH-UP!!表紙

──屑山さんがTRASH-UP!!を続けていく原動力はどこにあるのでしょう?

TRASH-UP!!の原動力は、僕自身のもっと色々な事が知りたいという欲求の高さだと思います。
それは現在の僕だけではなく、過去の自分や未来の自分が知りたいであろう知識も含まれます。
いままでは編集者が選んだ情報を掲載するのが雑誌だったと思います。しかし、TRASH-UP!!は編集者も理解できないけど、読者と一緒に知りたいと思う事が、力になってるのかもしれません。

──9/25(日)開催の第4回TRASH-UPLINK!!の見どころは?

今回はブラジル音楽の最新情報を毎号紹介して頂いている、Willie Whopperさんをゲストにお招きして、今ブラジルのストリートでリアルに聞かれている音楽を紹介して頂きます。
人気のレギュラーコーナーも回を重ねるごとに、面白くなってきております。音楽ライター・チームによる“新しい音楽を聞く会”は、インディな音源を持ち寄ってみんなで聞きあうという、部室感まるだしのコーナー。そして、大阪編では台風の影響で参加出来なかった、“嵐を呼ぶ映画ライター”餓鬼だらくの「トラッシュ映像コーナー」は、全く予測がつかないトラッシュな映像を満喫できます。

──これからTRASH-UPLINK!!でやりたい企画、呼びたいアーティストなどがあれば教えてください。

「朗読をしない詩人たちの集い」はやってみたいです。詩人がただ雑談しているだけの。あと、「音楽の聞かず嫌い」「映画の見ず嫌い」を克服するコーナーもいいかなと思っています。誰も知ってる、あの名作! だけど、実は聞いた事、見た事がないんですって作品をみんな体験すると、面白いかなと。それと、東京以外の地域に住む面白い人を呼びたいです。

──屑山さんは大阪出身ですが、東京で活動していて良かったと思うことはありますか?

蕎麦が美味しく食べられるようになりました。大阪にいる時は、2回くらいしか食べた記憶がないです。東京の蕎麦屋は深夜まで営業している店が多くて、好きです。

──国内外問わずいま注目している地域はありますか?その理由は?

札幌と長崎。一度、取材に行ってみたいです。根拠はないですが、面白そうです。あとは、アルゼンチンには昔から興味があります。

──TRASH-UP!!は、自分の中でどんな存在ですか?

僕と僕の知らない世界を引き合わせてくれる、相席のテーブルみたいなものです。

(インタビュー:屑山屑男、構成:駒井憲嗣)



屑山屑男 プロフィール

TRASH-UP!!編集長。1973年生。大阪出身。DVDレーベルTRASH MOUNTAIN VIDEOにおいて『痴漢ドワーフ』、『影なき淫獣』、『ドリラー・キラー』など100タイトル以上のカルト映画をDVDでリリース。08年より雑誌「TRASH-UP!!」を創刊し、以来現在まで9号まで発行。他に、劇場公開作のチラシ・パンフレットの編集にも関わる。好きな食べ物は、おはぎ。好きな漫画は、『悪魔くん』。
TRASH-UP!!公式サイト




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TRASH-UPLINK!!
2011年9月25日(日)渋谷アップリンク・ファクトリー

出演:屑山屑男(TRASH-UP!!編集長)、餓鬼だらく(from 富山)、ミヤナガサトル(owllights)、渡辺裕也(音楽ライター)、瀬尾麻梨奈、Willie Whoppar、西澤裕郎(Story Writer)他
開場18:00/開演18:30
料金:¥1,800(1ドリンク付/予約できます)※UPLINK会員は¥1,600(1ドリンク付)
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