骰子の眼

cinema

岡山県 その他

2011-10-19 13:25


逆境にめげず世界中で制作し続ける仲間たちと共に、つくり手とオーディエンスが直接つながれるスペースを創る─第2回宇野港芸術映画座

夏のアート映画上映シリーズ6日間、Q&Aセッションやスカイプトークなど手作り映画祭のハイライトを共同主宰を務めるコントリビューター・タハラレイコがレポート
逆境にめげず世界中で制作し続ける仲間たちと共に、つくり手とオーディエンスが直接つながれるスペースを創る─第2回宇野港芸術映画座
宇野港芸術映画座2011

第2回宇野港芸術映画座の閉幕からはや1ヶ月半が経った。岡山県玉野市宇野港で昨年から始まった夏のアート映画上映シリーズ、国際イベントなので英語の名前もある。Uno Port Art Films (UPAF) 、ウパフと読む。映画制作/人生の相棒の上杉幸三マックスと二人で始めたこのイベントは、娘(今13歳)も巻き込んでの小さな家族イベントだが、今年は素晴らしいボランティアの仲間が地元や岡山・倉敷など県内各地や東京などから外国人も含めて12-3人入り込んでくれたおかげで、ワイワイ楽しい6日間になった。

guest 0
野外上映の風景

UPAFとは

20年近く住んだニューヨークを離れ故郷の宇野港で外国人アート観光客のためのゲストハウスを経営しながら私たちの新作に取り組んでいるマックスと、娘とニューヨークに残り大学でドキュメンタリーや日本映画のクラスを教えながら暮らしている私の二人が、離れた距離と空間を結びつけながら他の色んな人とつながるために昨年始めた実験的試みがUPAF。詳しい経緯は一年前の記事をご参照願いたい。私たちの基本姿勢はあくまで制作者として、できる範囲で続けて行くこと。逆境にめげずに世界中で制作し続ける仲間たちの力強い作品を毎年集め、つくり手とオーディエンスが直接つながれる、空間も言語も超えたスペースを創りたい、という気持ちでやっている。自分たちの作品ももちろん上映する。

根底に流れる大きなテーマは「生きる・創る・映画(Life, Art, Films)」。それを今年支えたのは、作り手の人生を映しながら観る者の心を揺さぶる濃厚な37作品(残念ながら今年は自分たちの作品はなし)。アニメ、フィクション、ドキュメンタリー、実験映画、ジャンルは関係ない。チリ、中国、アメリカ、ケニア、日本、イギリス、などなど13カ国から集められた作品それぞれが、その土地の歴史や文化を内含しつつ作り手の(ドキュメンタリーの場合被写体のも)人生を映しているから、UPAFを真に楽しむ条件は、映画が好きで、他の人々の人生・歴史・文化に興味があること、人と映画のつながりに興味があること、自分自身という点と世界中の時間軸と空間軸とその間に散らばる確かに存在している無数の点を少しずつ結んでいきたいという気持ち。お客さんも昨年より大分増えた。地元のみなさん、東京や大阪や姫路や神戸、倉敷などから集まってくれたお客さん、それに瀬戸内アートを見に直島(宇野港からフェリーで20分)を訪れる海外からの観光客も混じって、室内・屋外上映14プログラム、上映後は会場ゲストやスカイプで世界中からの制作者とのトークもあり、ユニークな空間となった。

staff 2011
室内上映受付エリアで記念撮影ーUPAF2011スタッフ(ここに映っていない人達もいます)&ゲスト

宇野トレーラーシアターの意味

宇野港は瀬戸大橋ができるまでは旧国鉄が本州から四国へ連絡線で乗り入れていた四国への玄関口であり、70年代には外国定期船が多く停泊した国際港として、また三井造船の街として栄えていた。マックスが育った頃は港へ続く大通りは物を運ぶトレーラーでいっぱい。商店街は活気にあふれ、子供だらけだった。それが80年代以降は不況と過疎の街となった。それが今、瀬戸内現代アートで再び人々が帰ってきた。しかし、直島が香川県にあるためなのか、瀬戸内アートの中心である直島から一番近い宇野港は現在のところJRからフェリーに乗り換える通過地点になってしまっている。でも、地元育ちのマックスはもともと人とモノの流れの通過点であった、よくも悪くもない宇野の特徴をそのままUPAFの特徴にしようと、トレイラー・シアターの構想を考えついた。ひと時止まって、瀬戸内アートを楽しみつつも、宇野の街と映画を楽しんでもらえるようなイベントになればと思っている。

その彼の思いを反映して、今年は上映の前の待ち時間に、昔の宇野港界隈の商店街の移り変わりや大正時代からの宇野駅の変遷を映す写真を綴ったスライドショーを流した。しかも野外会場の宇野港第2埠頭は、かつては連絡船発着所であった宇野駅構内で、“モノ”を運ぶ貨物列車が行き来していたまさにその場所だ。BGMには直島に行くために昨年宇野を訪れたオーストラリア人DJがプレゼントしてくれた、黒人音楽にことのほか敬意を払ったリベラルな選曲のDJ番組が「今」の音を伝える。それに混じって、廃止された玉野踊りの歌もかかり、地元の人の耳はピクリと動く。スライドショーを見て懐かしがって、興奮気味に自慢げに説明していた近所のおじいさんもいた。今年はお盆休みで帰省する人達のことも考えて、お盆を含めた2週末に開催したが、その間の週中には、すてきな映画たちを映してくれたそのトレーラーくんは、ガッツリ物運びの仕事(東北の震災復旧のための!)をしており、2週末目を控えた金曜日にまた埠頭の空き地に帰って来てくれた。 映画はmovie、動く映像。モノを運び、心を動かす映像を見せてくれるトレーラーくんが、実は私たちのヒーローなのである。

DCFC0068.100percent
変身前のトレーラーシアター

今年のUPAFはとにかく楽しかった!

今年は震災でゲストハウスが大打撃を受け、開催が危ぶまれたが、瀬戸内アートを支えて来たベネッセ・コーポレーションが運営する福武学術振興財団と福武教育文化振興財団からの助成と、 IndieGoGo(ネットで資金を集めるクラウドファンディング)で支援してくださった沢山の方々の暖かい気持ちで無事開催できた。翻訳は今年は数人のボランティアが手伝ってくれたし、またまた娘が翻訳と字幕付けで活躍してくれた。しかし、宣伝・字幕付け・上映素材準備は資金がないので自分たち、特に上映技術に関しては、撮影/デリバリーのフォーマットが年々進化し、しかも世界中から違うフォーマット、様式のビデオが集まるため、試行錯誤を繰り返しながら実践で学ぶしかない。アメリカ出発前にグラントでラップトップを一台購入し、最新のFinal Cut Pro X(ビデオ編集ソフト)を入手したが、それと他の2台のパソコンに入っている古い Final Cut Proとの互換性が全くなくて四苦八苦、Xは超パワフルで早いが、縦書き字幕が入れられなかったり、入れたはずの字幕が文字化けしていたり、直前まで色々大変だった。上映技術に関しては今回はニューヨークのルーフトップ・フィルムズ(NYで大変人気の夏の上映シリーズ)のダン・ヌクソルさんからご多忙の中アドバイスをいただいた。感謝したい。

UPAF 2011 projection booth
日通から借りたコンテナが野外映写室に

いいのかなあと思いながら生まれて初めて栄養ドリンクを一日3本飲んだ日々、人間寝ずに結構機能できるもんだと感心した日々、疲れたけど、今年のUPAFはめっちゃ楽しかった。来てくれた人達も、映画を創って見せた人達も、それをオーガナイズした人達も、皆とても楽しんでいて、ずっと笑顔で過ごせた。新しいことを沢山吸収して色んな人とつながれた。大型トレーラーを2週末快く無料で提供してくださった商船三井フェリーさん、大して儲からないとわかっていながら毎夜応援に駆けつけ出店してくださった焼き鳥屋やたこ焼き屋の皆さんにも心から感謝だ。

確実に、何かが昨年とは違っていた。小さな自分たちよりもっと大きなエンジンは回っていて何かの力に押されながらゆっくり大きく走り始めている、という感覚。きっと来年も、何かがまた変わって、そうやってUPAFはいろんな人を巻き込みながら、ゆっくり成長して行くんだろう、そうなったらいいな、と思う。 少ないけど、チケット収益の20%は東北義援金にも回せた。長編を提供してくれた制作者には謝礼を出すこともできたし、スタッフと制作者全員にTシャツの贈り物もできた。皆さん、ありがとう。

<ボランティア・スタッフの総評>
・UPAF 2011で過ごした数日間は私にとってとても刺激的でした。心に残るような作品とも出逢えて、初めて会う人と作品に対する意見を交換したり、感想を言い合ったり、本当に充実した時間でした。?作品と観客、観客とクリエーター、そして観客と観客が、海や世代を越えてこんな風に繋がることが出来る機会はなかなか無いですよね。?映画の可能性をもっと広げられる貴重なイベントだと思います!?宇野港の夜風も気持ちよかったです!また次回も楽しみにしています!──津崎みぎは 大学院生、 芸術作品修復専攻 岡山県笠原市在住

・UPAFとても楽しめました。?特に自分としてはドキュメンタリーを通じて世界の色々な国の事情が垣間見れたのがよかったです。(アメリカ、中国、チリ、ドバイ等)?あと、夏の夜に海の近くの野外で映画を見るのは気持ち良い。劇場で公開されていない作品にも良い作品が色々とあるんだということが分かった。来年もきっと行きます。──西坂毅 ソフト開発技術者 東京在住 40代

・この映画祭は、私の人生で最も充実した経験の一つになりました(大げさでなく)。字幕翻訳や素敵な夜の野外シアター設営のお手伝いから沢山のことを学びましたが、それ以上にエキサイティングだったのは、スカイプを使ってのフィルムメーカーとの交流トーク!他の人達の意見や質問を聞いて、同じ映画でも違う見方があることもわかり視野が広がったような気がします。(筆者和訳)──Haruna Higuchi 倉敷市 英語教師 20代

・映画はもちろん、ユニークな宇野港の姿をいっぱい見たことが印象的でした。あんな田舎(ごめんなさい・・)にリュックを背負った多数の外国人。野外上映時はシート上に寝転がったり、座りながら観ている家族、生吹き替え上映、出店の手羽先(めちゃウマっ!)。町の盆踊り大会?と重なって上映中に生バンドの演奏が聞こえたり…それは、すごいファンキーな光景でした(笑)。そして準備、片付け、通訳などに奔走する手作り主催者家族(来年のUPAFグッズも楽しみです!)。映画にまつわる素敵なこと、大変なことなど色んなことが味わえる映画祭だと思う。なにより、ボランティアスタッフ、監督など、たくさんの人と交流できたことが嬉しかったです。──山口達也 俳優 東京在住 30代

UPAF2011の映画たち

そういうわけで、今年のレポートは、ボランティアの皆やお客さんからいただいた感想を混ぜ込みながら、 UPAFの基軸である上映作品を紹介したいと思う。今年のサブテーマは「核とわたしたち」「映画の力」「世界の若者の声」。37作品中6割強が日本初公開、8割が日本語/英語字幕を新たに自分たちで制作しての上映。ここでしか見られないレアものぞろいだ。

『光と陰のはざまで』(2009)

Entre a Luz e a Sombra fic large
『光と陰のはざまで』監督:ルシアナ・ブルマキ(写真提供:制作者)

ブラジルの女性監督ルシアナ・ブルマキの長編力作ドキュメンタリー。主人公は当時ラテンアメリカ最大の刑務所だったカランディル刑務所の塀の中に暮らすブラジル黒人ラップ・デュオ509-E(彼らのセル番号)のメンバーであるデクスターとアフロX、服役囚たちのアートを通しての社会復帰を信じ彼らを支え続けた元女優の白人女性ソフィア、そして彼らにアート活動のための外出許可を与え刑務所システムをもう少し人間らしくできると戦った一人の判事。ドキュメンタリーは、暴力と人間の本質を探りつつ、2000年以来の彼らの7年を追った。 2010 グアダラハラ国際映画祭(メキシコ) ラテンアメリカ・ドキュメンタリー・コンペティション、グランプリ受賞作品。

ブルマキ監督はブラジル社会を世界有数の差別的・暴力的社会、と呼ぶ。サンバやボサノヴァなどブラジル音楽のファンは日本にも多いが、それもやはり奴隷貿易に起原を持ち、白人中産階級のために奏でられた黒人音楽の歴史を汲んでいる。ブラジル人の友人も多いのに(考えてみれば、ニューヨークで出会う彼らはほとんどが白人だ)、ブラジルに白黒の人種の厚い壁があることさえも認識したことがなかった。判事はその二つの世界をソサエティの「光と陰」と呼び、ソフィアは「こちら側とあちら側」と呼ぶ。

webdice_Entre a Luz e a Sombra
カランディルを歩くソフィア

囚人の二人は、自分たちが育った貧困地区の子供達を犯罪の連鎖から助けたくてラップを歌う。物のない場所に生まれたから物が欲しくなったんだ、犯罪しか手に入れる方法はなかった、でもラップはコカインよりハイになれるぜ、犯罪の代わりにラップをやろう、と呼びかける。カリスマと才能のあるデクスターはチェ・ゲバラやマルコムXを学び、システムが悪いと歌い、早くここから出て君に会いたいと歌う。ナショナルヒットを生む二人だが、その後その影響力に警戒した“システム”は緩めた縄を縛り上げ、殺人歴のあるデクスターは遠い刑務所で刑期38年の日々を孤独に過ごす。アフロは出所し、白人の人気歌手と結婚して革命を歌うギャングスタ・ラッパーのきらびやかな道を歩む。判事は郊外の貧困地区の刑務所に左遷され、ソフィアは取り壊されたカランディル刑務所跡地で、囚人たちに演劇を教えレコード会社を探しライブを調整し刑務所内に病棟を作った20年のボランティアの月日は一体なんだったのだろうと一人たたずむ。

Luciana Burlamaqui
ルシアナ・ブラマキ監督(提供:制作者)

この作品を観ると、出演者の誰かに加担したくなる。わたしたち親子3人も、翻訳しながら食事の際に討論した。上映後のディスカッションに地元の中年女性が数名おられて、その中の一人が、映画中に登場する国会議員がラッパーデュオの二人を“殺人者、社会の癌細胞、出て来るな!”とこき下ろした場面に共感した、と発言し、他の女性達が賛意を示した時にはハッとした。誰もがデクスターとアフロにも共感や理解を示すに違いないと思っていた私は、司会をしながら一瞬言葉につまった。が、詳しい事情は出てこないがデクスターには殺人歴がある。おばさんの意見もありえるものだろう。日本の刑務所や服役囚たちがいかに私たちの暮らしから遠くに切り離されており、あたかも社会の一部ではないかのように思われているか、との話も出た。他の国の囚人から自国の囚人たちの思いを学ばされる。意見は別れたが、ソフィアは誰もの強い共感を集めた。そしてふと時間が経ってみると、この作品の魅力は、こうしてスクリーンのこちら側の安全で日のあたる場所から、他者の人生を評し判断しているわたしたちに、お前は一体誰なのかと鋭く問いかけてくれることだ、と思えて来る。

『パーフェクト・ライフ』(2009)

Perfect_Life_ScreenShot1
『パーフェクト・ライフ』監督:エミリー・タン

中国第6世代に属する女性監督エミリー・タンの長編第2作。ジャ・ジャンクーと親しい仲間であり、この作品もジャ監督が共同プロデュースしている。架空の人物(フィクション部分)と実在の人物(ドキュメンタリー部分)を混ぜ込みながら、しかもその二人がある場所・時間で重なる斬新な構成で、今の中国を強くしなやかに生き抜く労働者階級の女性をリアルに描いた作品。

背景にあるのは、70年代以降の市場開放政策により国からの援助を打ち切られた田舎の若者たちが都会部に流れ込んだ動きと、また90年代に鄧小平が南中国の開放政策と経済政策を説き中国復活の道を目指して以来でき始めた、中国南部の新工業都市。その中の一つ、深圳(しんせん)は香港に近く特に人気で、人口1200万人中1000万人は移住者であるという。その大多数が若い女性達。そうした、新しい生活を求めて国を南へ大移動する不特定多数の中国現代女性達にタン監督のまなざしは置かれる。2009年バンクーバー国際映画祭「Dragons & Tigers」選抜作品。天安門事件をドラマ化した彼女の第一作は、いまだに中国当局のブラックリストに載せられている問題作。

Emily_and_Wing
エミリー・タン監督&プロデューサーのチョウ・クァンさんQ&A

仲間のハン・ジェ監督の新作『ミスター・ツリー』がロカルノ映画祭に出品していたため(11月に東京フィルメックスで上映)、スカイプトークはヨーロッパから。パートナーでプロデューサーのチョウ・クァンさんと共に参加してくださり、タン監督の言葉をチョウさんが英訳、それを私が和訳、という電車会話だったが、この日はアートでの町おこしを目指す「うのずくり」委員会の夏の企画「宇野夏キャンプ」=宇野キャンが行われており、それに色々な都市から参加している方々も映画を見に来てくださり、盛り上がった。和やかなムードの中、ドキュメンタリーとフィクションを混ぜようと思った経緯、中国映画界で女性監督として生きるとは、中国映画に描かれる香港のイメージについて、など、興味深い質疑応答となった。

『パーフェクトライフ』に加え、今回 彼らの制作団体/会社である Xstream Pictures からジャ・ジャンクー監督の短編3本をご提供いただけたが、いずれも日本では東京フィルメックスで上映されたのみで、それ以外では国内唯一の上映となった。

『アヒルの子』2005

ahiru01
『アヒルの子』監督:小野さやか(写真提供:ノンデライコ)

小野さやか監督デビュー作の長編ドキュメンタリー。今まで生きて来た自分をとことん嫌悪する小野監督が、死ぬか、あるいは映画を作ることで家族を壊し何かを見つけるかの選択肢を自らに課し、後者を選んで紡いだ痛々しくも渾身のセルフドキュメンタリー。ヤマギシ会に預けられ親に捨てられた気持ちと実兄からの性暴力のトラウマを乗り越え、自分の現在像、未来像を見事に見つけ出した勇気ある女性の物語。日本映画学校時代に原一男監督の指導のもと製作するが、家族の了承を得るのに5年を費やし昨年やっと劇場公開された問題作。

ahiru_smile
スカイプトークに登場した小野さやか監督

今作には多様な反応が寄せられた。

──チョウパワフルな映画。エネルギーマックス。

──自分の気持ちばかり大切にしている。悪いけど、子供っぽい。(20代女性)

──これを映画と呼ぶか?(50代男性)

──原一男「恋歌1974」を脅かすドキュメンタリー史に残る作品。(40代男性)

──家族の人たちが良く公開を許したものだと思う。(40代男性)

──「えっ・・」「なにこれ」と思いながら、すごく不快な感じのまま、でもスクリーンから離れられず、最後まで観た。直後、観たくなかったと思った。でも逃げられなかった。...自分の内面をぐしゃぐしゃにエグられた感じ。上映後のQ&Aでの、監督の明るさにさらに衝撃。私にとっては忘れたいけど、たぶん忘れられない作品。(30代男性)

──見ているうちに、ぼく自身というものやそれを形作って来た教育や家族関係などにも、同じような濃い影が存在していることに気付かされた。...観る者の誰もが自分の人生を見直してしまう作品だと思う。(20代アメリカ人男性。筆者和訳)

──テンポよく繰り出される彼女のいわば戦闘シーンに一々ハラハラさせられ息をのみ、最後に全てを乗り越えたところで彼女が達した境地を見届けて、見ている我々は思わず喝采をおくりたくなる。そう、この息をつかせぬ展開、まるでアクション映画だ。(中略)この若い年齢でこれだけのものを作り上げてしまうと、この後が続くのだろうかと少し心配になってしまうものの、今後もひるまずに体当たりで、その血だらけの闘争の記録を我々に見せつけて欲しい。本人には辛いことだろうけれども。(40代女性)

私個人としては、ドキュメンタリーは戦場であっていいと思っている(そうでなくてももちろんいいが)。それが魅力でもある。傷つけ合う場、他者を傷つけ、自分も傷つく。だから成長していける。きれいごとで終わる作品が多い中、この作品はあっぱれと思ったし、マックスも私も、悩める多くの若者に観てもらいたい作品だと思った。親しい間柄の友人知人の中でうつ病と戦ったり性暴力の経験を持つ人々の顔が浮かんできて、胸が苦しくもなった。来場者の感想にある通り、スカイプトークに現れてくれた小野監督の笑顔はまぶしくて、映画中ほとんど鼻水をたらして泣きっ放しだった彼女からは考えられない姿で、ある意味、お客さんを魅了。人生自分の力で変えられるんだという希望を、キラキラと瀬戸内の海に撒いてくれた。

『黒い雨』(1989)

black rain su-chan_2
『黒い雨』監督:今村昌平

広島で被爆した若い女性(田中好子)の原爆症との戦いをリアルに描いた日本映画の名作。井伏鱒二の同名小説の映画化。今村昌平作品。これは大切な作品でありしかも岡山県内での撮影作品とあって、昨年も今村プロダクションのご厚意により黒い雨が実際に降り注いだ瀬戸内の海を眼前に広島原爆記念日に野外上映したのだが、放射能障害が別の意味を持った今年、再度上映させていただいた。田中好子さんのご他界もあって再注目されたこの作品を抱えて中国地方を行脚中だった今村プロ代表で監督の息子さんの今村竑介(ひろすけ)さんがこの日の特別ゲストとして来場してくださり、貴重なお話を聞くことができた。内容は、『黒い雨』の各地での反響と、原爆と原発の関係について、また本来は映画の終わりにカラーのシーンが20分もあったにもかかわらず、作者の意図が原作や現実の前に出ないことを選んでカラー部分すべてカット(DVDの特典映像に収録されているそうです)した今村監督の作り手としての姿勢、などについて話された。

hirosuke
今村竑介さんトーク

前日の8月6日に広島県尾道市しまなみ交流館であった上映会では500名近い入場者で広い会場がいっぱいになったとのこと、やはり広島県内の方々の意識は高いのだなあと感心した。広島はすぐお隣の県なのに、宇野港では残念ながらこの作品を見に来てくれたお客さんは期待するほど多くなく、はだしのゲンの中で広島の被爆者が別の村や町に行って差別にあったり冷たくされたりした光景が浮かんでしまった。人の痛みを感じるのは難しいことだ。でも、映画はその手助けをしてくれると信じる。また、日本映画の名画が海外では広く見られているのに日本国内では感心を持たれない、という事実もあるのだろう、と思う。来場のアメリカ人男性(30代?)が、自分は日本映画通だと思っていたけど、実際の瀬戸内の海を前にしてこの映画を地元の色んな世代の人々と一緒に見て、こういう映画の見方のパワーに驚き、自分のおごっていた気持ちに気付かされた、と感想を言ってくれた。

『100,000年後の安全』(2009)

Into-Eternity
『100,000年後の安全』監督:マイケル・マドセン

ご存知アップリンク配給の、フィンランドのオルキルオト島に建設中の永久核廃棄物地下埋蔵所オンカロをめぐり、その建設現場と科学者たちに取材した作品。未来的な映像美で描かれる無人のオンカロが、人類の恐ろしい行く末を暗示。震災後、「核とわたしたち」シリーズを今年のUPAFに絶対に入れようと二人で決めた時、アップリンクのサイトで知り、即予約。地元の人々からも前もって「こんな作品を玉野でやるんだ、行きたい」などと聞いていたので、上映もディスカッションも楽しみにしていた。スカイプゲストにこの作品を日本に持って来た浅井隆さんをお招きしたいと連絡したところ、わざわざ岡山まで来てくださった。ありがとうございました。朝の室内上映は会場ほぼ満席。晩の野外上映後のディスカッションでは、原発はやめられるのか、人間は欲を追い求める生き物なのか、本当の情報はどこで集められるのか、などをめぐって熱い議論が深夜まで続いた。

Asai_san_talk_CU
浅井さん(右)とマックス

興味深いことに50-60代(“人間は欲の生き物だ”派)vs20-40代(“それは変えられる。ネットを使ってリサーチ・連帯しないと”派)という感じの論議になった。お客さんの中に某電力会社の社員の方がいらっしゃり、東電が払う保証を他の電力会社がどうかぶっているか、給料カットや震災後の広報活動等について話してくださり、大変参考になった。食べ物や大気からの放射能汚染に関しては日々の切迫した恐怖感は岡山の人々にはないので、やはり東北・ 関東とは一人一人の意識が違うんだな、というのが実感でもあったが、一方で高知県東洋町の核処理場建設反対運動や山口県上関の原発建設計画など、原発は中国・四国地方にも決して無縁ではなく、気付いた時に遅すぎるとならないよう、住民がしっかりとした意識を持つことが望まれる、という話もあった。

大変勉強になったのは、浅井さんがお話の中で紹介された、94年NHK制作のドキュメンタリー『原発導入のシナリオ ~冷戦下の対日原子力戦略』の内容。1950年代、GHQ検閲も終わり朝鮮戦争や第5福竜丸事件で反米反核が日本各地で叫ばれている中、しかも地震大国日本で、なぜ原子力発電が「安全なエネルギー」として日本で受け入れられ一気に広まったのかについての歴史検証番組だ。それには、 読売新聞の正力松太郎とその部下柴田秀利、そして対ソ冷戦下で原水爆開発に力を入れる一方で世界中に原子力平和利用と技術提供をキャンペーンしていたアメリカ政府が大きく絡んでいる。

『ヒバクシャとボクの旅』2008

ヒバボクの旅02_ベネズエラ若者2
『ヒバクシャとボクの旅』監督:国本隆史(写真提供:制作者)

「核とわたしたち」シリーズとして上映された中に、神戸在住の国本隆史監督のこのドキュメンタリー作品があった。これは、ピースボートの船旅に参加した被爆者の方々が、世界各国で戦争で苦しめられて来た人々と出会い交流する様子を捕らえながら、被爆体験を後世に伝えていくことの意味について考えた作品。

飾らない自分の言葉と若い人達へのインタビューを通して、国本監督は若い世代の原爆への思いを代弁する:ヒバクシャの話って、最初はいいんだけど、その後はどれも同じに聞こえて、それに発言は許されなくてただ聞いているだけって感じで、自分の生活と直接関係ないし、どう思えばいいか、わからない…。しかし旅を続けるうち、当時幼く被爆記憶がない若い被爆者たちに接し、彼の気持ちは変わって行く。それまで被爆手帳はあるが自分とは関係ないこととして、ある意味そう思おうとして行きて来た若い被爆者たちが、ベトナムの枯れ葉剤犠牲者の子供達で重度の障害を持って生まれた人々や、ギリシャのナチによる虐殺を子供時代に村でただ一人生き延びた男性が今もその時の光景を次世代に伝えている様子に触れ、交流を深める。そして、間もなく記憶のある被爆者たちがこの世から消えた後、自分たちは何を語ればいいのかについて考え始める。

gori
国本監督トーク

大震災前に作られたこの作品だが、今これを観ると、“被爆”と“被曝”の意味が震災前とは違い、原爆と原発を関係ないものとしてはもはや語れないことに気付かされる。この作品は反響が大きく、Q&Aも盛り上がった。

『赤い風船』(1956) &『白い馬』(1953)

赤い風船メイン
『赤い風船』監督:アルベール・ラモリス(写真提供:クレストインターナショナル)

心にしみ入る美しい映像と少しのセリフで創られた魔法のフランス名画。 子供を主人公にした(監督の息子パスカルくんが両作品に登場)シンプルなストーリーには、第二次世界大戦を生き延びたアルベール・ラモリス監督の、戦争・世の中の善悪のしくみ、そしてその中で今後も戦って行きていく子供達への思いなど、沢山の気持ちが込められている。日本が将来への不安を抱えてふんばっている今年に、子供達につらい状況をごまかすのではなく、それに打ち勝って夢を持って元気に育ってほしいという願いを込めて、子供たち(=いのち)への愛が詰まったこの2つの映画を贈りたく、上映を決めた。

名画の上映権はとても高く、私たちのような非営利の小さなイベントにはなかなか手が出ない。しかし、配給元のクレスト・インターナショナルが事情を理解してくださり、特別ディスカウントしてくださったので、上映が可能になった。ありがとうございます。アート映画という耳慣れない言葉のせいだろうが、多くの地元の皆さんには、UPAFは近づきにくい存在かもしれないと思い、今年は子供向けのこの上映ともう一つ世代を超えて皆が楽しめる作品として『ミリキタニの猫』の2作品のために特別ビラを用意、近所のスーパーや市の施設に置かせていただいた。

red_balloon
『赤い風船』生吹き替え上映風景(弁士:メグさん)

当日本当に地元の子供たちや家族連れが現れた時は感動してしまって、スタッフの皆でこっそり抱き合って喜んだ。字幕の読めないちびっ子たちのために、岡山の素晴らしいパーフォーマーのメグさんに生吹き替え(弁士!)をお願いし、満月のもと、ミスティカルで不思議な夜になった。上映後、小学校3年生くらいの女の子に、どうだったか尋ねた。横にいたお母さんが「珍しい映画だったわねえ」と先に答えてくださったが、女の子はしばらく考え込んで、おもしろかったけど、男の子が主役の映画だったから、来年は女の子が主役の映画をやってほしい、と答えた。うん、わかったと約束した。

『ナース.ファイター.ボーイ』(2008)

09-DANIEL J GORDON-WARDROBE
『ナース.ファイター.ボーイ』監督:チャールズ・オフィサー(写真提供:制作者)

前回のブラックシネマの記事で絶賛した『ナース.ファイター.ボーイ』も、上映権の複雑な仕組みでぎりぎりまで上映が決まらず字幕付けに苦労したものの(初回に来てくださったお客さん、すみません)、どうにか無事に上映することができた。ここ何年もの映画館で観た映画のどれよりもよかった、DVDで欲しい、などの声がお客さんから聞かれて、嬉しかった。広く配給されていない、日本語ではここでしか観られない、と話すと、不思議そうだった。その他、反響のあった短編を幾つか紹介する:

『ミラージュ』(2010)

MIRAGE
『ミラージュ』監督:サージャン・ケカ(写真提供:制作者)

「街が主役」ブログラムの中で上映。セルビア出身若手監督のサージャン・ケカが描く、砂漠の蜃気楼ドバイの街の多面性 。セルビア人の父とアルベニア人の母を持つ彼の前作は、バルカン戦争で戦った後、鬱病となり一人で死を選んだ父親を描いたセルフドキュメンタリー『おやじへの手紙』。今回の作品でも、家族や文化から隔離されて生きる者たちの孤独と欲望が大きなテーマとなっている。

Srdjan.2
ケカ監督スカイプトーク

『KURAYOSHI』(2011)

Kurayoshi.still
『KURAYOSHI』監督:中村智道(写真提供:制作者)

心の奥にあるダークなテーマをコンセプチュアルで独特の手法で描くアニメ(『ボクのまち』『蟻』)で知られる、岡山県赤磐市の映像作家、中村智道監督の初実写作品。鳥取県倉吉という、日本の田舎のどこにでもあるような街、しかも自分の知らない街を描きたかったという中村監督が、携帯電話の映像やスナップ写真を住民から集め、廃校になった小学校の一室をそれらで埋めるアートエキシビションを住民と一緒に作る過程を描く。

nakamura_san_indoor
中村監督(右)と筆者

中村監督とのQ&Aでは、街を映像で描くことについてや、実在の他者を扱うドキュメンタリーとすべてを作り手がコントロールできるアニメの違い、それにまつわる責任、表現形態としての制限と可能性などについて、地元で活動するアーティストたち(画家、造形作家など)も巻き込んで熱い議論が展開され、私たちも非常に触発された。UPAFのサイトに来場者の批評・感想を今後掲載予定。

『ボデガ』(2007)

Bodega two shot2
『ボデガ』by ラフィ・カム、ダラス・ペン、カシミア・ノズコウスキー

ブロンクスの街角の激安食料品店で売られる体に悪そうな激安ジュースやお菓子(ブタ皮チップス、絶対古くならないケーキ、など)を、ブロンクス出身のヒップポップ・ビデオ・ジャーナリストのラフィとダラスが皮肉たっぷりにユーモラスに紹介(これも私の前回の記事で紹介)。こんな栄養的にひどいもので育ってきた住民代表として、マンハッタンのお金持ちたちや大統領や政治家たちに、こういうすてきな文化をブロンクスに残してくれてありがとう、そしてブロンクスの皆には、伝統を守り抜いてくれてありがとう、と皮肉って終わる。

Rafi.skype
ラフィとのスカイプトーク

「世界の若者の声」プログラム

HandsOfLove
ケニアの高校生の作品『愛の手』

昨年はニューヨークのアドビ財団の協力を得て、ニューヨークの子供たち(小学生から高校生まで)が創った力強い作品を紹介した。今年は神戸のわいわいTVのご協力も得て、日本のマイノリティの子供達の創るビデオも紹介させてもらえることになった。日本で育った若きベトナム人ラッパーのMC NAMさんがゲストとして来てくださることにもなった。そこで、世界の若者の声、と枠を拡げ、アドビ財団とかけあって、彼らが青少年ビデオ教育を主催する国々からの秀作を提供していただけることになった。それに私の教え子の大学生等の作品も加え、今年の「若者の声」プログラムは、イギリス、ケニア、コロンビア、日本、アメリカなどからかなり質の高い秀作が集まった。

ブルックリンの高校でビデオ制作を教えるキム・ジェマーソン先生と相談して、ブルックリンの黒人の高校生とMC NAMさん、それにうまく行けば地元玉野市の高校生とがスカイプで対話できる機会を作ろうということで盛り上がり、彼女はいい作品を仕上げた生徒のアイゼア・マイルズさんに自分のウェブカムを貸してあげ、スカイプ通話の練習もしてくださったようだった。日本側ではマックスが事前に地元の高校のPTAに声をかけたりして頑張ったが、地元の高校生は今年は現れてくれなかった。子供ばかりか、無料プログラムだったのにもかかわらず、お客さんが他のプログラムに比べてまるで少なかった。作品集め、翻訳・字幕付けにかなりの労力を払っているし内容はいいのに人が来ない、ユースプログラムにどうやって人を集めるかが来年の課題となった。以下、ユースプログラムのハイライト:

『私みたいな女の子』(2005)

K. Picture_crop
『私みたいな女の子』監督:キリ・デイビス(写真提供:制作者)

アメリカ社会の暗黙の「美の基準」が、黒人の女の子たちのセルフイメージに幼少時からどう影響し劣等感を育んでいるかについて、黒人コミュニティ内部に存在する肌の色の濃淡への差別意識について、当時16歳だった黒人少女キリ・デイビスが真っ正面から取り組んだドキュメンタリー作品。大人たちの心をナイフで刺すような、少女ならではのまっすぐな視点が話題を呼び、トライベッカやシルバードックなど大手の映画祭に出品、オプラ・ウィンフリー・ショーにもゲスト出演した。

Kiri
キリ・デイビス監督スカイプQ&A

この作品は若者の声セクションのみにとどめられずに、短編特集にも組み込んで上映したので、短編の回には野外上映後にキリとスカイプトークができた。すっかりキレイな女性に成長した姿を見せてくれ、今後もフィクションやドキュメンタリーを通じて黒人像をメディアに増やして行きたい、と語ってくれた。また、イギリス人男性から出された、今や黒人女性もオプラ・ウィンフリーやハル・ベリーなど皆が憧れる存在の女性が多く出ているが、そのことについてはどう?という質問に対し、それは嬉しいが、彼女たちの容姿は必ずしもアフリカ的ではなく、ヨーロッパ的な特徴と黒い肌の融合なので、アフリカ的な美が世界で認められているわけではない、と答えた。

『私はろうあ、バカじゃない』(2011)

Deaf2
『私はろうあ、バカじゃない』イギリスに住むムスリム系の聾唖の女の子達が制作

イギリスに住むムスリム系で聾唖の女の子達が製作したパワフルなミュージックビデオ。最初音楽付きで始まり、彼女たちの手話と字幕で語られるメッセージにあれ?と思った頃に、アップルコンピューターの音声調整のアイコンが画面に現れ、音声が消される。その後は、彼女たちのまっすぐな目線と手話と字幕でパワフルなメッセージが私たちの心に届けられる。今年度アドビ財団が主催する「アドビ若者の声」プログラムで世界グランプリ受賞作品。これは、ボランティアスタッフにどの作品がよかった?と尋ねた時に、彼らの多くが口にする作品だった。

『オレの歌』(2010)

NAM still2
『オレの歌』監督:MC NAM

神戸で生まれ育ったベトナム人ラッパーMC NAMが数年前に書き下ろした歌のミュージックビデオ。ボートピープルとして日本にたどりついた両親の過去とそれを知らずに育った自分、日本人の名前を名乗り素性をひた隠しにして育って来た自分、健康保険もパスポートもない自分の家族の暮らしなど、複雑な思いを歌に託したパワフルな作品。ゲストとして来場され、当日のスカイプトークのゲストだったブルックリンの高校生アイゼア・マイルズさん(黒人コミュニティでの“男さしさ”についてクラスメートや先生に取材した作品『マンフッド5K』を同プログラムで上映)とお互いの作品についての意見交換。

ISAIAH MILES
ブルックリンからスカイプで参加してくれた高校生のアイゼア・マイルズさん(写真提供:キム・ジェマースン先生)

残念ながらお客さんは少なかったが、スタッフは全員一緒に上映に参加し、彼らにとってもブルックリンの黒人の男の子と話したりナムさんと話したり、貴重な体験になったと思う。作品の感想と言っているのにナムさんは「で、君は陸上選手でかっこいいけど、彼女はいるの?」とアイゼア君に尋ねるお茶目な性格。アイゼアくんも、お客さんからの「今日本では男性がベジ化していると言われるけど、作品から黒人社会でもマッチョ派とベジ派に分かれるみたいな印象を受けた。で、君はどっち派?」という質問に、「ぼくは恥ずかしがり屋で大人しい性格だから多分ベジ派」と答え、皆の笑いをとっていた。何だか和気あいあいとして、笑いと思いやりにあふれた空間で、今思い出しても胸があったかくなる。

Isaiah skype
アイゼアくんとのQ&A。少人数だったのでラップトップで直接トーク!

ナムくんとのQ&Aでも、お客さんから今までいかに日本に生きる外国人の人達と出会う機会もなければ興味を持つこともなかったか、またベトナム人として日本で生きる実情を尋ねる正直な質問が出され、それに一つ一つナムくんがていねいに答えてくれた。そしてその中でヒップポップの意味や、ベトナムでベトナム語を学んできた体験などについて話してくれた。

NAM talk
MC NAMさんとのトーク

この日ユースプログラムに参加したスタッフは、意外な質の高さと内容の濃さに驚いていたので、それをどうやって宣伝で伝えるか、またこの1年で日本国内のユースビデオ団体などに存在を伝えて行く努力が大切なのだろう。情報持っている方、是非ご連絡ください。

UPAF 2011 LS
UPAF2011

来年に乞うご期待

以上、ハイライトをお伝えした。他にも沢山、意義ある力強い作品が集まり、沢山のフィルムメーカーと話すことができた。これから一年かけて、自分たちの制作を続けながら、来年のUPAFのために“生きる・創る・映画”を体現してくれる作品を探して行く。自薦、他薦歓迎。ボランティア歓迎(特に翻訳、字幕作成、宣伝素材デザイン、それとウェブマスター!)。ではまた来年、宇野の港でお会いできる日を楽しみにしております。

(文責:タハラレイコ
写真提供:記載以外は、ボランティアスタッフの西坂毅さん&赤田竜一さん)

UPAF 2011プログラム:

UPAF2011_Flyer_Front.JAPA.FINAL_2

UPAF2011_Flyer_back.JAPA.FINAL

リンク:
宇野港芸術映画座サイト:
http://unoportartfilms.org
http://www.facebook.com/UnoPortArtFilms
マックスのゲストハウス:
http://unoslopehouse.com
http://www.facebook.com/unoslopehouse
Rooftop Films (NY)
http://rooftopfilms.com/
『光と陰のはざまで』インフォ&予告編:
http://unoportartfilms.org/archives/1453
509-E の歌声はここで聞けます(ポルトガル語):



『パーフェクトライフ』インフォ&予告編:
http://unoportartfilms.org/archives/1233
「映画の森」記事(日本語)
http://eiganomori.net/article/143378230.html
チョウさんのインタビュー記事(英文):
http://www.europe-asia-documentary.com/2011/03/1523/
『アヒルの子』インフォ&予告編:
http://unoportartfilms.org/archives/1539
オフィシャル・サイト&小野監督ブログ
http://ahiru-no-ko.com/
http://sayaka-ono.jugem.jp/
『黒い雨』インフォ&予告編:
http://unoportartfilms.org/archives/1354
ウィキページ:http://ja.wikipedia.org/wiki/黒い雨_(映画)
『100,000年後の安全』
アップリンクサイト映画紹介ページ:http://www.uplink.co.jp/100000/introduction.php
『原発導入のシナリオ ~冷戦下の対日原子力戦略』NHKドキュメンタリーhttp://video.google.com/videoplay?docid=-584388328765617134&hl=ja#
『ヒバクシャとボクの旅』インフォ&予告編:
http://unoportartfilms.org/archives/1572
『赤い風船』インフォ&予告編:
http://unoportartfilms.org/archives/1525
オフィシャル・ウェブサイト:http://ballon.cinemacafe.net/
『ナース.ファイター.ボーイ』インフォ&予告編:
http://unoportartfilms.org/archives/1490
オフィシャル・ウェブサイト(英文):http://www.nursefighterboy.ca/
『ミラージュ』インフォ&予告編:
http://unoportartfilms.org/archives/1319
オフィシャル・ウェブサイト(英文):
http://skeca.com/mirage/
『KURAYOSHI』インフォ:
http://unoportartfilms.org/archives/1441
監督ブログ:http://nakamuragahaku.blog110.fc2.com/
『ボデガ』インフォ:
監督たちのブログ(笑えるビデオも沢山見れるー英語):http://internetscelebrities.com/
ボデガ on youtube(英語):


『私みたいな女の子』インフォ:
http://unoportartfilms.org/archives/1272
作品ビデオ(英語):


英文インフォ:http://www.mediathatmattersfest.org/films/a_girl_like_me/
『私はろうあ、バカじゃない』『オレの歌』『マンフッド5K』(世界の若者の声プログラム)インフォ:

http://unoportartfilms.org/archives/1591

『私はろうあ、バカじゃない』(英語)ビデオ:


『オレの歌』(日本語)ビデオ:





タハラレイコ公式サイト
webDICEユーザーページ


レビュー(0)


コメント(0)