骰子の眼

world

2013-09-29 18:15


市民の声によりモンサント保護法の破棄がアメリカ上院で決定

遺伝子組み換えを利用する企業を保護する条項が撤廃、世界規模での反発高まる
市民の声によりモンサント保護法の破棄がアメリカ上院で決定
プラカードを持ったモンサントへの抗議活動を行う女性の写真とともに掲載された、INTERNATIONAL BUSINESS TIMESの記事

アメリカで「モンサント保護法」と呼ばれていた「包括予算割当法案」において、遺伝子組み換えを利用する企業を保護する条項を削除する法案が9月24日上院で可決された。今月末までに「モンサント保護法」は撤廃される見通し。

この「包括予算割当法」(HR993)は今年の3月26日、オバマ大統領の署名により成立。第735条に、モンサント社などが販売する遺伝子組み換え作物で消費者に健康被害が出ても、因果関係が証明されない限り種子の販売や植栽を法的に停止させることができない、と定めたこととから、「モンサント保護法」と呼ばれるようになった。この法案撤回を求めるオバマ大統領への請願書に、25万人以上の署名が寄せられた。成立後も抗議行動は世界規模で高まり、日本でも、環太平洋経済連携協定(TPP)が締結がされるとこの法案が日本に持ち込まれてしまう可能性があるのではないかと注目されていた。

今回の上院の決定に、農家や市民による持続可能な食物システムを構築するための草の根の運動を続ける団体Food Democracy Now!のリーダーDave Murphy氏は「これは食べ物の安全をめぐる運動にとって、そして政府の開放性と透明性に留意するすべての人々にとって大きな勝利だ。私たちの声が効果的に組織されれば、変えることができるという証しなのだ」と声明を発表している。

FDN
Food Democracy Now!のサイトより

日本では、2012年にモンサント社の実態を追ったドキュメンタリー『モンサントの不自然な食べもの』が公開され、現在もグローバル企業による遺伝子組み換え食品と原子力の関連に迫るドキュメンタリー『世界が食べられなくなる日』が公開され話題を集めるなど、引き続き食の安全について多くの関心が寄せられている。

【INTERNATIONAL BUSINESS TIMES】‘Monsanto Protection Act’ Killed In Senate: Controversial Provision Removed From Spending Bill(2013.9.27)
http://www.ibtimes.com/monsanto-protection-act-killed-senate-controversial-provision-removed-spending-bill-1412160

【Food Democracy Now!】
http://www.fooddemocracynow.org/




【関連記事】

日本にも影響か〈モンサント保護法〉が米で成立(2013-04-03)
http://www.webdice.jp/topics/detail/3831/

[TOPICS]モンサント 欧州のGM反対運動にギブアップ(2013-06-10)
http://www.webdice.jp/topics/detail/3900/

[TOPICS]GM大豆を中国が輸入承認でモンサント株急騰(2013-06-21)
http://www.webdice.jp/topics/detail/3908/

[骰子の眼]「モンサントの遺伝子組み換え食品に毒性の疑い」ルモンド紙報じる(2012-10-01)
http://www.webdice.jp/dice/detail/3664/




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映画『世界が食べられなくなる日』より



映画『世界が食べられなくなる日』
渋谷アップリンクにて公開中、ほか全国順次公開

2009年、フランスである動物実験が極秘に開始された。それはラットのエサに遺伝子組み換えトウモロコシ、農薬(ラウンドアップ)を、いくつかの組み合わせで混ぜて与えた長期実験だった。分子生物学者のジル=エリック・セラリーニ教授が行ったこの世界で初めての実験は、2012年9月に専門誌に発表され、フランスをはじめ世界中に大きな波紋を投げかけた。セラリーニ教授は警告する「20世紀に世界を激変させたテクノロジーが二つあります。核エネルギーと遺伝子組み換え技術です。これらは密接に関係しています。米国エネルギー省は原爆につぎ込んだ金と技術者を使って、ヒトゲノムの解析を始めました。そこから遺伝子組み換え技術が誕生しました」。『未来の食卓』『セヴァンの地球のなおし方』のジャン=ポール・ジョー監督が、遺伝子組み換え作物と原発の危険性に迫るドキュメンタリー。

監督:ジャン=ポール・ジョー
製作:ベアトリス・カミュラ・ジョー
ナレーション:フィリップ・トレトン
パーカッション:ドゥドゥ・ニジャエ・ローズ
原題:Tous Cobayes?
2012年/フランス/118分
配給:アップリンク

公式サイト:http://www.uplink.co.jp/sekatabe/
公式twitter:https://twitter.com/uplink_els
公式FACEBOOK:http://www.facebook.com/sekatabe

▼『世界が食べられなくなる日』予告編


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コメント(3)


  • Reiko.A/東 玲子   2013-09-30 21:42

    すみません、今回はあえてここでコメントさせていただきます
    (twitterはやっていませんし)。

    副題への違和感から、
    リンク先の貼ってあった【INTERNATIONAL BUSINESS TIMES】の記事の原文を読んでみましたが、
    Food Democracy Now!のリーダーDave Murphy氏の声明として紹介されている、
    「これは食べ物の安全をめぐる運動にとって、そして食の開放と安全性に注意してきた人々にとって大きな勝利だ。」
    という言葉は、意訳なのでしょうか?
    原文は、
    “This is a major victory for the food movement and all those who care about openness and transparency in their government,”
    ですから、“「食の」開放と安全性に注意してきた人々“ではなくて、
    “「政府の」開放性と透明性に留意するすべての人々“ではありませんか?

    その後に続く、効果的に組織された声の上げ方で、政府との対話が成立した(市民の声に応じて、保護法が撤廃されたのであるから)、ということが大事なのだと思います。

    それに、「食」の開放だと、かえってどんな作物でも大放出するようなイメージがありますが……。




  • webDICE編集部   2013-10-05 04:32

    ご指摘いただきましてありがとうございます。

    “食の開放と安全性に注意してきた人々”、

    “政府の開放性と透明性に留意するすべての人々”
    に修正いたします。

    よろしくお願い申し上げます。

    webDICE編集部 駒井憲嗣

  • Reiko.A/東 玲子   2013-10-06 21:52

    webDICE編集部さま、

    ご回答、並びにご対応をどうもありがとうございました。

    「まず」声を上げることは大事ですが、
    「ただ」声を上げても効果は薄いと思います。

    webDICEの記事の方向性が、単なる煽動的なものとならないよう私は今後も望んでおります。