骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2014-04-10 14:27


『ホドロフスキーのDUNE』が生んだもの

『ホドロフスキーのDUNE』中子真治氏による映画評。イラストレーションは小池桂一氏。
『ホドロフスキーのDUNE』が生んだもの
『エイリアン』(1979年) ILLUST:小池桂一

2014年6月14日(土)にドキュメンタリー『ホドロフスキーのDUNE』、2014年7月12日(土)に23年ぶりの新作『リアリティのダンス』が連続公開となる、アレハンドロ・ホドロフスキー監督。現在、配布中のフリーマガジンホドロフスキー新聞vol.2は『ホドロフスキーのDUNE』特集号。その中から、中子真治さんによる解説をお届けする。

そして、今月ついに来日するアレハンドロ・ホドロフスキー監督、ヤクルトホールで行われる講演&『リアリティのダンス』プレミア上映会、そして現在webDICEでも参加者募集中の「ホドロフスキーと100人坐禅大会」に続き、4月26日(土)に吉祥寺バウスシアター、新文芸坐で開催される過去作の上映会への登壇が決定!ヤクルトホールは既にチケット完売、100人坐禅も抽選…となれば、このチャンスを逃す手はない。

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きっと私はホドロフスキー版『DUNE』についてオバノンに話を聞いた最初で唯一の日本人だと思う

予言書となる映画を作るにふさわしい戦士としてホドロフスキーが語る最初のふたりの人物、メビウスとダン・オバノンが、ともにこのドキュメンタリー製作をまえに他界していることに無念を覚える。できることならクリス・フォスやH・R・ギーガーのように、彼らのいまの肉声を聞きたかった。

きっと私はホドロフスキー版『DUNE』についてオバノンに話を聞いた最初で唯一の日本人だと思う。

ダン・オバノン
ダン・オバノン(『ホドロフスキーのDUNE』本編より)

1979年5月、『エイリアン』の初日をハリウッドで迎え、件の映画の原案者であり脚本も書き、ヴィジュアル・コンセプト・コンサルタントとしてもクレジットされているオバノンにインタビューするため、私はロサンゼルを訪ねていた。オバノンにはそれよりも早く、共同脚本家兼美術監督兼SFXスーパーバイザーとして、さらに主演も張ったカルトSF映画『ダーク・スター』……そう、ホドロフスキーが『DUNE』のSFX監督にオバノンを抜擢することに決めた因縁の映画……にすっかり心酔していたから、初対面のような気がしなかった。

しかもインタビューのために招かれた先というのが、前日、神経性の急性胃炎で運び込まれた病院の個室という、とくにプライベートな場所だったから、オバノンとの会話は誰に気兼ねすることもなく弾んだ。話題は当然『エイリアン』から、そのヴィジュアルの起源ともなった『DUNE』に及ぶ。

おそらく私の英語力が脆弱過ぎたためだろう、オバノンの誇張もあったにちがいない、ホドロフスキーの証言とはいくぶん異なるが、こと『エイリアン』に関して、問題の多かったプロダクションが総じてスムーズに進んだのは『DUNE』の経験と、そこから得たネットワークのおかげだったという彼の話に疑う余地はない。

映画経験の乏しいメビウスやクリス・フォスが、コンセプト・デザインを残したままプロダクションを離れざるを得なかった話。1年遅れで参加したギーガーが短期間のうちに偉大な仕事を成し遂げたのも『DUNE』ありきだった。オバノンと彼の仲間が『DUNE』のために築き上げたイメージが、その後の『スター・ウォーズ』『マトリックス』『フラッシュ・ゴードン』といったSF映画に伝播していく様子もドキュメンタリーは紹介している。

ホドロフスキー版『DUNE』を観たいという欲求不満を無闇に募らせる罪な今作は、私にとって、いまは亡きオバノンへの憧憬をますます強めさせる個人的な映画なのだった。

『スター・ウォーズ』(1977年)
『スター・ウォーズ』(1977年)
『マトリックス』(1999年)
『マトリックス』(1999年)
『フラッシュ・ゴードン』(1980年)
『フラッシュ・ゴードン』(1980年)

TEXT:中子真治(元映画ジャーナリスト) ILLUST:小池桂一



ホドロフスキー新聞
THIS IS ALEXANDRO JODOROWSKY

多くのクリエイターに衝撃と影響を与えた映画監督、アレハンドロ・ホドロフスキーの魅力に迫るフリーペーパー、通称"ホドロフスキー新聞"は、全3号発行予定。PDFでもダウンロードすることができます。
http://www.uplink.co.jp/jodorowsky/

VOL.2 『ホドロフスキーのDUNE』の世界



ホドロフスキー監督が、
4/26(土)に開催される過去作の上映会に登場!!!

★吉祥寺バウスシアター
THE LAST BAUS/さよならバウスシアター、最後の宴

『エル・トポ』上映後、アレハンドロ・ホドロフスキー監督による舞台挨拶あり
■上映日:2014年4月26日(土) 15:30より1回のみ上映
■上映作品:『エル・トポ』
■会場:吉祥寺バウスシアター(東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-23/TEL:0422-22-3555)
■入場料:1,300円(前売当日共に)

前売券は4/12(土)よりイープラス、バウスシアター窓口ほかにて発売
その他詳細は、公式HPをご覧ください。
http://www.bakuon-bb.net/



★新文芸坐
アレハンドロ・ホドロフスキー監督作品オールナイト上映

上映前に、ホドロフスキー監督による舞台挨拶あり
■上映日:2014年4月26日(土) 22:00よりオールナイト上映(5:00頃終了予定)
■上映作品:『エル・トポ』『ホーリー・マウンテン』『サンタ・サングレ/聖なる血』
■会場:新文芸坐(東京都豊島区東池袋1-43-5 マルハン池袋ビル3F/TEL:03-3971-9422)
■入場料:当日2,600円、前売・友の会2,400円

前売券は新文芸坐窓口、チケットぴあにて販売中
その他詳細は、公式HPをご覧ください。
http://www.shin-bungeiza.com/




ホドロフスキー監督と一緒にお寺で坐禅を組もう!
"ホドロフスキーと100人坐禅大会"に抽選でご招待!!

かつてメキシコで日本の禅僧の弟子となり、本格的に禅の修行を積んだホドロフスキー監督とともに、100人のファンが坐禅を組む、"ホドロフスキーと100人坐禅大会"を開催!この坐禅会イベントに抽選で10名様をご招待します。参加ご希望の方は応 募要領をご確認のうえ、ご応募ください。

アレハンドロ・ホドロフスキー監督
アレハンドロ・ホドロフスキー監督

<ホドロフスキーと100人坐禅大会 概要>
■日時:2014年4月26日(土)
13:30開場/14:00スタート/15:00終了予定
■会場:世田谷区のお寺
■内容:坐禅、ホドロフスキーによる説法(テーマは「金と欲望」を予定)

☆当選者数:10名様

【応募方法】

下記の必要事項を明記のうえ、Eメールにてご応募ください。

■応募宛先

film(a)uplink.co.jp
(a)を@に変えてご使用ください

■件名を「ホドロフスキー坐禅会/webDICE」としてください

■下記の項目を明記してください

(1)お名前 (2)お電話番号 (3)ご職業 (4)性別 (5)希望理由

■応募締め切り

2014年4月16日(水)10:00
※当選の発表は、厳選なる抽選のうえ、当選者のみメールにて4/18(金)18:00までに通知させていただきます。

■注意事項

※本イベントでは、マスコミ各社の取材による撮影や、スタッフによる記録撮影が行われ、各メディアにて放映・掲載される場合がございます。あらかじめご了承のうえ、ご応募ください。
※映画の上映はございません。




『ホドロフスキーのDUNE』
2014年6月14日(土)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほか、全国順次公開

監督:フランク・パヴィッチ
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ミシェル・セドゥー、H.R.ギーガー、クリス・フォス、ニコラス・ウィンディング・レフン
(2013年/アメリカ/90分/英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語/カラー/16:9/DCP)
配給:アップリンク/パルコ
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/dune/

『ホドロフスキーのDUNE』メイン
『ホドロフスキーのDUNE』より



『リアリティのダンス』
2014年7月12日(土)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほか、全国順次公開

監督・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー
出演:ブロンティス・ホドロフスキー(『エル・トポ』)、パメラ・フローレス、クリストバル・ホドロフスキー、アダン・ホドロフスキー
音楽:アダン・ホドロフスキー
原作:アレハンドロ・ホドロフスキー『リアリティのダンス』(文遊社)
原題:La Danza de la Realidad(The Dance Of Reality)
(2013年/チリ・フランス/130分/スペイン語/カラー/1:1.85/DCP)
配給:アップリンク/パルコ
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/dance/

リアリティのダンス
『リアリティのダンス』より

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