骰子の眼

cinema

2016-03-25 18:50


世界一、危険なパレスチナの“壁”―知られざるグラフィティ事情

バンクシー、JRなどが狙う「グラフィティライターの実地訓練にはうってつけの場所」
世界一、危険なパレスチナの“壁”―知られざるグラフィティ事情
photo by Michele Benericetti

パレスチナの“壁”を題材にした映画『オマールの壁』が、4月16日(土)に公開される。

1987年のヨルダン川西岸地区とガザ両占領地での反イスラエル蜂起(第一次インティファーダ)以降、パレスチナ人たちはニュースを知らせるために、そして団結やボイコットの計画を伝え抗議の意思を表明するために、“壁”にグラフィティを残しはじめた。

イスラエル政府が「パレスチナ人による自爆テロを防ぐためのセキュリティ・フェンス」と称した巨大な分離壁を西岸地区で建設を始めたのは、第二次インティファーダ後の2002年。その頃から、描かれるグラフィティはステンシルなどを使った大規模なものになっていく。

高さは8m、全長700kmにおよび「セパレーション・ウォール」「アパルトヘイト・ウォール」「ウェスト・バンク・バリア」等とも呼ばれる分離壁は、イスラエルとパレスチナの境界=グリーンラインに沿って建設されているのではなく、大部分がパレスチナの中に侵入しており、事実上、イスラエル領土拡大のために建てられている。

このパレスチナの途方もなく大きなキャンバスは皮肉をこめて「グラフィティライターの実地訓練にはうってつけの場所」と呼ばれている。

ベツレヘムの分離壁に描かれたグラフィティを撮影した動画


映画『オマールの壁』予告編

パレスチナ自治区に暮らす青年、オマールは日常的に分離壁を越え恋人に会いに行く。4月16日(土)角川シネマ新宿、渋谷アップリンクほか全国順次公開。



分離壁のストリートアート

bethlehem-mur-2-4
photo by Wall in Palestine

"Fuck TIPH"
photo by Michele Benericetti

Stone Temple
photo by Beny Shlevich

PalFest 2008: Bethlehem wall graffiti
photo by PalFest

Separation wall near Bethlehem, West Bank
photo by SarahTz

Banksy rat and Wall at Al Quds University, Jerusalem
photo by Peter Mulligan

Muro de la vergüenza
photo by Dani Montero

A country is not only what it does...
photo by Neil Ward

Bethlehem wall and Muslim graveyard
photo by Neil Ward




映画『オマールの壁』
2016年4月16日(土)角川シネマ新宿、渋谷アップリンクほか全国順次公開

監督・脚本・製作:ハニ・アブ・アサド(『パラダイス・ナウ』)
出演:アダム・バクリ、ワリード・ズエイター、リーム・リューバニ ほか
(2013年/パレスチナ/97分/アラビア語・ヘブライ語/カラー/原題:OMAR)
配給・宣伝:アップリンク
公式サイト

映画『オマールの壁』

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