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東京都 中央区

2015-11-28 22:10


フィルメックス「タルロ」最高賞&学生審査委員賞

フィルメックス「タルロ」最高賞&学生審査委員賞

11月29日まで開催されている「第16回東京フィルメックス」の授賞式が11月28日、東京・有楽町朝日ホールで行われ、中国のペマツェテン監督の『タルロ』がコンペティション部門の「最優秀作品賞」と「学生審査委員賞」の2冠に輝いた。

ペマツェテン監督は2011年の『オールド・ドッグ』で「第12回東京フィルメックス」グランプリを受賞しており、『タルロ』で2度目の最高賞受賞となる。チベットの若い羊飼いの遊牧民の孤独を、全編モノクロで、長回しを多用し描いている。

審査員長のイ・ヨンガンを中心とした審査員団は、『タルロ』の受賞理由について「IDを求める男がIDを失くすシンプルなコンセプトを美しく映画にしたことに対して、グランプリを贈ります」と発表している。

「東京学生映画祭」が審査員の選任から賞の決定まで運営する「学生審査員賞」の山元環さん(大阪芸術大学卒)、菅原澪さん(日本女子大学)、十河和也さん(明治大学)の3人は受賞理由のなかで、『タルロ』の主人公について「彼は、誰かを傷つける術も、自分を守る術さえも知らない。人に逢えば笑いかけ、時には自分の名前を忘れてみる。まるで、小さな子どものように感じる瞬間さえある彼は、どこまでも『無防備』だ。理髪店、カラオケ。何者かに、手を引かれるようにして『街』に出た時、その愛すべき無防備さは浮き彫りになる。未経験を経験していく彼に、何度か繰り返される毛沢東の言葉が重なる。言葉は、彼自身の熱を帯びたものに思えてくる」と形容。「恋歌は、纏っていたものを自ら剥ぎ取り、喧噪に唸るパンクロックへと変化した」と評価している。

「審査員特別賞」に輝いたのは、中国のチャオ・リャン監督の『ベヒモス』。中国・内モンゴル自治区の炭鉱で働く労働者たちを捉えたドキュメンタリーで、「現代文明と荒廃していく人間と自然を批判的かつ詩的にビジュアル化した」(受賞理由より)意欲作だ。

さらに審査員のスペシャルメンションとして、コンペティション部門に日本から唯一出品されていた『クズとブスとゲス』の奥田庸介監督と、スリランカのヴィムクティ・ジャヤスンダラ監督の『白い光の闇』が選ばれた。奥田監督は「第12回東京フィルメックス」のコンペ出品作『東京プレイボーイクラブ』の学生審査員賞に続く受賞となった。

また、来場した観客の投票によって選ばれる「観客賞」には、特別招待作品から、香港のピーター・チャン監督『最愛の子』が受賞。中国で実際に起きた誘拐事件をもとに、生みの親と育ての親の葛藤をヴィッキー・チャオ主演で描くドラマだ。本日11月28日が53歳の誕生日だというピーター・チャン監督は、「中国での公開から一年遅れではありますが、誕生日にこのような賞をいただけてとてもうれしいです。『最愛の子』は私にとってとても大切な映画です。観客賞受賞は、私がなぜ映画監督になったのかという初心に立ち返らせてくれます」と喜びのメッセージを発表している。今作はハピネットとビターズ・エンドの配給により2016年1月16日より劇場公開される。

[写真:最優秀賞と学生審査委員賞を受賞した『タルロ』]

■東京フィルメックス公式サイト:http://filmex.net/




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▼『タルロ』予告編

▼『ベヒモス』予告編

▼『クズとブスとゲス』予告編

▼『白い光の闇』予告編

▼『最愛の子』予告編

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