2009-06-03

村上春樹『1Q84』を読んだ このエントリーを含むはてなブックマーク 

映画の初日に映画を見るように発売日に本を買って今日読み終わった。

1冊の値段が映画の大人料金の1800円。
2冊なのでパート1、2と3600円。
しかも、この物語はパート3、4と続きそうだ。

映画は2時間ですが、読んだ時間は多分2巻で延べ15時間くらいかな。
実は今会社で宣伝している映画『未来の食卓』に通じるところ、有機農法のことなんだけどそれが出て来て驚きました。

内容はお楽しみとして、既に77万部出荷されているらしい。

本1冊の値段が映画の料金とちょうど同じなのでちょっと無粋ですがお金の事を考えてみた。映画に例えると77万人×1800円×2でなんと興収27億円。
(訂正*77万部出荷はこの時点で2巻合わせての数字という事に後で気づいたのここで×2では合計154万部になってしまうので現時点では13.5億円。でも結局合計150万部くらい売れそうなのでこのままにしておきます)

映画の場合、ざくっとその半分が配給収入として13.5億円。

製作費が7億円の日本映画としては大作として、宣伝費が2億で9億円。

13.5億円の配収から製作費と宣伝費の9億円を引くと映画の上映だけで4.5億円の利益。

そしてプリント代。2時間の映画として35ミリのプリント1本25万円として200スクリーンをブックするとプリント代だけで5000万円。

でも4.5億円から5000万円引いてもまだ4億円の利益はある。

さらにDVD化、テレビ放送と映画は二次収入の方が一次収入より大きくなる。

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さて出版の場合。

新潮社が取次ぎに72%で卸していたとして、1800円×77万部×72%×2で19億4400万円。

映画の製作費である著者には印税が10%として2億7000万円なので新潮社には16億7400万円。

映画のプリント代に当たる印刷製本代は映画の比率より高くなる。こんな部数の印刷代はよくわからないが、ざくっと25%位として、4億1850万円。それを差し引いても新潮社には12億2250万円残る計算になる。

個人で印税が2億というと想像を絶するが額だが、映画の仕組みと比較しても、100万部以上売れる作家なら印税が30%払ってもいいのでは。

映画の場合、製作会社にはあたるかどうかわからない作品に投資するリスクは大きいが、出版の場合、そのリスクは作家個人に委ねられる。

しかし、1800円という定価は多分に映画の料金を意識した値づけだと思うのだが。

小説を読んだ感想は「物語」(あくまで一般論としての優れた物語という意味でだが。小説に限る訳ではなく映画の物語も含む)が持つ力は酒やセックスやドラッグよりも甘美で快楽だという事を改めて確認した。

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最近ドキュメンタリーの配給がアップリンクでは多いが、村上春樹タームを使うならばフィクションには、現実を捕らえたドキュメンタリーとは別のパレルワールドを作る力が必要とされる。その別のフィクションの世界は現実を変えるほどの力を持っていなくてはフィクションとして存在してはいけない。そこまで力を持ったフィクション映画は少ない。

ドキュメンタリー映画は、もともと現実のパレルワールドを作る手法である。だから面白いのだが、つまらないドキュメンタリーはつまらない劇映画同様悲惨だ。それならまだどうしようもない現実の方が許す事ができる。

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以下無料で観る事のできる村上春樹原作のショートフィルムです。

小説の中の「彼女」を読者は自由に想像出来るのだが映画では監督の決定により固定化される。それが観客のセンスと一致すればいいのだが、そうでないと観客は映画に入っていけないという事態に遭遇することになる。そうなるとつらい人にはかなりつらい。

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『四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』
http://jp.con-can.com/watch/preview.php?id=20085028

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村上春樹 / 1Q84


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浅井 隆

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