エリック・シュロサー著、ノンフィクション小説「ファストフードが世界を食いつくす」を映画化した作品。登場人物は主に大手ハンバーガーチェーンのマーケティング担当及び管理サイド、店舗アルバイト、密入国のメキシコ人労働者。彼らの視点でファーストフード業界の裏を暴いていく。
派手な映画ではないし、作品の性質上、大手シネコンの配給も難しいだろう。(この映画の前に、ホットドックやポップコーンの販促アナウンスを流すなんて嫌みなことになってしまう)そのくせ、そんなに社会的意識が高いとは思えないハリウッド俳優が多く出演している。なんだか気味が悪い。以前、監督が自ら実験台になり30日ハンバーガーを食べ続けた記録映画「スーパーサイズミー」がヒットしたから、こっちも売れると思ったのか?
それから、どこで撮影したのだろうか?精肉工場批判の映画なので、実際の精肉工場を使わせて貰ったというのは考えにくい。セットなのだろうか?だとすると、かなり大規模なセットになるのではないかな。その工場のなかの牛たちが本物なのかも気になる。屠殺場の痙攣している牛などは本物にしか見えない。もちろん、映画のために牛を殺すなと言っているわけではない。生きた牛を使っていたとしても本物の精肉工場に引き取ってもらうだろうから、問題は無い。
ただ、ノンフィクション小説を元に作った劇映画という中途半端な位置にあるこの映画の、どこからどこまでがフィクションなのか。どう受け取れば良いのか。どうにもこうにも気味が悪いのだ。
日本でも精肉加工業者の問題が明らかになったりもしている。この映画とそう変わらない現実があるのだろう。だからこそ、落ち着いた目でこの映画を判断したいものだ。