2012-02-17

[日々の遺影]展 このエントリーを含むはてなブックマーク 

 福岡のシゲキバというオルタナ・スペースでは自由参加による写真展『日々の遺影』の開催を企画しています。
 開催日は三月十一日です。あの災禍から一年目にあたる日ですが、この写真展は東日本大震災とは直接関係はありません。被災地への支援活動でもなければ、被災された方々への共感を謳うムーブメントでもありません。しかし、この企画のきっかけが、あの日の災禍であったのは確かです。

 昨年三月十一日以来、連日のように報道されるニュースの中に、瓦礫と化した我が家から泥だらけのアルバムを発見し、喜びあう家族の姿がありました。あるいは、泥土の中から携帯電話を発見したものの、メモリ内の画像が生きているか不安そうな人の姿もありました。
 被災地のひとつである宮城県の山元町では、瓦礫から発見された写真たちを被災者に返すための展覧会が催され、汚れたり傷んだりした写真を洗浄や複製によって救出する「思い出サルベージアルバム・オンライン」というプロジェクトが立ち上がり、現在では「Lost & Found Project」というマイクロプロジェクトに受け継がれています。

 被災地の人々のこうした心情や行動に触れるにつれ、改めて思い知らされたのは、写真というかたちで残された、人や物や出来事とのかかわりの一回性、かけがえのなさでした。もとより写真には、撮られた瞬間に撮られたものは過去になるという意味で、光景の「遺品」としての性質があります。その性質を再認識させられたとき、日常の何気ない写真たちを「日々の遺影」と位置づけ、多くの方々とシェアしたいという今回の企画が生まれたのでした。

 あなたの「日々の遺影」を募集します。
 この写真展には被写体のテーマはありません。友達の笑顔、ふと見上げた空、通勤途中の風景、昨晩のごちそう、テーマはあなたの日常それ自体です。あなたにとって愛おしく、失いたくないものたちの記録をシェアしていただければ幸いです。

◎シゲキバ[日々の遺影]展/応募概要
http://sigekiba.com/project/competition/599/

キーワード:

公募 / 福岡 / ギャラリー / 写真 / 311


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玉川祐治

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玉川祐治

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