骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2012-08-23 20:21


ボクサーたちにとっては勝ち負けに関係なく「スゲエヤツと闘った」ことが誇るべき勲章なのだ

モハメド・アリそして彼と戦ったファイターの熱い魂を感じとれる映画『フェイシング・アリ』クロスレビュー
ボクサーたちにとっては勝ち負けに関係なく「スゲエヤツと闘った」ことが誇るべき勲章なのだ
映画『フェイシング・アリ』より (c)MMIX NETWORK FILMS INC

1960年、18歳でローマオリンピックの金メダルを獲得、3度の世界ヘビー級チャンピオンに輝くなど、圧倒的な強さでその名を世界に知らしめたボクサー、モハメド・アリ。80年代以降はパーキンソン病により公に姿を見せることは少なくなったものの、1996年のアトランタ・オリンピックに聖火ランナーとして登場したのに続き、今年のロンドン・オリンピックに、開会式において五輪旗の運び手として参加した。このドキュメンタリーは、60年代から70年代にかけての公民権運動の隆盛など、彼が全盛を極めた時代のバックグラウンドを紹介しながら、彼と闘った10人のボクサーの証言を構成することにより、アリという存在の大きさを浮かび上がらせる。

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映画『フェイシング・アリ』より、(c)MMIX NETWORK FILMS INC

「ボクシングの神」と拳を交えたボクサーたちが、自らの貧しい境遇やボクシングにかける思いを熱く語る。アリが自分の人生に大きな影響を与えてくれたことへの感謝の気持ちをにじませながら、信念を貫き通した彼らの真摯な言葉の数々。そして、ボクシング界のみならず、その発言が世界を揺るがすまでの影響力を持つまでになったアリの、実際の試合での強さをダイレクトに感じることのできる当時の貴重な映像も、多数収められている。

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映画『フェイシング・アリ』より モハメド・アリとケン・ノートン (c)MMIX NETWORK FILMS INC

丹念にリサーチと取材を重ね、ファイターたちから心に刺さるエピソードを引き出したピート・マコーマック監督は「この映画で、晩年の精彩を欠いた姿でないアリの栄光を蘇らせ、彼の素晴らしいキャリアと人生を伝えたい」と語る。悩みや希望、試練を抱えた彼らの葛藤は、ボクシング・ファンならずとも心揺さぶられるに違いない。


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映画『フェイシング・アリ』より、ジョージ・シュバロ (c)MMIX NETWORK FILMS INC



映画『フェイシング・アリ』
2012年8月25日(土)より、渋谷アップリンク、銀座テアトルシネマほか全国順次公開

監督:ピート・マコーマック
出演:モハメド・アリ、ジョージ・フォアマン、ジョー・フレージャー、ラリー・ホームズ、レオン・スピンクス、ジョージ・シュバロ、ケン・ノートン、ヘンリー・クーパー、ロン・ライル、アーニー・シェーバース、アーニー・テレルほか
提供:キングレコード
配給宣伝:アップリンク
2009年/米国・カナダ/101分/英語
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/facingali/




▼映画『フェイシング・アリ』予告編



レビュー(5)


コメント(1)


  • 青木ポンチ   2012-09-04 21:41

    9/2の板垣恵介先生トークイベントの折に、『フェイシング・アリ』鑑賞しました(イベントの模様は「ガジェット通信」に記事投稿しました http://getnews.jp/archives/248169)。
    映画は、まるでアリをテーマにしたPVのような作りでしたが、存分にカッコよく、十分に物語になっているところが、さすがアリ。映画人も惹きつけてやまない魅惑的な被写体なんだなー、と再認識しました。