骰子の眼

cinema

東京都 中央区

2012-10-25 22:58


事件の背景にあった「実話」を映画によって明らかにする痛快な救出劇

ベン・アフレックとジョージ・クルーニーが挑むCIAのニセ映画作戦『アルゴ』クロスレビュー
事件の背景にあった「実話」を映画によって明らかにする痛快な救出劇
映画『アルゴ』より (c)2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

2007年の『ゴーン・ベイビー・ゴーン』2010年の『ザ・タウン』と骨太なテーマと演出力で監督としての評価がうなぎのぼりのベン・アフレック。今回は、1979年イランで起きたアメリカ大使館占拠事件を、綿密な時代考証に基づき冷戦の時代の緊張した空気感をフィルムにおさめている。自ら演じるCIAの人質奪還のエキスパートは、その仕事の内容のためか愛する子どもそして妻と離れて暮らすことを余儀なくされている。つまり、この作戦を遂行することこそが、彼にとって父性の復権であり、夫としての信頼を勝ち取る術となる。序盤は少々くたびれた雰囲気を醸し出しながらも、なかなか言うことを聞かない人質たち、そして横槍を入れてくるアメリカ本部との交渉を続けながら、情報収集の巧みさ、とっさの決断、そして行動力によって任務をやり遂げようとする主人公の姿は、胸のすく思いを与えてくれる。

Argo
映画『アルゴ』より (c)2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

そしてまた、『スター・ウォーズ』の大ヒットで、二匹目のどじょうを狙わんと活気を取り戻した当時のハリウッドの様子も伺えて興味深い。でっちあげられる作品にリアリティがあればあるほど、このストーリーの面白さの真価が発揮されるものだが、この『アルゴ』という「映画内映画」がどんな完成度を持つ内容なのかは、観てのお楽しみにしておきたい。そしてこの作品はエンドクレジットに、今作のリサーチに関する驚くべき事実が隠されているので、ぜひ最後まで席を立たずに見逃さないでほしい。

Argo
映画『アルゴ』より (c)2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.




映画『アルゴ』
2012年10月26日(金)丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

出演:ベン・アフレック、アラン・アーキン、ブライアン・クライストン、ジョン・グッドマン 他
監督:ベン・アフレック
脚本:クリス・テリオ
製作:ジョージ・クルーニー、グラント・ヘスロブ、ベン・アフレック
配給:ワーナー・ブラザース映画
2012年/アメリカ/120分
(c)2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

公式サイト:http://www.argo-movie.jp
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▼映画『アルゴ』予告編



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