2012-09-22

「How are you?」って死語じゃないですけど、何か? このエントリーを含むはてなブックマーク 

超多忙につき、またブログ本家からのコピペでお茶を濁す。今日のエントリはちょっとためになる(?)かも。

2012年09月21日
「How are you?」も「what time is it?」も普通に使うけど、それが何か?
http://newsfromsw19.seesaa.net/article/293570404.html

「How are you?」は死語だとかいう英語学習に関する妙な「言説」が出回っている。で、代わりに「What's up?」を使えと勧められるらしい。先生とか上司に「what's up?」なんて言ったら「おまえ、なにもの?」な顔をされるだろうし、以降あなたの扱いが変わるかもしれない(礼儀を知らないヤツの範疇に入れられて)。第一に「what's up?」は米語だから、ヨーロッパだったら「アメリカかぶれ」とラベリングされ(て、ひそかに笑われ)るかもしれない(米語としてもくだけた表現だし)。

「how are you?」はどこでもだれにでも使えて便利だ。昨日も息子の学校で、久しぶりに会ったおかあさんたち(日本人じゃないです、念のため)はみなそれぞれ「how are you?」で挨拶を始めていた。

道で隣人に会っても使うし、わたしが毎日新聞を買いにいくニュースエージェントのおにいちゃんは毎日「how are you?」と聞く。わたしはたいがい「I'm well and you?」と答えるけど、そういうときイギリス人は「I'm fine」とか「I'm well」とかより「not too bad」と返事することが多い気がする。これに対する答えは「good!」とか「great!」とかになる。これを道ですれ違いざまに一通りやらないとなので必然的に早口になる。

閑話休題。

「how are you?」は使う場面によって「おかげん、いかがですか」とも「元気?」とも「最近どうよ?」とも「儲かってまっか?」とも和訳できるわけで、それを自動的に「お元気ですか」と訳して「丁寧すぎる」とかなんとか言うのは翻訳能力が低過ぎ、日本語のボキャブラリーに問題がある。

‥‥てなことを思いつつ、ブログ書く時間がないから忘れつつあったら友人からメール(返信メールの転送)が来た。というわけで、レスター在住の坂野さん(宇宙物理学者)が「how are you?はあまり使わないの?」と質問されての返信を本人の許可を得て貼付けます。

~以下コピペ(行替えを変えました)~

「How are you?って、実際はあまり使われないのか」という疑問を受け取りました。以下のサイトを根拠にした話。
http://ure.pia.co.jp/articles/-/9246

そこで以下の返事を先方に書き送りました。茶飲み話までに転送します。個人的なメイルながら、ほとんどは英語表現に関する一般的な蘊蓄なので。興味がありましたらお暇な時にでもどうぞ。

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このウェブサイト、他でも聞きました。ネット上で流行っている? そして、批判もいくつか見かけました。さもありなん、偏った見方が随所にある、と思います。米国人の変な"英語"に惑わされないように、というところですね。彼らが喋っているのは、英語に似た米語という別の言語ですから(と英国人ならば口を揃えて言います)。# Website下部のコメント欄でも批判の嵐である通り。

# ちなみに主役のデイビット・セイン氏は『日本人のちょっとヘンな英語』とか、 『やり直し教養講座 英文法、ネイティブが教えるとこうなります』とか数冊の本を出版しているようですね。ヘンな英語を日本で拡げるのに一役買っているということ?

[...]

チェックしてみましょうか。
# なお、僕の英語知識は主に Midland (中部イングランド)での用法を基準にしています。とはいえ、イングランドであればそれでおおよそ遠からずだという感覚を持っています。

(1) "Fight!"

「戦え!」という意味です。だから、日本語の「ファイト」とは全然違う。

Website での提案は、
"Don't give up!"
"Keep going!"
でした。前者は、極めて直截的な表現ですね。だから、英国で耳にする機会は多くありません。相手に対して日本語で、「諦めるな!」「くじけるな!」と声をかけたくなる時に使うならば、ぴったりかと。「頑張れ!」という時のニュアンスとは異なりましょう。

頑張れ、という意味であれば、
"Keep going!"
"Go on!"
などが普通ですか。

(2) "Don’t mind!"

相手に声をかけるならば、"Never mind!" が普通。「気にしないでね」という意味。
"Don't worry."
"No worry."
もよし。ニュアンスは微妙に異なりますが。

# "Never mind." はすでに気にしているであろう相手に対してかける慰めの言葉。"Don't worry."は、「大丈夫、気にしなくていいよ(私は気にしてないから)」という表現。

なお、自分が気にしないよ、という意思を伝えるならば、
"I don't mind."
です。たとえば、
"Would you mind if I smoke here now?"
"No, I don't (mind). As you like."
とか
"Would you like to go now or a bit later?"
"Whichever, I don't mind. Either way. I am easy."
など。

(3) "How are you?"

最も普通の日常挨拶表現です。

"What's up?" は米国では確かに耳にしましたが、英国では一度も聞いたことがありません。

# 米語としても、くだけた表現だと理解しています。もし言えば、英国人は理解はすると思いますけどね。英国人は米国の映画やテレビドラマは観ているから。ただし、「この米国かぶれが」と内心で思われるかも (笑)

米国では、
"How are you doing?"
はよく聞きました。これは英国でも使います(が、ちょっとくだけたニュアンスになります)。加えて、現在進行形の意味通り、今現在どうしてるか、というニュアンスが微妙にあります。たとえば朝会った人に夕方もう一度会った時に、"How are you doing?" は自然な表現です。英国では初対面の人には多分使わない。逆に、米国では、それよりは正式に近いニュアンスだと感じました。英国の "How are you?" と同義に使われているような。

一方、"How are you?" は万能です。初対面の人でも、毎日会っている友人や同僚でも使えます。くだけた表現は他にもありますが、ビジネスの場であれば、"How are you?" と言っておけば、間違いありません(繰り返すけど、英国の話ね)。

# 状況や相互の対人関係によって、イントネーションが微妙に変わりますが。一例として、久々に会った友人に、再会の喜び(驚き)を表すとともにご機嫌伺いするならば、"How ARE you?" で決まりです。"How are you DOOOING?" とも言えなくはないけれど、それは、ニュアンスとして「(久々に会ったという事実よりもむしろよく会っていた過去の延長、という側面を強調、つまり友人関係に変化はないよと強弁する意図を含んで、かつ先方の健康状態に変化がない、という仮定のもとで)調子はどう?」という語感になります。

そして、国際標準英語としては、教科書通り "How are you?" が無難だという感覚を持っています。国際会議などで多国籍の人がいる場面では "How are you?" が一般的だと。米国人でも(sensibleな人であれば)そう挨拶することはよくあります。言葉は生き物ですからね、先方にあわせて表現を修正するのは普通のことかと。たとえば僕が関西にいる時は関西訛り的に喋りますし、実家に帰ればまた少し変わります。それと同じことでしょう。

# ただし、僕の「国際」の印象は、アメリカ系の人を除けば欧州系の人が多い場で形作られたものなので……、そういう意味では少し偏りがあるかも知れませんが。欧州系の人の喋る英語は、当然、英国英語の影響が強いので。北米南米系の人が多い「国際」の場だとまた少し異なっても驚きません。

答えは、
"(I am) fine. Thank you. And (how are) you? [And yourself?]"
が最も標準的です。日本の英語教育は完全に正しい。他の答え方としては、
"I am (very) well."
"I am all right. [(I'm) OK - 少しくだけた感じ]"
"I'm good. [くだけた感じ]"
"Not too bad. [くだけた感じ; 少し体調が悪い時など。そうとは限りませんが]"などが普通です。

英国では、くだけた挨拶では、"You're alright?" はよく聞きます。"How are you?" と重ねて、
"How are you? You're alright?"
でもよし。返答は、"Yes, thanks." など、です。
# 「挨拶」とは言え、肯定否定を求めている表現ですから、理にかなった返答ですね。

逆に、(Websiteにあるように) "How are you doing?" と挨拶されて、"Hi." と返したら、それは、先方の問いかけを聞くこと無しに自分の言いたいことをくっちゃべった、ということになるから、英国ではむしろちょっと失礼に当たります。

他には、くだけた挨拶では、
"How's things?" (←文法的には誤り(笑))
"How's it going?"
もしばしば聞きます。先方の体調ではなく状況を尋ねているということは、先方の体調は問題ない、という暗黙の仮定がある(のが普通である)ことに注意。

ちなみに、中学英語で、"Hi" は "Hello" よりくだけた表現、と習ったと思いますが、これは今でも、英国では正しいです。日本語ほど(社会的)上下関係が表現に現れないとはいえ、それでもたとえば市長や学長に会って、"Hi"とは言わない。"Hello" ならば構わない。丁寧に言いたければ、"Good afternoon/evening." さえ使います。

# 友人相手に、"Good afternoon." は普通使わない。敢えて言うことで(ばか丁寧な)おどけた感じを出すことはあれど。一方、米国の場合、相手が誰であれ "Hi" を気軽に使っている印象があります(あくまで僕の限られた経験からの印象ですが)。

"Greetings!" という表現もありますね。少し丁寧。Philip Pullman の『Northern Lights』で、魔女の使いの鳥が
そう挨拶していたのを覚えていますか?

豪州ならば、"G'day, mate." がよく使われるようです(地方や社会階層にもよるようですが)。英国では聞いたことありません。

要するに、挨拶も、土地が変われば変わる、ということ。"How are you?" を(あまり)使わない土地があることは
全く否定しませんが、それを一般化するのは無知、独善の謗りを免れないでしょう。

(4) "What time is it now?"

使います。ただし、"now" は無い方が普通ですか。"now"があれば、ちょっと(無用に)強い語感になりますか。特に見知らぬ通行人に時間を尋ねるならば。ただし、仲間内で喋っていて、「あれ、今何時だっけ?」という意味で使うならば、完全に自然です。

"Do you have a time?" は英国では(通じますが)、それほど使われないように思います。"Have you got the time?" が普通。

# "a" ではなく、"the"。

# 米語では、"a" を使うんでしょうか……? 僕は知りません。日本語記事にする時に書き間違えた可能性もありますかね。

そういう意味で、確かに、通行人に時刻を尋ねるならば、"What time is it now?" は、第一感ではありません。とはいえ、"What time is it now?" をことさらに敵視するほどではないかな、と感じます。少なくとも、確実に通じます。あるいは、"What is the time?" も確実です(@英国)。

実際、"Have you got a time?" の第一義は、多分「お時間ありますか?」の意味になるので、紛らわしいんです。えっ、という顔をされることも無きにしもあらず。

# "the" と "a" の違いに注意。

正確さを期すならば、
"Do you know what time it is now?"
"Could you tell me the time, please?"
が一番かなぁ。

(5) "What's your name?"

間違いではありません。ただし、ストレートな表現ではありますね。日本語でも、相手の名前をストレートに訊くことはそんなにないでしょう? それと同じ感覚かと。

そういう意味で、同Websiteのこの点に関する議論は、まぁそんなものだと感じました。

ちなみに、初対面ならまだいい、というか、ある意味、どんな訊き方をしても大した問題ではありませんが、一度名前を訊いた後、忘れてしまった(特に再会時など)時の方がずっと問題です……。名前を使わずに何とかするのは日本語では簡単なのに対し、英語ではちょっと不自然または失礼になりかねないことも多く(何か言う時に、相手の名前をつけるのが礼儀であることが多いから)。共通の友人にそっと尋ねる、というのが一番易しいですが、そうでない場合、知らずになんとかやり過ごすよりは、"Sorry, I can't recall your name...?"などと正直に訊く方が好感が持たれます。それは、相手の名前を覚えていないというのは失礼は失礼ながら、「相手の名前を知りたい、(少なくともその程度には)お近づきになりたい」という意思の現れですからね。

※その他

"diet" とは、「食事制限」の意味です。あるいは「食生活」。"I am on a diet." は、ダイエット中、という意味。
"You are [live] on a good diet." (君は健康的な食生活を送っているね。)
"Your diet is very good." (君の食生活は極めて健康的だね。)

"Carefully fall into the river."
「慎重に川に落ちてください」

"Used apple juice from Aomori."
「誰かが飲みさしにした青森産林檎ジュース」

"I'm intimate with him."
「彼と性的関係にあります」
# 本来は「親しい」ながら、性的関係を婉曲に示唆する用法が一般化しているため、現代ではその意味が第一感。

"Next time I see you I will touch you."
「次にお会いした時には、あなたの体に手を触れますね。」

関連して、「便所」を意味する英語はたくさんありますが、米語ならば"rest room" が一般的だと理解しています。一方、英国でそう言ったら聞き返されるでしょう。"toilet" が確実です。"loo" でもいいけれど、日本人には発音が少し難しい。婉曲に言うならば"bathroom", "cloak room", "ladies' [gents'] (room)"など。うんと丁寧にトイレの場所を尋ねたければ、
"I would like to wash my hands...?"
など。英国の地形図上では、公衆便所は、「PC (Public Convenience)」と表記されています。

現代英語事情でした。# ここで言う「英語」とは、「英国」で使われている言語、という意味 (笑)

~コピペここまで~

学校英語で教わった挨拶では、初対面の人に言う「how do you do?」は使わないけど「nice to meet you」はよく使うし(「nice to see you」との使い分けは大事)、「Hi!」よりは「hello」のほうが使い勝手がいい。

くだけた挨拶を覚える(普及させる)より丁寧表現を確実に使えるようにしたほうがずっといいと思う。特に、挨拶のあとに話を続けられないなら(話すことがないか、あるいは英語がうまく使えなくて)、妙になれなれしい表現は避けるべき。

キーワード:

英語


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藤澤みどり

ゲストブロガー

藤澤みどり

“英国在住の文化ウォッチャー、芸術とお酒と政治好き。ブログ「ロンドンSW19から」http://newsfromsw19.seesaa.net/”


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