骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2011-04-28 20:10


[CINEMA]『四つのいのち』クロスレビュー「経済発展や行き過ぎの人間生活を見直すといいと痛切に感じた」

南イタリアのカラブリア地方の山間の村を舞台に、循環する生命のサイクルを淡々と映し出す。
[CINEMA]『四つのいのち』クロスレビュー「経済発展や行き過ぎの人間生活を見直すといいと痛切に感じた」
(C)Vivo film,Essential Filmproduktion,Invisibile Film,ventura film.

監督のミケランジェロ・フランマルティーノは、今作の舞台である南イタリアのカラブリアという土地自体を主役に、強い物語性ではなく、動物、植物、炭といった自然と人間との関わりを丁寧に描いている。古い伝統が色濃く残るこの地は、都会では信じられないほどのゆっくりとした時間が流れている。何世代も受け継がれていく炭焼きの手法、牧夫たちの動物たちへの眼差し、羊飼いたちにより誕生したといわれるアレッサンドリア・デル・カレット村、その村での大きなもみの木を森から切り出して中心部まで引いていくという伝統行事は、深淵さと同時に不思議なおかしみさえ感じさせる。

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(C)Vivo film,Essential Filmproduktion,Invisibile Film,ventura film.

この映画は例えば人間がコントロールできない自然の恐ろしさや過酷さをあからさまに描写しようとしない。むしろ、のどかとさえ言えるその土地の時間の流れをそのまま捉える。自然が主人公であり、犬や山羊が本来の野性的な動きでカメラの前を横切る。台詞を廃し都会とはまったく異なる時間の流れを引いた視点で捉える。未来を考えるうえで、人間のおごりが見直され生物多様性が論じられる現在、この映画の牧歌的なムードが、グローバリゼーションの功罪を検証し、つつましさや人間と自然との新しい関わり方を知る新たなきっかけになるのではないかと思う。

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(C)Vivo film,Essential Filmproduktion,Invisibile Film,ventura film.

▼『四つのいのち』予告編





映画『四つのいのち』
4月30日(土)シアター・イメージフォーラムにてロードショー 他全国順次公開

監督:ミケランジェロ・フランマルティーノ
脚本:ミケランジェロ・フランマルティーノ
製作:マルタ・ドンゼリ、グレゴリオ・パオネッサ、スザンネ・マリアン、フィリップ・ボベール、ガブリエラ・マンフレ、エルダ・グイディネッティ、アンドレス・ファエフリ
撮影:アンドレア・ロカテッリ
美術:マシュー・ブロウサード
衣装:ガブリエラ・マイオロ
編集:ベニー・アトリア、マウリジオ・グリロ
音楽:パオロ・ベンヴェヌッティ、シモーネ・パオロ・オリヴェロ
音響効果 ダニエル・イリバレン
キャスト:ジュゼッペ・フーダ、ブルーノ・ティンパノ、ナザレノ・ティンパノ
2010年/伊=独=瑞/88分/ステレオ/ヴィスタ/カラー
協力:イタリア文化会館
提供・配給:ザジフィルムズ

公式サイト


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