骰子の眼

cinema

東京都 中央区

2013-02-21 22:47


誰かを傷つけたり自分が傷つくのを怖れながらそれでも手探りで恋の病は進行する

ハッピーであればあるほどアメリカの中流が抱える闇が浮かび上がる『世界にひとつのプレイブック』クロスレビュー
誰かを傷つけたり自分が傷つくのを怖れながらそれでも手探りで恋の病は進行する
映画『世界にひとつのプレイブック』より (c) 2012 SLPTWC Films, LLC. All Rights Reserved.

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映画『世界にひとつのプレイブック』より (c) 2012 SLPTWC Films, LLC. All Rights Reserved.
 

デヴィッド・O・ラッセル監督は、今作の原作をシドニー・ポラック監督から読むように勧められる。息子が躁うつ症を抱えていたラッセル監督は、主人公パットの生き方に共感を抱き、企画の実現を目指す。しかし、完成を目にすることなく、シドニー・ポラックと、彼とともに小説の映画権を持っていたアンソニー・ミンゲラが亡くなってしまう。ラッセル監督は、彼が高い評価を獲得した『ザ・ファイター』の制作をはさみながら、念願だった今作をようやく仕上げることに成功した。

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映画『世界にひとつのプレイブック』より (c) 2012 SLPTWC Films, LLC. All Rights Reserved.
 

成功の最も大きな要因は、主人公パットとティファニーを演じた、ブラッドリー・クーパーとジェニファー・ローレンスの演技のアンサンブルであろう。『ハングオーバー』のコミカルな演技で一躍スターダムに登りつめたクーパー、そして天才的な勘とナチュラルなパフォーマンスで若くして多くの賛辞を寄せられるローレンスの演技の押収は、見どころだ。さらにそこに、ロバート・デ・ニーロそしてジャッキー・ウィーヴァーというベテランが脇を固めるという、俳優たちの演技を味わう意味ではこれ以上ない布陣。まもなく発表される第85回アカデミー賞で、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞という全演技部門ノミネートという快挙を成し遂げた。全員の演じるということの瞬発力が、さらにはいちど挫折した人間が他人とのコミュニケーションにより、もがきながら立ち上がっていくという、誰もが共感できるストーリーに確かなリアリティを与えている。

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映画『世界にひとつのプレイブック』より (c) 2012 SLPTWC Films, LLC. All Rights Reserved.



映画『世界にひとつのプレイブック』
2月22日(金)よりTOHOシネマズシャンテ、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

監督・脚本:デビッド・O・ラッセル
出演:ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、ジャッキー・ウィーヴァー、クリス・タッカー、アヌバム・カー、シェー・ウィガム、ジュリア・スタイルズ、ブレア・ビー
製作:ブルース・コーエン、ドナ・ジグリオッティ、ジョナサン・ゴードン
製作総指揮:ブラッドリー・クーパー、ジョージ・パラ、ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン
音楽:ダニー・エルフマン
撮影:マサノブ・タカヤナギ
編集:ジェイ・キャシディ
美術:ジュディ・ベッカー
衣装:マーク・ブリッジス
配給:ギャガ
原作:マシュー・クイック「世界にひとつのプレイブック」(集英社文庫)
原題:Silver Lighnings Playbook
アメリカ/123分/シネスコ/カラー/ドルビーデジタル、ドルビーSR、SDDS
公式サイト:http://playbook.gaga.ne.jp

▼映画『世界にひとつのプレイブック』予告編



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