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  • 山中英寛さんの日記


山中英寛さんの日記

  • 2009

    7月

    23

  • 「普通の犬に戻りたい!」との健気なペットの願いは飼い主への愛、なのです

    自分は悪者を倒す飼い主を強力に補佐する、超能力をもつスーパー犬、ところがそれはテレビ番組の中でのこと、ということをまったく気づいていない、という主人公の犬ボルトのシチュエーションが、すべてがテレビの中の人生という男を主人公にしたジム・キャリー主演の個人的に大好きな映画「トゥルーマン・ショー」とほとんど同じというところから、子ども向けの内容ながらもけっこう気分ものって、面白く見ることができた作品だ...


  • 2009

    7月

    22

  • これぞオヤジの鏡!、憧れますわ...

    派手なアクション・シーンが中心のこの作品の中で、地味だが印象的なシーンがある。それは、パリで誘拐された娘を助けるために奔走する前の、元CIAの主人公の父親の普段の部分だ。彼は、娘への誕生日プレゼントにカラオケ・セットを買おうとするのだが、使い方がわからないために何度も説明書を読み返す。そして、娘を撮る写真はデジカメでなく使い捨てカメラ、さらに撮った写真を丁寧に古いアルバムに貼る。主人公は現代のデ...


  • 2009

    7月

    09

  • 父親の背中を追い求めて...

    見る前から不安はあったのだが、それは見事に的中してしまった。  レザー・ファッション界でのイサム・カタヤマの名が海外にまで轟いていることは、この作品を見ればよくわかるのだが、私のようなファッション界など門外漢の者にはまったく知らない名だ。ただ、レザーファッションの魅力程度は多少なりとも理解できるので、映像の中でイサム・カタヤマが作るレザーの良さや魅力が描かれていれば、と思っていたのだが、それ...


  • 2009

    6月

    15

  • 男と女で見方が違う「愛の完成形」

     8割が女性、という試写会場でこの作品が上映された後、会場玄関で立ち止まった私の耳には、「登場した恋する女たちがどうなるのかな、てけっこうハラハラした」「ハラハラよりドキドキね」という言葉が入ってきた。どうやらこの作品、間違いなく女性たちの共感を呼んだことは確かのようだ。  女性から見たこの作品の感想は、他にお任せして、男からこの作品を見ると、登場する恋愛の達人ぶる男がバカに感じて仕方なかっ...


  • 2009

    5月

    18

  • リングに賭けた、寂しい男の輝ける人生に拍手!

    この作品を見ながら常に感じていたのは、主人公のレスラーの背中の寂しさ、だ。それは、家族からは捨てられるように離ればなれとなり、トレーラーハウスの家賃も払えられないくらいに日々の生活にも苦労している、孤独な人生を送る男の悲しさによるものに他ならない。だからこそ、心臓発作を患い、先行きに不安を覚えて、その背中を丸くして、離れて暮らす娘に会いに行ったり、好きな女性(40代半ばにもかかわらず、セクシーな肢...


  • 2009

    4月

    21

  • 奇妙すぎるが、楽しめる愛の形

      主人公の夫サンインと妻モレは、幼なじみの間柄から結婚。そこに、モレがはずみで関係をもった男ドゥレが夫婦の家庭に割り込んでくる、という、トリュフォーの名作「突然炎のごとく」や「恋のエチュード」を思わせるように物語が展開する、この作品のキモは、空気のように当たり前の間柄から結婚した夫婦の愛情に、一瞬に燃え上がった愛の炎が勝ることができるかどうか、という点にある。  長年にわたる温もりから生ま...


  • 2009

    4月

    09

  • 人権は守られてきているのか

    ◎映画「ミルク」のレビュー  今まで同性愛者を描いたアメリカ映画はさまざまあったが、この作品ほどゲイや同性愛者の存在と人権を、声高らかに認めた内容のものはなかったかもしれない。その意味では、最近にはない、画期的な作品だと思う。  しかし、同性愛者の価値観を高めただけの内容ならば、アカデミー賞候補にあがるほど共感を呼んでいない。そこがこの作品の重要なところだ。主人公ミルクは、同性愛者だけでな...


  • 2009

    1月

    09

  • 革命に必要なのは思想なのか、愛なのか

     学生時代のチェ・ゲバラが南米大陸を縦断した実話を描いた映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」を見終わったとき、この続きがもし映画化されたりしたなら、絶対に見なくてはならないと思った。圧政や病に苦しむ人々をいたわる純粋な心をもったチェ・ゲバラが、どのようにして革命家の道を歩んだのか、それをスクリーンから体感したいと思い続けていたのだが、今年、それがついに現実のものになったことだけで、とても喜ばしい...


  • 2008

    12月

    18

  • タランティーノよりタランティーノ的映画

     昨年、タランティーノ監督のカースタントマンへの愛情をほとばしられたような「デスプルーフ」が公開されたが、このアレックス・コックス監督久々の新作は、タランティーノ以上に映画への愛に満ちた作品だった。コックス監督、意外にも映画オタクだったのですね。  偶然出会った元役者の二人が、子役時代に出会った脚本家から受けた仕打ちへの復讐をするためにモニュメントバレーへ向かうのが、この作品のストーリーなの...


  • 2008

    11月

    24

  • 意外にまともな変態男

     何年も映画を見てきた私は、一年に一本はまともではない、変な映画を見ておきたいと思っているので、この作品はうってつけだと想像していた。が、観てみると、意外にまともな人間が出てきたことに、いささか拍子抜け、というのが率直な感想だ。しかし、主人公の人間的な可愛らしさには、とても好感がもてた。  この作品は、アイデンティティ探しだけを徹底的に描いた内容だ。主人公のピは、テレビの前説芸人でありながら、ミ...


  • 2008

    8月

    19

  • アニメーションの本分は、絵を見せること

     「アニメーションは、押井さんや宮崎アニメが随一」などと思っている人には、このスタジオ4℃の「Genius Party」シリーズを、果たしてどれくらい受け入れているのだろうか。絵作りを前作よりも大切にしている、ように観られた今回の作品群は、少なくとも絵を中心に観るアニメ・ファンには、大いに受け入れられるものになると思う。  今回の作品群には、それぞれの監督にひとつのポリシーがあるように思う。...


  • 2008

    8月

    08

  • 人生、それが伝説なり

     ギターで有名なレス・ポールのドキュメンタリー、という興味をそそられる映画だったことがきっかけで、試写を拝見することができたが、見終わったあと、自分の知識の無さを恥じ入るばかりとなった。  現在は、多重録音、オーバーダビングなど、シンセとパソコンがあれば、バンドをやっている者ならできる簡単なことなのだが、その多重録音を初めてチャレンジし、音楽業界に革命的な発展をもたらした人が、レス・ポール本...


  • 2008

    5月

    24

  • 天使も描ける、新しいクローネンバーグ

    悪魔的な世界にこだわりをもち続けているクローネンバーグ監督の今回の作品は、ふたたび、ロシアン・マフィアという人の命など何とも思わない悪魔のような世界を描いている。ところがいつもと違ってクローネンバーグ監督は、悪魔の世界の落とし子のような赤ん坊の世話をする助産師の女性という天使を悪魔の世界に登場させるだけでなく、観客に、天使と悪魔の両方の視点を提供するという試みをやってみせていた。クローネンバーグ監...


  • 2008

    4月

    18

  • この「痴話げんか」は面白い!

     この作品の内容を一言で表現すると、「痴話げんか」だ。しかし、少々下品ともとれる会話の内容は、単なる「痴話げんか」のレベルを超えて、アメリカとフランスの文化の違いや、男女の付き合いに自分をすべてさらけだす意味があるのかという問いかけが含まれていて、一瞬も聞き逃せない、見逃せない面白さだ。  実は、この作品の監督がジュリー・デルピーと聞いて、最初は「ビフォア・サンセット」の続編のような内容なの...



山中英寛

ゲストブロガー

山中英寛

“もっと映画を”